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アンサンブル・アメデオ 第4回サマーコンサート
パンフレットより

Ensemble Amedeo The 4th Summer Concert
2000年8月5日(土)
於:ティアラこうとう
 


曲目解説
Plucking Strings

 以前、ケルン在住のマンドリン製作家内藤間喜さんに、ドイツのマンドリン音楽事情についていろいろお尋ねしたところ、これが結構盛んとのこと。音楽学校にマンドリン科があるくらいですから相当熱心なようです。ある日のこと、内藤さんからCDやテープやがどっさり送られてきました。そのなかに、この曲が入っていました。「マンハイム・マンドリン合奏団」の演奏の一曲目に収録されていた曲です。あとで内藤さんにお聞きしたら、どうやらこの曲は、この合奏団では毎回オープニングに演奏されるらしいとのことで、向こうでもお気に入りの曲のようです。なにしろ、底抜けに楽しい曲で、ぼくもすっかり虜になってしまいました。楽譜を取り寄せてもらったところ、ユリウス・ステファーノの「スポットライト・オン・ザ・ストリングス」という曲が原曲で、へルゲ・ニールソンという方がマンドリンオーケストラのために編曲したものでした。
ドイツではマンドリンオーケストラのことをZupfochesterというそうです。Pluckingとは弦をかき鳴らすという意味で、とってもごきげんな曲です。なにしろ、オープニングにはぴったり。今日は「みなさん、ようこそ!」っていう気持ちで演奏します。

Trois plus Trois

 「3足す3は、なあに?」それは、赤ちゃんのお耳?でしたっけ…
 残念ながら作曲者のシャルル・アンリに関する情報は、ほとんど見あたりませんでした。ある日のこと、銀座のヤマハの楽譜売場をうろうろしていたら、かわいい楽譜が目に止まりました。Une Adventure de Babar「ババールの冒険」ではありませんか!表紙には、あのアンリ・ブリュノッフのかわいい子象の絵が‥。こういうときは、迷わず衝動買いですね。

ピアノの連弾で、7曲からなる立派な組曲です。作曲者はピエール・ヴェローネ。聴いたことないなあ… でも、どれもかわいい曲ばかり、和声も印象派チックで小気味よし。やがて巻末に辿り着くと、映画の予告編みたいに、新譜の断片が紹介されていました。モニーク・ギャビスの「ウィークエンドミュージカル」。これは、そう、ディアベリの連弾曲みたいな曲で、易しそうな感じ。そして、ありました、ありました。Trois Plus Trois de Charles-Henry。これが、なかなか楽しそうな感じで、こうなると居てもたってもいられません。さっそく注文に走りました。出版社はEditions Henry Lemoine,Paris とありました。

 待つこと3週間。(これでも最近はずいぶん早くなりました。)そして、遂に「3足す3」の謎は解明したのであります。 3足す3、すなわち全6曲あったのであります。(やれやれ)原曲は、4手のための連弾曲集で、副題には「小さい手のためのピアノによるジャズ」とありました。ちなみに曲名はそれぞれ、「Strut-Slow」,「The Just Average」,「Lime Tree Slow」,「lnvetion De Blanc」,「Negro Baby」,「lt is cleaning up」こんな感じです。どれも短い曲で愛らしいものばかり、それでいて、しっかリスウィングしています。各曲には、子供の名前が書かれていますので、ひょっとしたら、それぞれ献呈されたのかもしれません。

 巻末には作曲者に関する若干の手がかりがありました。シャルル・アンリは、パリのコンセールバトゥーレで、かのオリヴィア・メシアンと同級生だったようです。ピアニスト兼和声学者であり、ジャズの研究家でもありました。「国際ジャズ協会」を設立し、児童教育のための作品を数多く残しているそうです。

Selection from "Lyric Preludes in Romantic Style"

