トップの画像植井努の一秒間に24

hula-hooper発行「ふらぴすとに屋」にて連載中!




炸裂する人、爆裂

1993年公開 カラー30分 監督、出演者、失念。

 
 大学で学園祭などをやっていると、ふらふらと入っていって映画研究会の上映会というやつを覗くのが趣味である。私は年齢的に学生の誰かの父兄だと思われるらしく、毎度何処へ行っても丁寧な対応と見やすい席を案内され、そして見終わった後アンケートへの記入を強要される。
 名もない学生が若さを糧に撮った映画の大抵はクズで、吐き気がするし、死んでしまえばいいとさえ思いながら観ているが、一方で若者がこんなにつまらないならまだまだ俺も安泰だとほっとする、俺、63歳。これからも何処かの大学の視聴覚室を訪ねるだろう。

 さて今回、紹介する『炸裂する人、爆裂』という映画もそういった学生映画である。東京工芸大学とかなんとかの学園祭で観た。

 タイトルからして、なにか不穏な空気というか、背伸びして背伸びして地元を否定することで己を肯定しながら上京してきて、池袋駅の広大さに目が回り、目的地のパルコにたどり着けずキンカ堂で意味のない買い物をするような、4月に処女のまま大学に入学して最初に仲良くなった「パトリス・ルコント?俺も好きだよ」って男に犯られて大学デビューみたいな女学生が撮ったような映画だなぁと思っていたら、その通りだった。

 上映が終わった後、監督と名乗る女学生が、私の想像どおりな雰囲気で登場してきて、いかに予測出来ない困難が自らの輝ける才能をフィルムに焼きつける際の妨害になったかをとうとうと語り、これは未完だ!と叫び、私はもっとすごいんです!と泣きくずれ、しゃがんだ時に少しブラが見えた。ピンク。巨乳。

 つまらない上映会のハイライト。そして彼女の人生のハイライト、だったら面白い。顔がちょっと可愛かったから尚更そう思う。「これは未完だ!」ってそこだけ訛ってて、それでちょっと泣いた。  肝心の映画の内容は、満員電車の中でパンクバンドが演奏したり、駐車場のフェラーリに「シャア専用」と落書きしたり、浦安方面の巨大な遊園地の中でマスコットのネズミの着ぐるみに飛び蹴りしたりするロケ映像が映っており、視聴者からのおもしろビデオ大募集みたいなテレビの最高峰でした。 

  




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