新しい合奏団が産声をあげた。リベルテというらしい。安藤さんの委嘱作品も取り上げるというから、これは楽しみである。むかし、渋谷にサロンドリベルテというシャンニエがあったが、いまでもやっているのだろうか？モンマルトルのラパンアジルみたいに、その時代のことをいろいろと諷刺したりして、それで夜更けまで「人生は！」みたいに歌っているのである。ミラボー橋かなにかの、ちょっと憂鬱な詩も見隠れして、それで気がついたら終電を逸してしまっているそんな店である。すっかりご無沙汰してしまったが、きっといまでもピアニストの熱田さんあたりが鍵盤の境が感じられないくらいなスムーズなアルペジョを奏でていることだろう。少なくともぼくの記憶のなかではいまでも生き続けているのである。それでリベルテと聞いたとき、この店のことが蘇っていた。ちょっと歳をとって、ふたたび「人生は！」っていう歌を聴いたら、なんだか目頭が熱くなるようなこともあるかもしれないね。行ってみようかな、こっそりと。