META NAME="description" CONTENT="ラジエターに穴が空いた"> ラジエターに穴が

ラジエターに穴が・・・

 オイルクーラーを取り付けてしばらくして、コアとホースの付け根からオイルが漏れてきた。熱によってクランプした部分が変形し、ホースクランプが緩んできたのだ。クランプを締めようとするが、コンデンサーとラジエターの隙間に入ったオイルクーラーのホースクランプに手が届くはずもない。コアを取り外さないといけない。この時、オイルクーラーはラジエターの前に取り付けられていた。オイルクーラーを取り付けたプラスチックのクランプはタイラップと同じように一度付けると取り外せなくなる構造なのだ。コアを取り外すにはこのタイラップもどきを切断しなくてはならない。
 で、狭いところにニッパーを持っていってチョキチョキやっていると、ズルッと手が滑ってしまった。’ピューッ’・・・次の瞬間ラジエターが緑色の液体で水芸を始めた。ひえー!やってしまった・・・ラジエターのコアを切ってしまったのだ。
 もうこうなったらオイル漏れどころの騒ぎではない。すぐさまラジエターは取り外され検証が始まった。見事に切れていた。しかし傷は浅く2mm程の傷口だった。こうなったらついでにコア増しでもしようと思ったが、あいにくその日は近所のラジエター屋は休みだった。どうせだめなら自分で直そうともっと詳しく検証を続けた。
 最初、コアはアルミ製だと思っていたが、ペイントを剥がしていくとどうも真鍮らしいことが判った。サイドタンクもコアもフィンもALL真鍮製だった。しかし今時真鍮のラジエターとは・・・いや、これは名車で古いからこれでいいのだ。
 しかしこの真鍮製と言うことが非常にラッキーだった。家庭の半田ごてで半田付けできるということなのだ。もしこれがアルミだったら、こんな薄っぺらい物を一般素人がアルミ溶接など出来るはずがない。早速ホームセンターに駆け込んで半田ごてを買う。あれだけの面積でしかも放熱フィンが付いている物だからとにかくでかいこてが必要だ。その店にあった最大級は100Wの物だった。
 ロウ付け材料の半田にも気を配らなくてはいけない。普通の半田は錫の含有率が50〜60%程であるが、この普通の半田でロウ付け後高温雰囲気中にさらしておくと錫が析出してきてぼろぼろになり、ロウ付け部分が剥がれてしまう。当然エンジンルーム、しかもラジエターのコアなどは最悪の条件といえる。そこで錫の含有量の少ない高温半田を用いなくてはならない。
 さて、実際のコアの半田付けだ。可能な限り傷口周辺を磨き上げ、油脂分も除去する。そしてラジペンでもって傷口を摘んで潰し極力穴を小さくしておく。パスカルの法則・・PV=nRT・・・まあ難しいことは置いておいて要するに傷口にかかる圧力を小さくしてやるのが目的だ。そこにさっき買ってきた半田ごてをあててしばらく加熱しておく。ロウ付け部材の温度が低いと接着性が悪化してしまうからだ。そして、そこに高温半田を盛りつけて冷やせば完成だ。

ラジエター修正個所

 我がコルベットはこの半田付け修理をして4年余りが経過したが、傷口からクーラントが吹き出すようなトラブルには現在のところ見舞われていない。

エアクリーナーがフードに当たる   オイルクーラーを付けよう   目次へ   ホームに帰る