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TOKYO POETRY READING Vol.5

たぐち ふとし


1
マラソン

投げるのか つくるかの
デット ヒート
走る 走る 走る
何のために
走る 走る 走る

昨今 マラソンのためなら
交通規制も許せそう
走る 走る 走る
何のためにとは関係なく
応援するよ する する

戦っているのだもの
投げるのではなく
自分を つくる
走る 走る 走る

でも いつも投げたい
いつも背中合わせに
走る 走る 走る
つねに背中合わせに
走る 走る 走る

歯を食いしばる
食いしばらない
歯をくいしばる
走って
走る 走る 走る


2
アイのパピプペポ

はやめのパブロン
南のパイン
夜中のウナギパイ
今のパラノイア
本日のパスタ
車のないパーキング
きみとぼくはセパレーション

カーテンのピンク
AM5:00〜7:00 のハッピータイム
夜明けのピリオド
力量のあるピエロ
仏教とピストル
ウィスキーとピーナッツ
タンゴのピアソラ

日立のポンプ
夜明けのプロポーズ
新婚旅行のプーケット
Go Back プサン
おやつにカップヌードル
女盗賊プーラン
エレベターでのプー

まったりのペイズリィ
恥ずかし嬉しペアルック
薄めのペニシリン
希望退職のペッパー警部
捨ててきたペット
東北地方のペペロンチーノ
そろそろ始めるっペ

世紀末のポエット
U2 のポンズンレイン
親父のポマード
健康なポルノ
安全なポルポト
錆びたマフラーのポルシェ
孤独なポケットベル

GO TO HIRATUKA 東海道線にて


3
詩情

よい詩とは何か。それは、心に残る。心に残る詩は一定の動きがある。徐々に登りつめ、高まった直後、徐々に下降する。砂浜に波が打ち寄せて、そして、引いていくように。

よい詩とは何か。それは、静かな余韻を感じさせる。お寺の鐘がな鳴り響いて、消えかかっていく時のような。井戸の地下水が闇の中で、さっきから、いやずうっと前から、いつまでもそうして横たわっているかのように。

よい詩とは何か。それは、多くの人に広く広がり、そして愛されていく詩である。ずうっと、ずうっと、そこにあり続け流れる。いつまでも、いつまでも忘れられない詩。形は移り変わりゆくとも願いは永遠である。これからも、人が生き続けていくように。

よい詩とは何か。それは詩である。詩以下でも詩以上でもない。詩は詩であり、もはや詩なのだから。


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