10.キャブをノーマルロチェスター−>ホーリー750VS-−>ホーリー750DPに

 これまでにキャブをノーマルからホーリー750cfmバキュームセカンダリー(V/S)、そして現在のホーリー750cfmダブルポンパー(D/P)へと替えてきた。
 ノーマルからホーリーにしたのは、インマニを変更したからだ。本音を言うとロチェスターを使っていた時の方が調子良かった。ホーリーとロチェスターを比較した場合、私はロチェスターに軍配が上がると思う。作りもいいし、メータリングシステムはホーリーより遙かに緻密で精度も良い。丁度バイクのCVキャブを縦にしたような動作をする。ただ、セッティングに関しては少々やっかいだ。油面1つ変えるのにも、キャブをばらしてフロートを取り出さないと行えない。この辺りが今一人気のない理由だろう。その点、ホーリーはマイナスドライバー1本で殆ど網羅できる。
 ということで、インマニと共にホーリーの750cfmのV/Sを選んでみた。750cfmの根拠はロチェスターが750cfmであったことと、以下の計算で求めた結果も反映した。
キャブの要求サイズは

 キャブcfm=(エンジンCID/2)*(MAX RPM/1728)
     =エンジンCID*MAX RPM/3456

で近似される。

今、エンジンCIDは350、最高回転数を8000回転とすると
 キャブcfm=350*8000/3456=810cfm である。

 ここで、実際にはベンチュリーを通過する際の抵抗などもあるわけでそれらを考慮すると、90%が通過できると仮定し 810cfm*0.9=729cfmとなり、750cfmが妥当であると言える。
 どうもこのバキュームセカンダリーというやつは気に入らない。アクセル急開時のレスポンスが今一なのだ。やはりノーマルロチェスターの方が優れている。よく、ノーマルロチェスターをバキュームセカンダリーと同じだと誤解している人がいるが、スロットルバルブはメカニカル動作である。エンジンの要求吸入量に見合うようにエアバルブが動作する物で、バキューム圧でスロットルバルブを動かしているわけではない。ホーリーのV/Sとロチェスターのクワドラジェットのレスポンスを比較すると、圧倒的にロチェスターの方が良い。セカンダリースプリングも色々試してみたが、一向にレスポンスの向上は得られなかった。
 よって、しばらくしてホーリー750cfmD/Pに変更した。メカニカルセカンダリーで加速ポンプがプライマリー、セカンダリーの両方にあることからダブルポンパー(D/P)と呼ばれる。巷ではD/Pは燃費が悪く適さないと言われるが、全くの大嘘だと思う。V8の力強さを感じたい人は絶対にD/Pにすべきだ。燃費もV/Sと比較しても遜色無く、いい加減なセッティングによって燃費を悪化している場合が多いと思う。
 また、D/Pにはセカンダリー側のメータリングブロックにもミクスチャースクリューが付いており、アイドリングの燃調は取りやすい。この点V/Sではセカンダリー側はメータリングプレートによる固定式で、細かな調整が出来ない。プライマリ側を目一杯絞っても、セカンダリーから垂れ流しされて濃過ぎる場合が多い。

キャブスペーサー

 このキャブを買ってきた状態のメインジェットのセッティングは、カムやエグゾーストにもよるが350に搭載すると濃すぎように思う。私が購入したキャブのメインジェットは、プライマリー#71、セカンダリー#80であった。現在の私のセッティングはプライマリー#68、セカンダリー#78である。これを基本に冬場は気温も低く乾燥しているので薄く、夏場はヒートしないように濃くセッティングしている。これが濃いか薄いかは一概に言えないのでセッティングの一例としてとらえて欲しい。ポンプのカムや油面等も納得がいくまで色々としかも簡単にいじられるところがキャブ車の醍醐味だ。
 搭載する上での注意点だが、キャブスペーサーを使わないとフュエルラインがインマニに当たってしまうのだ。フュエルラインはSUMMITの燃圧計付きの物を使用している。せっかくエアクリーナーとフードの干渉を避けるために背の低いインマニにしたのに、スペーサーを入れないといけなくなってしまったのだ。このスペーサーは厚みが1”と1/2”の物があるが、1/2”の物を使わないとまたエアクリーナーがフードに当たってしまう。

Holley 750
ホーリー750cfm D/P

 また、キャブの取り付けネジを余り締めすぎると、スロットルボディーが歪んでしまい、スロットルバルブが滑らかに動作しなくなる。最悪の場合、全開になったまま戻らなくなることも考えられる。滑らかに動くことを確認しつつ、リークしないようにしっかり取り付けよう。
 スロットルのリンケージ周りはボルトオンとはいかないので、ネジとワッシャーを駆使して工夫しよう。

リンケージ

効果:

 最終的にD/Pにしたことでノーマル以上のレスポンスを得られたと思う。セッティングもドライバー一本で簡単に出来るので楽になった。また大きなキャブがエンジンルームのど真ん中に鎮座まします姿は、見た目も美しくはったりもききそうだ。

キャブ外観

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