5.ローラーロッカー

 これもギアドライブ同様賛否両論のあるところだ。私が考えるに、間違いなくフリクションは減少するので、使用して悪影響が有るはず無いのである。特に、ノーマルのスタンプロッカーは手前に引きずるようにバルブを押し下げている。この手前に引きずるようなスラスト方向の応力のためバルブステム・ガイドの摩耗に拍車をかける。現に、鉄ヘッドのO/Hをしたときにステムのがたはクランクに対し鉛直方向が大、つまりロッカーアームが引きずる方向の摩耗量が多かった。こういった事実があるにもかかわらず‘意味がない’と否定する人がいるのには、はなはだ疑問である。確かに‘パワーアップ’という点ではさほど意味がないが、エンジンの延命には確実に効果がある。
 さて、私が使用したのはSUMMITのローラーロッカー、品番SUM-G6910だ。3/8"のスタッドで1.5:1のレバー比を持つ。が、実際の品物には1.6の刻印がある。1.6:1の物も売られているので、それなのかも知れないが実際測ったことはないのでわからない。しかも送られてきたときには、ロックナットが2つ足らなかった。慌てて足らないロックナットを送るように伝えて事なきを得たが、少々いい加減だ。そんなこともあるから、間違って1.6:1の物が送られてきても不思議ではない。箱に書いてある品番は注文した番号と同じだった。
 ’99年11月27日判明:ロッカーアームを取り出してノギスで測ったら1.6だった。

ローラーロッカー ローラーロッカー

 組付けで注意する点は、ノーマルのバルブカバーを使うとカバーとロッカーアームがぶつかってしまうのだ。私はバルブカバーの当たる部分(ノーマルロックナットの外れ止め)を削ってしのいでいる。スマートなやり方としては背の高いバルブカバーを使うと良いだろう。

バルブカバー改造

 また、ロックナットの締め付け位置は通常通り、プッシュロッドが手で回せなくなる位置から1回転締め込んだところで固定した。いっぱいまで締め込んだらパワーが出る場合があるが、それはリフターのエア抜きが出来ていないからだ。今一度チェックしてみよう。以上の話は当然ハイドリックリフターでの事だ。メカニカルリフターを使用した場合は、定められたクリアランスをとって締めないといけない。



結果:

 これも実感できる効果は望めない。しかし、ローラーベアリングによる駆動に対し精神的に安心感がある。バルブステムの摩耗に対しても有利に働く。また、ロッカーアームのナットがセルフロッキングナットからネジでロックする物になったので、弛みを心配する必要が無くなった。

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