トップの画像植井努の一秒間に24

hula-hooper発行「ふらぴすとに屋」にて連載中!




びゅうと鳴る、円盤

1952年公開 モノクロ20分? 監督、出演者、失念。

   子供の頃はよくお祭りになると活動写真屋というのが神社の境内にテントを張ってその中で映画を上映したり、夏祭りだと暑いので、そのまま木と木の間に幕を張ってそれをスクリーンにして商売をしたものです。そういった所で観た映画はよくタイトルもわからず、上映時間も短く、話も退屈なものが多かったのでほとんど忘れてしまったが、唯一強烈な記憶で覚えている作品がこれである。

 「びゅうと鳴る、円盤」というタイトルはもちろん、オープニングで稲妻をバックにタイトルが浮かび上がったときの文字の形まで覚えている。焼そばを食べながら見た。はしゃぎすぎて映画が始まる前に寝てしまった妹を抱きながら。

 映画は今で言うならB級ホラーというやつだ。突如、東京上空に現れた円盤!大慌ての都民!そして日本国民、自衛隊!国会で大騒ぎの議論が重ねられ総理大臣が宇宙人と会うことになった。ところが円盤からは何日経っても音信不通。ただただ上空で回り続けるだけ。
 まあここまでは普通のパニックホラーというか、群像劇というか。子供の興味はとにかく宇宙人の造形にあるわけです。どんな宇宙人が出てくるのか…。

 映画終盤、業を煮やした自衛隊が強引にこじ開けた円盤の扉から出てきたのは宇宙人、のゾンビ!!なぜか宇宙人は円盤の中でゾンビ化していたのだぁ!なぜ!?っていうかそういうナレーションで説明されなければ、普通に宇宙人が出てきたと思うだけ。でもゾンビ!次々に自衛隊に襲いかかる宇宙人のゾンビ!別にただの宇宙人が襲いかかっても同じじゃないか!でもゾンビ!子供の頭だから素直に受け入れて楽しんでたなぁ。何年か後に思い出して「客をバカにするにも程がある!」と畦道で憤慨したがあれが私の大人になった瞬間だったのやもしれぬ。

 映画の最中、ずっと寝ていたはずの妹は家に帰ってから怖かったなどと言っていたが音声だけ聞いて、夢でもみていたのだろう。7歳で死んだが、生きていれば今頃58歳。ゾンビになって現れろとは言わないが、星になったというのなら、いつか円盤に乗って俺の前に現れてみろ。俺は子供のような涙を流す。 

  




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