2006年6月のミステリ 戻る

花まんま
第133回直木賞
2005年 朱川湊人(しゅかわみなと)著 文藝春秋
 
いずれも人の死が関係し、いずれも子供の視点からお話が書かれている昭和40年代のノスタルジックな5作の短編集。
舞台は大阪。 「兵庫の方ちゃうかな?」という言葉使いも所々見られるが、関西弁満載でさぼてんのハートを掴む。子供の中に大人が閉じ込められている「名探偵コナン」のような「花まんま」。 「おばちゃんたちにもな、かわいい妹がおったんやで」は泣けた。「まんま」はご飯の事。「まんま食べよな」と使う。「花まんま」に出てくる彦根は親戚の散髪屋があったので割となじみだ。滋賀は京都の子分みたいな扱いをされる事があるんやけど、また違っている。彦根は古い城下町。彦根城は時代劇によく使われたそうだ。あそこは「○○さんがいうやんのよ」「ねーやん、にーやん」というやわらかい言葉使い。「トカビの夜」の「下町Sは庄内かな?」とか「送りん婆」のTは天神橋、O公園は扇町公園、「凍蝶」のA野墓地は阿倍野(あべの)、T新地は飛田(とびた)新地と読める。
 
「花まんま」と「大統領の理髪師」と同じく霊柩車が動かなくなる駄々こねた「摩訶不思議」が、いい。 「摩訶不思議」の 「アキラ・・・・誰や、カオルって」  「誰や、ヤヨイちゃんて」 これには笑った。主人公のアキラは「女はようわからん」というのを9歳で知るわけ。悲劇の中の喜劇という高等技術が使われている。
おすすめ度★★★★
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ハリー・ポッターと謎のプリンス HARRY POTTER AND THE HALF-BLOOD PRINCE
2005年 J.K.ローリング著 松岡祐子訳 静山社
あらすじ
ねたばれあるかも・・・ご注意
 
 
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団に続く第六巻。ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は6年生となった。最終学年まで後1年。O・W・L(普通魔法レベル)ふくろうにも合格。ハリーはダンブルドア校長の個人授業を受ける事になる。それは記憶への旅だった。トム・リドル(ヴォルデモート卿)の数少ない過去を探り敵を知るのが目的。一方、ハリーの天敵ドラコ・マルフォイは不穏な動きをしていた。
感想
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団が前哨戦であるならばこの作品は最終章への助走。助走にしては重たい。またしても重要人物がひとり脱落。
この作品はハリーが主役とはなっていない。学園生活もクィデッチも思春期の恋もつけたし。
 
セブルス・スネイプ(映画ではアラン・リックマン)が悲しい。その使命があまりに酷だった。嗚呼ダンブルドアよ。なんて事をさせるんだ。 なんてこったい。
おすすめ度★★★★
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