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1949年公開 モノクロ75分 監督、出演者、失念。
子供の頃の憧れのヒーロー「怪盗油足」。時代的には月光仮面や黄金バットなどもいたが、私にはこの油足だった。今、この油足という名前を耳にすると、ヒーロー物のパロディや皮肉めいた内容を想像させるが、実際のストーリーは全くそういった部分はなく、どちらかというと恐怖の面が多かった。
犯行現場に残る油染みの足跡の正体は…、普段は冴えないサラリーマン!ではなく、直球。自動車整備工場で働く男のオイルまみれの足。武器はスパナ。スパナを振り回す!のではなく、突く。相手の前歯や鼻に向かって徹底的に突きを見舞う。画面から鈍痛。前歯の欠けた警部、鼻のひしゃげたライバル泥棒に追われる油足。登場人物の八割が彼によって顔面を変形させられた男達。恐い。
泥棒が主人公になりやすい時代でもあった。昭和の高度成長期前夜。まだまだ街灯も少なく、信じられないかもしれないが、東京だって夕方になれば真っ暗だったのである。どどぉうと音を立て屋根を跳ぶ。ビルのない東京を。夜が青い。月明かりだけの夜は青い。蛍光灯が街にあふれてから夜は黒く見えるようになったのだ。
昔話が好きなんじゃない。昔も最悪なことはいっぱいあった。貧乏で乞食になりかけたり、ホームレスになりかけたり、路上生活者になりかけたり、社会生活に不自由な方になりかけたり、人の呼び名も変わったわけね。やってることは一緒だよ!
憧れて泥棒になった友達がいる。靖男と言って不器用なやつで、知り合いの家にばかり盗みに入っていた。知り合い相手にねずみ講や宗教の勧誘をするのと同じ感覚か。俺も3回やられた。美奈子の家に盗みに入って、放し飼いの飼い犬「浪花号」に首をかまれて死んだ。美奈子の家の庭で靖男、血と小便にまみれて。何かに憧れ、好きな女の前で恥をさらして死ぬ。やってることはみんな一緒だよ。
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