 作曲者ウィリアム・ギロックは1917年7月17日にアメリカ合衆国ミズーリー州ラ・ラッセルに生まれました。同州セントラル・メソヂスト・カレッジを卒業し、ルイージアナのニューオリンズに移リ21年間にわたリビアノの先生として活躍なさったそうです。後にテキサス州ダラスにおいて作曲活動のほか学生のためのオーディション審査、ピアノ教師の講習会のためにアメリカ全土を回り全米音楽教師協会評議会のメンバー、全米音楽倶楽部連合会の会長も務めました。1993年9月7日にダラス郊外デソートで永眠しました。

 叙情小曲集は、ギロックのかわいい甥のジョンのために「十月の朝」(ピアノ独奏曲)を書いたのがきっかけだったそうです。出版社サミーバーチャードの編集者ロバータ・サヴラーのすすめで、24の調性からなる曲集が誕生しました。作曲者自身の言によれば、「ピアノ学習をすすめるうえで、ロマン主義的な感覚を掴むということを意図して作曲されたもので、ロマン派の、より複雑な大曲に取り組む前の準備の有効な手段になればとの願いが込められている。」とのことでした。短編ながら、ひとつひとつの曲に込められた感情表現はきっわめて多様多採で、どれも愛らしく、まさに絵本のようなときめきに溢れた作品集となっています。

 ギロック協会と交友のあった安田裕子さんの、各曲に対するイメージがCDの解説に掲載されていましたが、演奏するうえでとても参考になりましたので、掲載させていただきます。

「十月の朝」

まんて幸せなんだろう
この美しい大地に、わたしは生まれ、ここで生きている
穏やかな秋の日に
君とふたりでお茶を交わそう


「荒れ果てた舞踏室」

年老いた女性がひとり
古ぽけた稽古蔀屋へもどってきた
昔の輝かしい懐かしい日々が蘇る
ほら、オーケストラの音が聞こえてくるでしょう
やがて、幽霊のオーケストラは、ワルツを弾きはじめました


「色あせた手紙」

いったい、どれくらいの時間がたったのだろう?
あなたの手紙を受け取ってから…
あなたのことを想うと、
いまでも涙が止まりません


「秋のスケッチ」

空ってなんて青いんだろう!
美しく彩づいた木々の葉っぱのきれいなこと!
わたしの心はせつなさに溢れてしまう
ひとりどこまでもこの道を歩いていこう


「なつかしいヴァレンタイン」

なつかしい思い出が走馬灯のように浮かびだす
どうしているのだろう、いま あのひとは


「青もなく降る雪」

夕暮れのもやに包まれた風景
青もなくやさしく降り続ける雪が 景色を変えていく
あたかも私の人生のように


「セレナーデ」

美しいものを君と分かちあえたなら
幸せを、哀しみを、喜びを 今夜の素晴らしい晩餐を君と分かちあえたなら
この世のすべてを君と分かちあおう


Selection from "New Orleans Jazz Style"

全音楽譜出版の元曲(ピアノ独奏)に、ギロック氏自らの解説が載せられていますので抜粋させていただきます。
 ジャズはアメリカが20世紀に発展させた偉大な音楽への贈り物のひとつです。専門家の間では、のびのびとしたジャズの動きの源はニューオリンズ、ベイジンストリートの中心地にある下級キャバレー街にあると言われています。そのベイジンストリートから北はミシシッピー流域、メンフィス、セントルイス、カンザスシティ、シカゴヘと伝わり、東はニューヨークヘと広がっていきました。ここ50年、アメリカのポピュラーなジャズが世界中の若者のイマジネーションを駆り立て、ジャズの新しいリズムとハーモニーで堅いまじめな音楽を豊かで楽しいものに変えています。ニューヨークや他の国々のジャズの中心地で、ジャズは優美に洗練されていきましたが、ニューオリンズのジャズはその素朴さと元来の個性を失わずに今日までかたくなに守り続けられてきました。

