★ ホーム(目次無しの先頭ページ)へ戻るときは、
この下のボタンをクリック !!
[ ホーム(目次無しの先頭ページ)へ戻る ] |
「みずがめ座」
トロイのイーダス山に住んで、羊を飼っていた美少年のガニメーデスは、あまりの美貌と若さを 持っているために、体中が金色に輝いていたとみんなに言われるほどでした。 |
ある日、ガニメーデスが丘の上で、父が飼っている羊の番をしていると、急に真っ青な空に変わり、真っ黒の雲が すっと出て来て、今まで明るく、さんさんと輝いていた太陽を隠し、突然雷が鳴り響きわたりました。 その雷鳴と共に、大きな黒ワシが空から舞い降りてきたかと思うやいなや、ガニメーデ スをワシづかみにして、あっという間に遠くの空のほうへと飛び去りました。 |
大きな黒ワシがガニメーデスを連れ去らうのを、近くの畑で見ていた父のトロースは、 すぐに自分の近くにあった石や木をつかんで、その黒ワシに向かって、大声で叫びながらそれらを投げつけましたが、時は遅し、もう既に大きな黒ワシと共にガニメーデスは大空に高く舞い上がり、連れ去られてしまっていたので、どうすることも出来ませんでした。 |
その日からは、ガニメーデスの家では、父と母が悲しんで、会話も無く、悲しんだ日々が ずっと続きました。 |
ある日、玄関に今まで見たこともない若者が立っていました。 |
その若者が言うのには、「ガニメーデスのことは大丈夫だ。あの子の美しさに大神ゼウス様がお気に入りになられた のである。そのために、大黒ワシを地上に遣わし、天界に召されたのである。 だから心配をしなくてもよい」 と。 |
続けていうのには、「オリンポスの宮殿では、毎夜、宴会があり、その場でアポロンが琴を奏でて、女神たちが舞い、神々たちはルビー色をした神酒を金の杯で飲むのだが、そのお酌をする役は、これまでは大神ゼウス様と后のヘーラ様の娘であるヘーベ様であったのであるが、ヘーベ様がヘルクレスの妻となられるために、 その役をする者がいなくなってしまう。ところが、ガニメーデスがいると、ヘーベ様の代わりになるので、これから はその役としてガニメーデスがそのお酌役になったのである。」 と。 |
「ガニメーデスは、歳をとることも無いし、死ぬことも無いので、心配をしなくても良い。そして、この馬はゼウス様からの贈り物である。」と言って、すごく立派な神馬をトロースに与えました。 |
その後、来ていた若者は、たちまち大空へ飛び上がって、大きな黒ワシが去っていった方向へと飛んで行きました。 |
トロースは、来ていた若者がかぶっていた帽子に付けてあった二枚の羽と蛇が巻き付いていた棒を携えていたことから、「あの若者は、伝令神ヘルメスであったんだ。」とわかりました。 |
そうして、トロースは悲しみの涙から、喜びの涙に変わりました。 |