Mini 12m Deceptionクラス 
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Mini12の乗り方-1 
このページは2008年4月26日〜5月4日にかけて、シアトルヨットクラブで開催される第11回宝船レガッタに、Mini12mクラスで出場する須磨ヨットクラブのメンバーの方々の参考になればと思い作成しました。
私自身もMini12には5、6回程度しか乗っていなくて、初歩的な記述もあると思いますが、ご容赦ください。

1.フィッテイング
県体に置いてあるMini12は、オーニングをはずすと船内にファーラーからはずしてロールされた状態のジブセールと、フレークして2つ折にされたメインセールが入っています。なおメインセールのバテンは入れたままにしています。
以下は陸上での準備です。

@ジブセール
ジブセールのラフにはワイヤーが通されていて、ワイヤーの両端はアイスプライスされています。
ジブセールのピークとタックは、このアイにラニヤードで固定されていますが、このラニヤードの長さを調整することによっても、ジブのラフテンションを調整できます。
ジブセールをロール状態のまま、ピーク側のアイにジブハリヤードのスイベルの先に付いているシャックルを連結します。
バウ側のジブファーラーのピンを抜き、ジブのタック側のアイを連結します。
ジブファーラーのピンはリングピンでロックします(少し手間取ります)。
ジブハリヤードをホイストし、ジブシートを取り付ける前にファーラーへの巻き状態をチエックします。
ジブセールの巻き数とドラムのコントロールロープの巻き数が合っていないと、ジブを展開したときにラフ部分が巻き込まれた状態のままになったり、ファーリングしたときにジブが完全には巻き取れない状態になります。
従って最初のうちはジブセールを取り付けた後でセールを展開し、ファーラーの状態を確認してください。
ファーラーをチエックしてから、ジブシートを取り付け、ジブシートリーダーのミニブロックに通してシートエンドをエイトノットします。

Aメインセール
Mini12の保管中は、メインハリヤードでブームエンドを吊り上げています。
ブームを落とし、メインハリヤードをメインセールのピークに取り付けます。
メインセールのタックやアウトホールはブームに取り付けずに、そのままメインセールをホイストします(その方がやりやすいです)。
ホイストするときはメインセールのボルトロープをマストのグルーブに挿入しながらホイストしていくのですが、ボルトロープがグルーブに噛み込みやすいです。1人がボルトロープをガイドし、もう一人がゆっくりとハリヤードを引いた方が良いと思います。
メインセールをピーク付近まで上げてから、タックをグースネックに溶接してあるシャックルに固定します。
タックを固定してから、メインハリヤードをもう少し引き上げます。
カニンガムのフックをダウンホールに引っ掛けておきます。
グースネックはマストのグルーブに挿入したスライダーにタッピングで固定してあるだけなので、タッピングのビスが緩むと上下に移動することがあります。メインセールをホイストした後、グースネックが正しい位置にあるか、一応確認してください。
アウトホールはフネを水に浮かべてから固定した方が、係留などが楽にできます。

Mini12のマストはオンデッキマストで、サイドスティ(V1、V2、D1)のチェーンプレートはマストのほぼ真横にあり、ジブハリヤードと、パーマネントバックステイの調整でマストのレーキをコントロールします。
Mini12のマストはテイザー級の上部セクションが使用されていて、かなり柔らかいと感じています。
このため中、強風ではマストがオーバーベンドする(メインセールに斜めのシワが入る)ぐらいパーマネントを引いても、フォアステイ(ジブのラフ)にはかなりのサギングが残ります。
このサギングを減らすためには、マストをかなり後傾させた方がえ〜やろな〜と思っていますが、後傾させすぎるとタッキングのときに自分の頭をかなり下げる必要が発生します。これを避けるために、グースネックはかなり高い位置に固定しておく必要があります。なお中、強風ではペダルを介して足裏にかなり重いウェザーヘルムを感じます(それが正しい走らせ方かどうかは、よく解りませんが。。)。

2.進水
Mini12はバラストが160kg、ハルが70kgで総重量は250kgと聞いています。
県体ではスロープまでのかなり長い距離、フネを押していかなければなりませんが、大人一人でも十分に押せます(但しタイヤの空気抜けには注意)。
スロープでは船台及び、船首に長めのロープを取り付けて、降ろします。ブレーキは大人一人でもかかりますが、船台の向きもコントロールしなければならないので、2人の方が無難です。
船台が水際まで降りた後は、少し勢いを付けるためにロープを緩めます。スロープのすぐ沖には凸凹があるので、潮が引いている時は車輪が引っかかることがあります。
フネが浮き上がるまで船台を沈めてから、1人が船台を引き上げ、もう1人がバウラインを持ってフネを浮き桟橋に引き寄せます。
なおシアトルYCでは浮き桟橋からウェインチを使って、一点吊り(艤装の頁参照)でフネを上下架するようです。昔は手動ウィンチでしたが、近年は電動ウィンチを使用しているそうです。

