油温が100度Cを越える

 ある日、高速道路を走って気づいたことだが、100km/hを越えると油温がどんどん上がっていくのだ。油温計は250゜F近くを指す。摂氏にすると120゜C前後である。全油量が4L足らずでこの排気量だから当たり前かもしれない。いったいどういう設計になっているのだろうか?
 エンジンオイルにとってこの120゜Cという温度は大変危険である。特に最近の化学合成油にとっては致命的な温度といえる。化学合成油を構成する高分子ポリマー、これはかなり頑丈な分子結合をしている。が、100゜Cを越えたあたりからその結合がバラバラになり始め、ピストンやクランクの摩擦で剪断されてしまう。一度バラバラになったポリマーは二度と再結合したりしない、高温下に長時間さらした結果オイルとしての機能が低下していくのだ。特にマルチグレードオイルはポリマーによってそのワイドレンジを保っており、高温に対し極めて弱いと言える。
 これは大変だ。オイルはエンジンにとって血液と同じ、その血液がダメになっては死あるのみだ。オイルクーラーを付けるしかない。国内で調達するのはばかばかしい。なにせアールズの製品などは十数倍の値段で取り引きされている。よく国産チューニング雑誌に”○○−R用アールズオイルクーラー¥98,000等という法外な値段の広告が出ているが、買ったやつにはご愁傷様としかかける言葉がない。アメリカ本国では全部そろえても$200程度だ。
 というわけで私はSUMMITで揃えることにした。アールズも良いのだが、もっとリーズナブルな物を求めた結果”DERAL”の製品にした。サーモ付きのオイルブロック(因みにオイルブロックは大森メーターの商標だが、分かりやすいのでこの表現を用いる)、ホース、コア、クランプ等々全部で当時$60程だったが、コストパフォーマンスは最高である。
 コアサイズは30x20x2cm程で6段、銅のパイプにアルミのフィンで構成されている。オイルブロックはバイメタルのサーモ付きで、このセットにはオイルブロックに付けるお皿のようなアダプターがついている。これはフォード、MOPAR等にも対応できるようにするための物だ、よってオイルブロック取り付けネジも数種類入っている。’81CHEVY350にこれを取り付けるには古いフィルターを外して、例のお皿、オイルブロック、フィルターの順で取り付ければよい。
 これだけコストダウンしているとやはり造りもそれなりで、例のお皿とエンジン及びオイルブロックの間はOリングが入っているが、お皿とオイルブロック、オイルブロックとフィルターとの接触面の仕上がりがいただけない。これではいつオイル漏れを起こしても不思議ではない。そこで、皆さんが同様の製品を購入された場合まず接触面磨きから始めて欲しい。DERALに限らずアメリカ製(といってもほとんどMADE IN TAIWAN)のオイルブロックの仕上がりはこんな物なので、オイルクーラーを買ったらまず実践していただきたい。
 やり方は簡単だ。なるべく平らなところに#400程度の耐水ペーパーを敷いて、その上でグルグルゴシゴシするだけだ。見違えるように綺麗になったと思う。
 後はエンジンに組み付けるだけだ。オイルブロックを固定するネジを締めるためには1インチのディープソケットかレンチが必要になってくる、準備しておこう。
 コアの取り付け箇所はACコンデンサーの前後、ラジエターの前後エンジンの下等いろいろ考えられるがラジエターの後ろは電動ファンがあって無理。エンジンの下もいただけない。と言うことで普通に考えるとコンデンサーの前後かラジエターの前と言うことになる。私の場合コンデンサーの後ろを選んだ。以前はラジエターの前に取り付けていたが’ラジエターに穴が’の通り大変なことになったのでこちらに移設したのだ。
 後は付属のクランプをコンデンサーとコアにブッ刺して止めるだけ。それにしてもいい加減な止め方であるが今のところ何の問題もない。
 オイルフィルターは標準のPF−25に比べて、細身のPF−45を使わなければならない。PRO/GAUGE製ならPGO123とう品番になる、FRAMではHP−2が適合する。この細身のフィルターを使わないと、ネジのピッチは合うもののOリングがオイルブロックからはみ出してしまう。
 取り付け後の効果はというと、”素晴らしい!!”の一言につきる。普段の油温はは80゜C程、どんなにブン回しても100゜Cを越えることは無くなった。たった¥6000程でこの効果、笑いが止まらない。これでまた快適指数が向上したのだった。

ラジエターに穴が   FUELポンプから燃料漏れ   目次へ   ホームに帰る