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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(第五巻)HARRY POTTER AND ORDER OF THE PHOENIX


2003年 J.K.ローリング著 松岡祐子訳 静山社
あらすじ
ハリー・ポッターと炎のゴブレット(ミス外) で蘇った(と思われた)「例のあの人(ヴォルデモート)」。よい魔法使い達は一致団結してヴォルデモートとそのご一党「死喰い人」と戦う・・・・・・はずが、あほの魔法大臣コーネリウス・ファッジの腰が引けて困難に向き合おうとしない。ヴォルデモートが復活したのは「めだちがりや」のハリー・ポッターの嘘であり、それを信じるホグワーツ魔法学校校長のダンブルドアは「老いぼれだ」と言うのだ。元々ダンブルドアに脅威を抱いていたあほのファッジ大臣はマスコミ「日刊預言者新聞」を操り、ダンブルドアを囲い込む。しかしダンブルドアを信奉するおとなの魔法使い達は地下へもぐり活動を始めた。2度目の不死鳥の騎士団の結成だ。一度目のメンバーの中にはハリーの両親ジェームズとリリー、ネビル・ロングボトムの両親フランクとアリスがいた。マッド−アイ・ムーディが持っていた創立の写真ではみんな笑って手を振っていた。今は半分があの世の人か廃人だ。
感想
この連休に何をしていたかと言うと、この本を読んでいた。それだけ。上下で1358頁。「不死鳥の騎士団(第五巻)」では様々な謎が明らかになる。たとえば薬草学のスネイプ先生(映画でははまり役のアラン・リックマン)はなぜあれほどハリー・ポッターを憎んでいるのか。また、何故ハリーは母親リリーの姉でマグル(人間)のペチュニアの家で育つ事になったのか。迫害されているにもかかわらず、夏休みのたびに帰らないといけないのは何故なのか。そしてそして主要人物の死
活劇はいまいち。しかしそこここの描写がうまい。成長めざましいのはハリーの親友のロン・ウィーズリー。六男で下がまちにまった女の子、妹ジニーという目立たないポジションから出来のいい兄弟の呪縛から逃れはじめる。そしてその妹ジニー・ウィーズリーはハリーをあきらめた事でハリーとしゃべれるようになり内弁慶から外へも強くなる。(ジニーはハリーのいい人になるとの予感)。そしてオチこぼれだったネビル・ロングボトム。口には出さねど正義がなされる事、そして両親の仇を取りたいと願っている。
 
目だって粋だったのはジョージとフレッドの双子のウィーズリー。この手におえない双子、大のお気に入りなんだ。魔法省が支配したホグワーツでレジスタンスを行い鮮やかに飛び立つ。。五巻はふたりの巻といってもいい。「イギリスと日本」(森嶋通夫著1978年)にはイギリスはビジネスの仕事に携わるものは学問に携わるものより地位が低いって書かれてあったな。たとえその学問が「16世紀エリザベス朝の詩」などという「なんの役にたつやらわからん」学問であったとしても。どうなんかな。イギリスは変ったのかな。