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1972年公開 カラー115分 監督/出演者、失念
30年ほど前に岩手の小さな映画館で観た記憶がある。暗がりに映写機を置いただけで、それを名乗ったその映画館は、映画の音が時折、外の蝉の鳴き声にかき消されて。クーラーが効いてなく、始まる前から汗だくになって。そして映画は、ある夏の一番暑い日を舞台に展開するので陰謀か。あぁ。
強盗とそれを追う警官。この映画を、とくに紹介しようとまで思った理由になるシーンは後半まで出てこない。前半は登場人物のうだうだな会話ばかり。日常の停滞。凡庸で退屈。岩手も夏は暑い。あぁ。
でもだがしかし、後半映画は一気に加速(脳内でエンジン音、確かに。)、強盗と警官が最初に出会った瞬間からいきなり壮絶な銃撃戦に突入するのである。
江ノ電の踏切りを挟んでの銃撃戦。始まると同時に踏み切りに電車が飛び込んでくる。通過する電車を挟んでの撃ち合い。当然、蜂の巣になる電車。中の乗客が次々と死んでいく。全てスローモーション。大量の死体を乗せたままギチギチと進む列車。警官はまっぷたつ。なぜ?銃撃戦だったのに。
生き残った強盗は、吸った煙草の煙が撃たれて開いた胸の穴から出てくるのを見て「これはあれだな、死ぬな、俺な。」 そう言って静かに息を…、の前に雷に打たれて死ぬ。
そう、唐突に銃撃戦が始まったと思ったら、登場人物はみんな壮絶な変死をとげる。意図、わからず。意図がわからないと、あれです、情熱だけわかるのね。で、そいつでもって、俺は、岩手の映画館で泣いたのです。それ以上に汗をかいたのです。一緒に観た悦子はそのあとすぐに事故で死んだのです。そのころの私ときたら、みんな死ねばいいのにと思っていたので、映画で泣いて、悦子の葬式では泣かなかった。あぁ、悦子。今ならお前に泣けるだろう。今ならこんな映画で泣かぬだろう。あぁ、悦子。君の声で僕が笑う。
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