 このコレクションのなかには、1920年初期のブルーススタイルで書かれた「ニューオリンズのたそがれ」、気楽でおもしろい「デキシーランドコンボ」、激しいリズム、ブラス風そして挑戦的なアレンジのフォーク・バラード「フランキーとジャニー」などが入っています。この曲集は、中級レベルの生徒を対象に書かれています。生徒の音楽性を教育するには、ジャズも含めて、バラエティに富んだポピュラーなスタイルの曲を日常のレッスンに取り入れるべきでもあり、また、生徒が望めば楽譜から離れて即興演奏を経験するのも良いでしょう。自発性ジャズイディオムの基本のひとつなのです。
  (ウィリアム・ギロック)

Sulla Piana della Melia

 作者ジュゼッペ・マネンテは1868年2月3日にイタリーのサンニオ・モルコーネで生まれ、1941年5月17白ローマに逝いたイタリアの最も著名な吹奏楽作曲家で、各地の軍楽長を歴任し、マンドリン音楽にも多くの作品を残しました。

 「メリアの平原にて」は、1909年のイル・プレットロ誌主催の作曲コンクールで第2位に入賞した作品です。戦闘的で激しいモチーフによる主題と甘美で悠然とした旋律が交互に現われ、そのコントラストがきわめて効果的に演出されています。冒頭のユニゾンで奏されるD音は、どこか運命的に轟いて、あっという間に、聴くものを圧倒してしまいます。マンドリンのオリジナルピースのなかでも比較的演奏頻度の高い曲ですが、技巧的には難曲の部類こ属し、ここのところやや敬遠ぎみの感もあります。聴きどころは、なんといっても2回目の激しい戦闘のシーンをのり超えて、忽然と広がる大地をも思わせるような8分の6拍子の雄大な旋律でしょう。ここがやりたくてこの曲をやるといっても言い過ぎではないと思います。転調を重ねながら、一段とその眺望の広がりをみせ、どこまでも伸びやかに浪々と歌われます。

 ところで「メリア」とはいったいどこにあるのでしょう?同志社大学の演奏会のプログラムの解読(こよれば、どうやらイタリー最南端に実名の地があったようです。そこは、かつて軍隊の演習が行われたところだそうで、マネンテが軍楽隊長だったことを考えあわせると、なるほどという気がしないわけでもありません。しかしながら、ここのところは、そんなふうに現実的に考えないで、それこそ邪馬台国みたいに、謎のベールにつつまれた架空の日のように、神話伝記風に思い浮かべたほうが、イマジネーションも膨らんでいいんじゃないでしょうか。

クライマックスは圧倒的です。もちろん技術的には、ほとんど不可能に近いくらいのことが要求されますが、そう、最後の音も冒頭と同じD音のユニゾンです。これで、圧倒的に締めくくる。これはかなりかっこいい曲です。(でも難しい…確かに…)

Spleen

 作者アマデオ・アマデイは1866年12月9日イタリアロレートに生まれ、1935年6月16日トリノに逝いた作曲家です。各地の陸軍軍楽長を歴任し、早くからマンドリン合奏曲を手掛け、1909年ミラノのイルフレツト0主催の作曲コンクールに1位に入賞した「海の組曲」で一度脚光を浴び不同の地位を築きました。

 スプレーンとは「憂鬱」という意味で、ギターの分散和音に乗って現われるはじめの旋律からして、嘆きやためいきのようにも聞こえてきます。しかし同時に、慰めるような暖かみにも盗れています。心細く悩まし気有経過句を綻て、やがてあたかも鳥が羽を広げて舞い上がるかのように、永遠の響きをたたえて飛翔のときを迎えます。再び、はじめの旋律が蘇ってきますが、今度は、仲間に支えられるかのように対旋律を伴って、な<さめのなかに消えていきます。

Per Un Tuo Solliso!

