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花火のルーツ 流星  (甲賀郡甲南町龍法師瀬古 九月十二日
 甲賀郡甲南町は甲賀忍術屋敷や製薬業で知られた所である。甲南町龍法師瀬古には大正三年
に建て替えられた薬師がある。天正年間に建てられたとされ、伝教大師作とする薬師像が祀られている古刹である。瀬古の薬師は昔から薬の仏として薬屋の信仰も厚く、火伏せの薬師、火薬の仏としても有名であった。
毎年九月十二日には薬師堂の縁日で「流星」が上げられる。流星とは「ロケット花火」のことで、昼間は薬師堂の法要が営まれ、夜に上げられ、七時ごろから八時頃まで、薬師堂の裏の田圃のなかで人家の無い方に向けて上げられる。昔は村で花火を作ったが、火薬を扱うには許可が必要なため水口町の狼煙店に依頼している。流星は、口径約一寸の竹筒に、オガラ(現在はヨシを代用)、麻緒、硝煙十、硫黄一、消し炭四の割合で詰めオガラをつけて完成である。詰込み棒、槌、薬研、水嚢、秤を用意し、硝煙、消し炭、硫黄を薬研で細かく潰し、竹筒にトントンと詰めるのだが、詰め方がやわらかいとあがらないし、強く詰めると割れてしまい、この調整が難しいという。江戸時代から始まったとされるが、昭和に入って一時中断されたが、昭和五十一年より瀬古流星保存会が出来、復活された。

  導火線に火をつけると、シュルシュルシュルーと赤い尾を曳きながらあがっていく。花火のような華麗さはないが、闇に上がる火はノスタルジックだ。写真は長時間露光で何本もの流星が写っている。低空飛行のものや逆の方向へ飛んだものなど流星の上がり具合が分かり楽しい。
流星は忍者が使っていた火遁の術の狼煙が祭礼行事化したと思われる。
流星に先立って薬師堂の前では護摩焚きが営まれる。
打ち上げられた流星。シューッという音と同時に赤い軌跡を追う。 流星の竹筒