3.出艇
県体に出艇申告書を提出します(出さないと煩いです)。ライジャケ着用も義務付けられています。フネにインフレータブルを積んでいるので、着用してください。
進水時にはフネを沖に対して後ろ向きに降ろすので、浮き桟橋でフネを廻し、沖に向けます。
乗艇前にコクピットの背もたれの位置を浮き桟橋から調整します(艤装の頁参照)。フネに乗り込んだ後では介助者がいないとやり辛いです。
コードランドの溝にラダーコントロール用のロープがきっちりはまっているか、確認してください(ときどき外れることがあります)。
メインシート、ブームバングを解放し、ブームを持ち上げ、メインセールのアウトホールをコントロールロープに結びます。
バウラインを取り外すか、ジブシートの下を通してコクピット内に落とします。
Mini12のバウデッキに人間が乗ると非常に不安定なので、最初からコクピットに乗り込みます。
とりあえずメインセールだけで離岸します。ファーラージブは1ストローク、2秒程度で展開できます。ファーリングするときも2秒程度で可能です。

4.着岸
着岸する前にジブをファーリングして、艇速を落としてください。バウラインがすぐ出せるか、確認しておきます。
県体のスロープ周辺の浮き桟橋に着岸しますが、バウが風上方向になるように着岸します。
Mini12の自重は250kgほどあるので、見た目よりは慣性があります。

5.上架
軽風ではメインセールのアウトホールをはずすだけでも良いですが、中風以上ではメインセールを降ろしたほうが無難です。
フネをスロープ横(北側)の桟橋に、バウをスロープ方向に向けて横抱き状態で着けます。
船台を1/2の力で引き上げるために、船台の前部にブロックを取り付け、ブロックに通したロープの一端にはフックが付いているので、そのフックをスロープの上にあるグレーチングに引っ掛けます。この方法だと大人2人で楽にフネを引き上げられます。
船台が浮き桟橋のすぐ横に来るように、船台が完全に水没するまで降ろします。
フネを前に移動させて、バウの船底を船台前部の受け台に載せます。フネの前後位置は、フネのデッキに目印のテープを貼ってありますので、それを目安にして下さい。この作業には一人がスロープ側から船台のロープを操作し、もう一人が浮き桟橋からフネの位置を動かします。
フネの前後位置が決まったら、バウと受け台の位置とがズレないように、少しだけ船台を引き上げます。そのまま船台を引き上げると、フネが後ろにズレることが多いです。
桟橋側の人はフネのコクピットに乗り込み、船台後部の両側のポールに巻いてあるヒモをはずし、船台のキール受けの凹部分がフネのキールにはまるように、ヒモを引いて船台後部を引き上げます。船台後部はタイヤの浮力があるため、簡単に浮き上がってきます。
船台のキール受けの凹部分がフネのキールにはまった状態で、両側のヒモをコクピットの上で縛ります。
つまり船台後部がフネの下にぶら下がっている状態にして、桟橋側の人はフネから降ります。
スロープ側の人はゆっくりと船台を引き上げます。桟橋側の人は船台のキール受けの凹部分がフネのキールにはまっている状態かどうかを確認してください。
フネが船台に対して正しい位置で、ある程度上がってきたら、桟橋側の人もスロープに移動してフネを引き上げます。

6.後片付け
メインセールはフレークした後2つ折りにしてコクピットに入れてください(バテンは抜かなくてOK)。
ジブはロールしたまま2つ折りにしてコクピットに入れてください。
水道水でフネを洗ってください。特に船台の車軸部にはしっかり水をかけて、塩分を落としてください。
フネのオーニングを掛ける前に、メインハリヤードの端をブームエンドにくくり、ブームを持ち上げます。メインシート、ブームバングも調整します。オーニングはブームを棟にして掛けます。
ブームが高く持ち上がりすぎていると、オーニングの後端がスターンの後端にはまらなくなるので、ブームの高さを調整します。
船台が動かないように、グランドスリングのロープで船台を固定します(1隻あたり4方向)。

Mini12の乗り方-2      
1.ステアリング
足でペダルを踏んで舵を操作するので、慣れが必要です。
右側のペダル(右足)を踏めばフネは右に曲がり、左足を踏めば左に曲がります。
慣れない間はペダルを強く踏みすぎて、舵を大きく動かしがちです。
また舵を切った後、ティラーなら手で自然に舵を戻しますが、足の場合はワンテンポ遅れがちです。
このため最初はタッキングなどで急激に舵を切りすぎたり、フネを回しすぎる傾向があります。
パフに合わせて当て舵をする場合も、フラフラしがちです。
スティシーは、「何も考えずに足でステアリングができるようになる必要がある」と言ってましたが、その域に達するには、かなり乗り込まないと難しいだろうと思います。
足は手に比べて不器用なので、「ジワッと踏んで、すぐ戻す」。。。みたいな感じでしょうか。

