トップの画像植井努の一秒間に24

hula-hooper発行「ふらぴすとに屋」にて連載中!




女の戦争ぜよ

1969年 モノクロ141分 ホルケオ・ミシジェビッチ

    67年から69年までの2年間という短期間で11本という異常な数の映画を発表し、その後現在まで一切の消息がわからない監督ミシジェビッチ。東欧系の名前だが、作品を配給していたのはイタリアの映画会社である。個人的な情報は名前のみで年齢すらどの資料にもなく、作品数の多さからミシジェビッチ複数説、突然の消息不明から実は東側からの亡命者でKGBに殺された説、あまりに稚拙な撮影、編集からミシジェビッチ9歳説まで出て来る始末。とにかく謎が多いが、作品自体が大して面白くないため、その謎を真面目に解こうとする人がいないのも事実である。

   今回取り上げる「女の戦争ぜよ」は、ミシジェビッチの残した11本の作品の中では比較的まともな状態で見れ(ほとんどの作品はフィルムの保存状態が悪く現在は見れない)、彼への入門作としては最適だ。

 当時の国際情勢や民族紛争に詳しくないと話の展開からは置いてきぼりをくうが、人の死に方はとにかく最高の映画である。身体のどの部分を撃たれても必ず頭が破裂して死ぬし、ナイフで胸を突かれただけで見事にまっぷたつに裂けて死んだりもする。さらにわずかな人数のエキストラで大軍を演じているため、同じ顔の兵士が繰り返し、破裂、まっぷたつ、八つ裂きに!そうして死んだ兵士は繰り返し戦車に踏みつぶされ、キャタピラが人間の脂で空回りするというシーンまで丁寧に撮っている。

映画は後半、死んだ兵士がゾンビになって蘇る辺りから意味不明の速度を増し、ゾンビ対人間の構図へ。今まで対立していた人間同士が手を取り合い、強力してゾンビ軍を倒すのだ!…という展開にはならず、ゾンビはそれぞれ自らの軍隊を助け、両軍共にゾンビと人間の入り交じった構成で尚も戦い続ける。ぐちゃぐちゃのゾンビ兵士が、また破裂にまっぷたつ。ハンバーグをもう一度ミンチ!殺せ、殺せ、殺せ!もっと殺せ!

 ミシジェビッチ・マニアの中では、一応一貫した作風があるため複数説は有力ではなく、67年当時すでに高齢だった老人が永年撮り溜めた自主映画をまとめて映画会社に売り、その後死んでしまったという説が有力とされているそうです。

 70とか80の老人が141分、人が死んで、蘇って、死ぬのを繰り返す映画を撮る動機はなんだったのか…。私は今年で65歳になりますが、こんな老人になりたいし、実際に殺人なんて出来ないけれども、1日1回くらいは殺意を抱くような元気が欲しい。きっと健康でいられると思う。健康と平和を祈り、君からの愛を待ってます。




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