<マグナボックス社への不満>

【寺町】 ODYSSEYは結果的にベアさんの思ったとおりのものに仕上がりました?

【ベア】 ええ。

【寺町】 ベアさんにとって、ODYSSEYとは?

【ベア】 もう少し、マグナボックス社にがんばって欲しかったですね。でも、私は物を売ったりするという興味はなかったですし、それは私の信念ではありませんでした。

【寺町】 マグナボックスに?

【ベア】 初年度でODYSSEYは10万台も売れたんですよ。でも、マグナボックスはその数にがっかりしたんです。失敗したと。

【寺町】 10万台といえばすごい数だと思うんですが。

【ベア】 ODYSSEYはマグナボックス社のお店でしか売らなかったんです。当時、国中にマグナボックス社の商品しかおかない店があったわけですが、本当にそこでしか売らなかったのは失敗でしたね。

また、ちらしをまいたわけですが、ODYSSEYとマグナボックス社のテレビをいっしょに見せたりしていたんです。かなり多くの人が、ODYSSEYはマグナボックス社のテレビとしか使えないと勘違いしたようですね。

【寺町】 黎明期ならではのエピソードですね(苦笑)。

【ベア】 店などでもカウンターの下の見えないところに置いたりね。あと、いくつかのカートリッジを別売で発売したのですが、それらをほとんど宣伝しなかったのも失敗した理由でしょう。

はじめてのビデオゲームでしたから、マグナボックス社にはもう少し長い目で見てほしかったです。ただ、当時のアメリカの会社のほとんどは、日本の会社と違って、"今すぐにお金に還元されるもの”を欲していましたから。
でも、物を売ろうとする時に、1年間だけで成功するか失敗するかわかるかなあ?あきらめるには早すぎましたね。


BROUCHURE
別売りされた光線銃ゲームのちらし(部分)


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