エンジン分解6

 腰下の準備ができたところで、ピストンの組み付け。今回用いるピストンはリセスが片方にしか付いていないタイプで、左右バンク共用でフロントマークは付いていない。つまりピンオフセットもゼロ。4バルブリセスのピストンは大抵フロントマークが付いていて、ピストンピンはオフセットされている。
 用意したコンロッドはフルフロータイプなので、ピストンの組み付けはいたって簡単。ピンを通してリテーナーリングで留めるだけ。KBピストンのリテーナーリングはスパイラル状になっており、予めリングを伸ばして置いて組み付ける。
 コンロッドには裏表があり、ラージエンドに面取りがしてある面としてない面がある。面取りがしてる面がクランクのウエイト側を向くように、面取りがしてない面はロッド同士向かい合うように組む。でないとクランクとロッドを組むことが出来ない。またコンロッドの向きとピストンの向きの整合性を取って組まないと、向きが反対になってしまったりする。


ラージエンド面取りあり


ラージエンド面取りなし


ロッドの向きと整合性を取らないとピストンの向きを間違える

 ピストン挿入では、オイルをたっぷり付けてピストンリングコンプレッサーでリングを縮めておいて、プラハンの柄等でピストンを一気に叩いて入れる。恐る恐るそーっと入れたりするとピストンリングが引っかかりリングが割れたり傷が付く。


ピストン挿入

 新旧ピストンを比較してみると、リングの位置や、もちろんピストントップの形状、ピストンピンハイトなどが違う。


新旧ピストン比較


新旧ピストン比較

 ラージエンドのクリアランスは既に測定してOKだったので、サクサク組み付ける。ロッドボルトは当然トルクレンチを使用して規定トルクで締める。クリックタイプのトルクレンチの誤った使い方としてダブルクリックがあげられる。カチカチっと確認を含めて2回動作させるとなんとなくカッコいいもんだが、確実に50%以上のオーバートルクになる。場合によっては200%以上のオーバートルクに達することもある。
 本来クリックタイプのトルクレンチは、生産現場で効率向上の為に開発された物であり、正確を期すにはトルクメーターの使用が望ましい。


トルクレンチで規定トルクで締め付け


ピストン組み付け完了

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