6.ピストン、リング、コンロッド

 今回のO/Hではピストンとピストンリング、コンロッドも交換した。ピストンは鋳造(CAST)、鍛造(FORGED)で意見の分かれるところだが、私は迷わず鋳造(CAST)ピストンにした。理由は使用する環境が一般道を走る自家用車であるからだ。確かに鍛造(FORGED)ピストンは粘りがあって強度がある。しかしその強度も一般道を走る車には無用の長物と化す。一般に、鍛造ピストンは熱膨張率が大きく、そのため冷間時のクリアランスを大きめにとるのが普通だ。よってコールドスタート時はピストン打音が大きく、オイル上がりに似た症状を伴うことが多い。また暖気を充分行わないままにブン回すと、ピストンが首を振って致命傷を負うことがある。レースエンジンならともかく、普段の足に使う車に鍛造ピストンを使うことは、余り賢い選択とは言えないと私は考えている。
 私は、SUMMITのエンジンリビルトキットを使用した。このキットには、TRWのCASTピストン、SEALDPOWERクロモリピストンリング、Federal-Mogulベアリング一式、FEL-PROガスケット一式、SEALDPOWERハイボリュームオイルポンプ、フリーズプラグ、プラスチゲージ、アセンブリールーブが入っていた。これも強烈に安い、全部で$200足らずだった。
 コンロッドもSUMMITのSTAGE2というバランス取りされた物を使用した。エンジンの振動を少しでも減らす為だ。このコンロッドは、ロッドのIビーム部分の両サイドが鏡面加工されていて、8本の重量が揃えてある。重量は真面目に測定してあって、ラージエンド、スモールエンド両方が測定してあり、そのデータシートも付いている。$300だった。コンロッドなどの金属表面を鏡面加工することで、応力が分散でき破断強度を飛躍的に向上することが出来るのだ。スタッドはARPのクロモリボルトがインサートされている。アルミのフルフローも考えたがCASTピストンでフルフロータイプの物がなかったので止めておいた。
 ピストンにはピストンピンも付属しており、コンロッドへの圧入は内燃機屋に依頼した。この手の作業を素人が行うと、ピストンを割ることがよくあるからだ。8本で1万円しなかったと記憶している。また、コンロッドの組み付け方向は特にないが、ベアリングのノッチがある方を外側に向ける様にした。オイルスプラッシュホールの付いている物は、それを内側に向けるようにする。ピストンはピストンピンが圧縮行程側にオフセットされている物が多いので、フロントマーク(ノッチや矢印がピストントップに刻印されている)が付いている物は、必ずフロントに合わせないといけない。
 ピストンリングはトップ、セカンドで形状が違う場合間違えないようにする。そのような場合普通キーストンリング(断面が台形の物)がトップになるが、一概ではないので説明書に従う。また、ギャップの調整。面取りを必ず行う。オイルリングはギザギザ部分が重ならないように組み付ける。少々大きすぎるように感じるが、これが正しい。

NEWピストン



効果:

 O/Hしてわかったが、ピストンは大した摩耗もなく交換する必要もなかったかも知れない。まあせっかく新品があるので交換しない手はない。これも目立った効果はないが、新品になったと言うことで、気持ちも引き締まるというものだ。バランス取りされたコンロッドも絶大な効果はなかった。まあ、塵も積もれば・・・ということで前向きに考えることにしている。

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