トップの画像植井努の一秒間に24

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背が低い

1938年 モノクロ62分 隅由仲友監督 丸藤隆雄主演

 『背が低い』は隅由監督の戦前の最高傑作である。もちろん私の中だけでの評価であって、人によっては「1000000000回連続」とか「もげ」とか言う人がいるだろうし、戦後の作品では「真昼の兵隊」なんかも相当面白い作品である。どれも爽快な暴力映画であり、シンプルで楽しい。実際の隅由監督もなかなかの暴力人間で、脚本が進まないとネタ作りと称して、盛り場に喧嘩を売りに行ったりしていたそうである。撮影現場でもスタッフに限度を超えた暴力をふるったらしく、現在ほとんどの作品がビデオ化、DVD化されていない理由も、恨みを持った当時の助監督にマスターのプリントを消失(もしくは焼失)させられてしまったからだとの噂である。隅由監督の助監督といえば、去年死んだ○○監督か、晩年は役者でも売れていた○○しかいないが…。二人とも死んでしまっているので永遠にあれだ。謎だ。

 印象深いのは冒頭で、いきなり主人公の生首がコロコロコロコロと東京オリンピック30年前の代々木の谷を転がり、そして爆発する。説明一切なし。あとは62分ノンストップの首無し男の首探しの旅である。「俺の首を知らないか?」「へぇ、知らないです」「嘘をつくな、えい」「わぁー(首ちょんぱ)」

 主演/丸藤隆雄(戦時にラバウルで死んだ)となっていたが、オープニングの似てない首の造り物以外は、首無し男の話なので実際は誰が演じても同じである。「丸藤を出せ!」と酔っ払いがスクリーンに向かって煙草を投げたのを覚えている。見たのは5歳の頃か。それでも封切りから7年は経っている計算だ。流行っていたのか、なんだったのか。

 あとの内容は全ての隅由作品と同じである。隅由映画では、主人公はヤクザでも、警官でも教師でも兵隊でもとにかく喧嘩の達人で、善悪関係なく自分以外の登場人物を殴る、蹴る、飛び蹴る、の繰り返し。で、ラストで死ぬ。その際、無関係な人物を多数巻き添えにして死ぬ。すべて同じ。

私も死ぬ時は大勢の人を巻き添えにして死にたいものだ。誰だって「どうせ死ぬなら嫌いな奴を全員殺して、美人を4、5人犯して死ぬぜ!」と思うはずである。でも実行する人って全然いないね。だから私もしないのかな。死ぬ間際に「だめ!このまま静かに死になさい!」って抑制させるものがあるとしたら、それが本当の愛だと思う。
 和恵、お前とのことは本当の愛じゃない。




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