 作者は1893年8月31日イクリー北蔀のカサーレに生まれ1947年8月22白に同地に逝いた作曲家です。音楽については正規の教育は受けませんでしたが、お父さんが素人ながら音楽に興じていたため、その影響を受けて数多くの作品を残しました。非常に禅鮭質な人で、一定期間をおいて発作の治療を必要とし、そのことに極度の絶望感を覚えて、遂に自ら命を断ってしまったと伝えられています。

 本曲は1938年ミラノのイルプレットロ誌に発表された曲で、終始ベルッティ特有の、甘く切ない旋律で被われています。彼の作品のなかでは比較的明るさが見い出され、イタリーのカンツォーネのような世俗的なうたとなっています。ワルツレントは当時の流行であったにちがいありません。この手の作品は数多くみられますが、和声進行の妙といい、オーケストレーションの大胆さといい、他の追従を許すものではありません。

 ところで、まったく関係のない話になりますが、「ソリーソ」(微笑み)といえば、飯田橋神楽坂にその名前のイタリアンリストランテがあります。つい最近土曜日、日曜日も営業するようになりました。素材を活かして、なかなか美味で、おまけにリーズナブルときていますからこれはもう超お勧めです。ちなみに、ランチは、デザートがついて、確か1,500円でした。お薦めのメニューは「ほうれんそうとゴルゴンゾーラのリゾット」。(ランチ数に限りあり。要注意!)こうなったら電話番号もお教えいたしましょう!03−3235−4477。やはリイタリーの音楽にイタリー料理は欠かせません。

Suite Campestre

 作者サルバトーレ・ファルポはシチリア島シラクーサの出身、1927年4月8日にこの世を去ったイタリーの作曲家です。1910年のイル・プレットロ誌主催の作曲コンクールにおいてウーゴ・ボッタキアリの「誓い」メラーナ・フォクトの「過去への尊敬」とともに本曲「田園組曲」は特別推薦作品に選ばれました。その後イル・プレットロ誌は、これらの作品を出版しましたが「田園組曲」は、若干の改訂の後「[田園写景」と改題されました。

 3つの楽章から成っていますが、どれも個性的でロマンティックなものとなっています。

第一楽章「黄昏れに踊る」
 きらきらと光る陽のように目映い旋律は、さまざまな楽器によって受け継れていきます。全体を貫くメランコリックな色調は、どこか黄昏を思わせるかのようです。素朴でのんびりとした旋律は、のどかな田園風景のなかに溶け込んでいきます。やがて、音楽は高揚していき、クライマックスを迎えます。張り詰めた5度の和声の中で、冒頭の旋律は力づよく狂ったように舞い上がります。ファルボの語法はきわめて交響的であり、ややもすると単調になりがちなマンドリン合奏から色彩感をとりだすことに成功しています。各パートの独立性にもこだわり、第2マンドリンは完全に第1マンドリンから独立して扱われ、きわめて意欲的なオーケストレーションを試みています。

第二楽章「小夜曲」
 すっかり夜のとばりも降りて、あたりは薄暗くなりました。おだやかなセレナーデ。ギターのゆったりとした伴奏にのって、その甘美で優雅な調べはさまざまな楽器でおおきく息づいて、たっぷりと歌われます。ここでも、やるせないムードは相変わらず支配的で、物憂いむせるようなロマンティックな叙情に溢れています。

第三楽章「祭りの朝」
 一転して、目覚ましく激しい舞曲。重音を駆使した特徴的な旋律は、躍動感に溢れています。みるみる転調発展し、すっかり輪舞に巻き込まれてしまします。かなり粗野な印象を受けますが、それがかえって力強さとなって聴くものを釘づけにしてしまいます。中間部は揺れ動く心を追い掛けるかのように、心理描写的な経過句。印象派的な和声に支えられて、音楽も高揚衰退をくり返します。やがて、遠くの方から祭りのモチーフが聞こえてきます。一層力強く登場したかと思うと、一気に高揚して駆け抜けて終わります。
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