2.マストレーキ
Mini12のマストはオンデッキマストで、サイドスティはマストのほぼ真横にあります。
このため艤装のページでも触れましたが、パーマネントを緩めてジブハリヤードを引けばマストは前傾します。逆にジブハリを緩めてパーマネントを引けばマストは後傾します。
西海岸のMini12チャンプ?のスティシーによれば、風速によってマストレーキは変えるし、フリーではマストを前に倒すと言ってました。つまりレース中もマストレーキを変えるということです。
Mini12のジブのクリューと、ジブシートトラベラーとの位置関係はかなり微妙で、マストを後傾させすぎるとジブのクリューがトラベラーのミニブロックに当たってしまい、結果的にジブを十分に引き込めなくなります(これはマストを後傾させるとジブのラフも後傾し、結果的にジブのクリューが下がってくるからです)。
私のMini12では、
@ジブシートトラベラーを一番前にして、
Aジブのクリューがトラベラーに当たるまでジブシートを引き込んだ状態で、
Bジブのリーチの上部がサイドステイ(V1)にタッチングする状態。
で、ジブハリヤードにマークを入れています。マークの位置はジブハリのカムクリートのすぐ手前にきます。
なお、ジブシートトラベラーを後ろに移動すれば、このマークの位置よりさらにマストを後傾させても、ジブシートを一杯に引けばリーチはタッチングします。
Mini12のマストはテイザー級の上部セクションを流用しているそうですが、中強風ではメインセールがマイナスカーブになるぐらいまでパーマネントを引いても、フォアステイのサギングはかなり大きく残ります。
中風以上の風でフォアステイのサギングを取るためにはマストを後傾させた方が有利ですが、後傾させすぎるとジブのリーチが入ってきません。もっとも強風ではジブのリーチを多少は開くことになるので、マストはさらに後傾させてもOKということになります。
このあたりの兼ね合いを考えてマストレーキを操作する必要があると思います。
とりあえず一番注意すべきは、中風以下の風でマストを後傾させすぎて、ジブのリーチが開いてしまうことです。
このような場合は直ぐにジブハリヤードを引いて、マストを前に倒し、リーチが引き込めるようにしましょう。
上記@〜Bの状態を満たしたマストレーキ。 同左の状態のジブハリ(緑)のマーク(黒) 上記@〜Bの状態のクリューとジブシートトラベラー 
同左の状態でトラベラーを最も後ろに移動したところ。
マストはまだ後傾させることができる。
ジブ(カンタム)のリーダーを最も前にした状態。  ジブ(カンタム)のリーダーを最も後ろにした状態。

3.クロスホールド
海体前もそうですが、Mini12のレースは陸地に囲まれたフラットな海面で行われるので、大抵はトリッキーな風が吹きます。
ジタバタしているうちに軽風下ではクロスのつもりが、うっかりアビームに近いコースを走っていることもあるので、特に初心者の方は気をつけてください。また軽風ではフネが重いので、一度スピードを失ってしまうと加速するのに長い時間がかかります。
中風以上ではパフが入るとMini12は簡単にヒールします。
パフが入ったときもできるだけヒールを一定に保って、パワーを高さに変える足ワザが欲しいところですが、これがなかなか難しいです。
「素早くジワッと踏んで。。。」みたいな感じでしょうか?
メインシートトラベラーは背中の後ろにあって目視できないし、コントロールシートはデッキ下、コクピットの両サイドにあるカムに導かれ、シートを前後方向に調整するのでやりにくいです。
従ってパフに合わせるのはメインシートの方が良いと思います。
頭を左右に移動しただけでフネは揺れるので、クロスホールドでは頭をブームの風上側に据えた方が良いと思います(尻はどうしてもコクピットの風下側にずり落ちます)。 
 
スティシーのクロスホールド 

4.タッキング
タッキングでジブシートを早くリリースしすぎると、ジブのクリューがサイドステイに引っかかって、手間取ります。
新しいジブシートはワンストロークで引けるので、十分に裏風を入れてから一気に返します。
ジブに気を取られすぎると、フネを回しすぎたりします。

5.ダウンウィンド
マストを前傾させるのがセオリーのようです。
スピンも上がりますが、第11回宝船レガッタでは「使わない」ように要請します。
ダウンウインドではジブに風が入るあたりまでアングルをつけるか、観音開きで走るかですが、風速によると思います。
軽風では一度スピードを失ってしまうと加速するのに長い時間がかかります。
乗艇位置で前後トリムも簡単に変わります。 
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