トップの画像植井努の一秒間に24

hula-hooper発行「ふらぴすとに屋」にて連載中!




諸手を挙げろよ、ビーバー!

1970年公開 カラー93分 監督、出演者、失念。

 30年前の千葉だった。仕事が早めに終わってしまい、すぐに東京に戻るのもなんとなく嫌で、かといってどこに行くでもなし。なにもない千葉駅で立ったまま缶コーヒー、缶ポタージュ、タバコ、タバコで映画でも見るかという流れ。

 一応、ヨーロッパ圏だけども聞いたことない名前の国で作られた粘土アニメ。場内に溢れる乳臭い子供達、それを育て中の生活臭い母親達。挟まれて、埋もれて、気が削げたなぁ。よく覚えてる。あと当時は映画館の中でもタバコが吸えたなぁ。もちろんマナー違反だったけど。でもまあ、許される範囲の違反だった。

 話はある日、嵐で増水した川のせいで見知らぬ土地まで流されてしまったビーバーが、故郷に戻るロードムービー。よくある、よくある。やっとのことで帰った故郷はかつて自分が木で作ったダムではなく、人間が作ったコンクリートのダムになっていた・・、ってな感じ。ははぁーん、環境問題ね、僕達、私達の自然を返せってことね、とパーマ液臭い母親達が安心しきったところから、映画はさらに展開する。
 ビーバーはコンクリートのダムをカリカリ、カリカリ。故郷に戻るのを一年かけて描いていたが、カリカリするだけで三年の歳月。前歯が折れ、仲間のキツツキに助けられ、とうとうダムは決壊。溢れる水は人間界を襲うのだった!板切れに乗って、サーフィンしながら麓の町を飲み込んでいくビーバー&ダムの水。いいのかなって思うくらい残酷な描写で死んでいく人間達。だって途中で水が赤くなるわけですわ。人間の血で。

 ラスト。宇宙に浮かぶ真っ赤な地球。諸手を挙げて旗を振るビーバー。しまった、この映画の赤は、政治的な意味のあの赤だ。ソ連のあった時代。こんな映画もいっぱいあった。当時、付き合っていた彼女とも政治論をかわしたりした。お揃いのヘルメット。手作りの火炎瓶。時代だ、時代。しばらく前にテレビでその彼女を見た。飛行機のテロップを降りて、房子。手錠を掲げて笑った。




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