−コネクターの端子名称−

さて館主、追ってハーネスの作り方についてコンテンツをUPしたいところですが
その前に紹介しておかなければならない事がありました。
折角半田付けにチャレンジする気持ちを持たれても、実際にどことどこを繋げば
良いのか
、電気の知識が無い方はマニュアルに載っている用語が良く解らなくて
悩む事があるかと思います。

そう、ハーネスを作成した方なら覚えがあるでしょうが、コントロールボックスの
マニュアルに載っている配線図の端子名称と基板のマニュアルに載っている名称
が必ず一致している訳では無く、微妙に食い違っていたりする場合があるの
です。

例えばモニターへのR色信号出力端子「ビデオ R」は「Video R」,「R」なんて
言い方が基板のマニュアル中の配線図でされている場合がありまして、本当に
「ビデオ R」に繋いで宜しいものなのか、ちょっと悩んでしまいますね。

今回はJAMMAエッヂコネクター端子の規格を例に、この辺を紹介して参り
ましょう。



−端子名称の紹介−

上で紹介した画像はJAMMA規格の56P(片側28本×2=計56本の端子)
エッヂコネクターにハーネスを挿したものです。
お気付きかと思いますが、ご覧の通り配線されていない空き端子もあります。
これは、基板によっては使わない端子(繋がなくても差し支えない端子)もある
からです。

また、妙なコネクターもエッヂコネクターに枝別れして伸びてますね。(^^;
これはJAMMA規格のエッヂコネクターに一部準拠できない基板などに良く
行われていることですので後々の為に知っておくと宜しいかと思います。

例えば上の基板はカネコのNOVAシステム基板です。エッヂコネクターは
JAMMA仕様なのですが、麻雀の機種を遊ぶ際には配線が異なりますので
そのままでは遊べません。
上記のように56Pエッヂコネクター端子と予備コネクターを使用する事に
よって基板のJAMMA「麻雀」規格の配線に対応できるように基板のハード上
設計されているものです。

さて、それではJAMMAオリジナル56Pエッヂコネクター端子配列を
下に紹介しましょう。
100Kを超えるとても重い容量で申し訳ありません。m(_ _)m

上の表は直接JAMMAから取り寄せたものです。全てのメーカーは
この表を元に自社基板のエッヂコネクターの仕様を決定します。  
どんな事があろうとこの表がオリジナルですので、良く判らない端子
があったら判ったつもりにならず、まずはこの表を参照される事を 
お薦め致します。                       

−表の補足−
上記端子配列表についてマニュアルに書かれている事を少し紹介しましょう。
(実はJAMMAのエッヂコネクターマニュアルは7ページありますゆえ…。)

・スイッチ入力に接続されるスイッチは、ノーマルオープン型で、ONの時GND
 と接続する。
 (何も接続しなければ入力が利かないだけで、基板の動作そのものに特に影響
 は無いと言う事が同時に言えますね。)

・コインカウンター及びコインロックアウトソレノイド駆動回路は、5V,12V
 双方について駆動が可能であること。
 (おうちで遊ぶ分には全く無視して良い内容です。)

・ビデオ出力信号(RED,BLUE,GREEN,SYNC)が、図3の範囲内
 にあること。(図3は容量上割愛します。以下に内容を少しだけ紹介します。)
 同期周波数:水平15.7±0.5KHz 垂直60±5Hz
(15Kモニター用の規格です)
 同期パルス巾:水平6.5±1.5μs 垂直400±200μs

・コントロールパネルの使用優先順位はプッシュスイッチ1,プッシュスイッチ2
 プッシュスイッチ3とする。
 等々。

−表の説明−

・「半田面」,部品面」
 
これは「基板の各部名称について」で紹介していますね。半田付けされて銀色
 に光っている側が半田面、部品が載っている側が部品面です。

・端子番号
 冒頭の画像で言えば、右側が部品面で1番、半田面でAになります。
 基板のエッヂコネクターには誤挿入防止の目的で使用する為の切れ目が
 7番(H)に入っていますから、それを目安にされると宜しいと思います。

・GND(1,2,27,28,A,B,e,f)
 電源、入出力信号のグランドラインです。全ての電圧はGNDを基準(0V)と
 しているのです。
 電流の流れを河川で例えれば「支流」を受ける「本流」(海)みたいなものと
 でも感覚的にGNDと言うものを覚えておけば宜しいでしょう。

・+5V,−5V,+12V(3〜6,C〜F)
 各電圧の電源を供給する端子です。これを繋がないと基板は動いてくれません。
 (3電源全てを使わない場合もあります。グラIVなどは+5Vのみ使用。)

・誤挿入防止キー(7,H)
 電気的に使用する箇所では無く、実際に見れば判りますがエッヂコネクターに
 「切れ目」が入っている箇所です。ハーネス側のコネクター(メス)に誤挿入
 防止のピンを挿したりする事により、部品面と半田面を間違えて挿せないような
 バカヨケをする事が目的で存在します。
 (JAMMA規格以外では切れ目が入っていない基板もあります。)

・コインカウンター1,2(8,J)
 コインシューターからコインが投入された信号を受けて、コインカウンターを
 動かす為の信号ラインです。下手に電源ラインとショートすると、破損する
 可能性があるので、コントロールボックス派な方は何も接続しないで下さいね。

・コインロックアウト1,2(9,K)
 コインシューターに接続されコイン投入をできなくする為の端子だと思います。
 コントロールボックス派な館主、この端子の詳細は判りません。
 (知らなくても基板ライフに何も影響ありませんからご安心の程を。)
 当然、コントロールボックス派な方は何も繋いではいけません。

・スピーカー(+),スピーカー(−)(10,L)
 基板には大概音声出力の為の増幅回路が積まれてますんで、この端子に
 そのままスピーカーを接続すれば音声が鳴ります。
 コントロールボックス派の方は心配ありませんが、もし外部スピーカーを使う際
 にはスピーカーのインピーダンス(交流で使う際の抵抗値)を基板マニュアルで
 きちんと確認しておく必要があり、これを怠ると故障の原因になったりします。
 また、基板によってはスピーカー(−)がただのGNDだったりするものもあり
 ます。

・オーディオ(+),オーディオ(−)(11,M)
 この端子は館主使った事が無いので判りませんが、
 多分オーディオ用ライン音声出力端子なのでしょう。
 館主、ちょい「連珠貴族」の基板を確認してみたら… この端子はパターン上
 なんとN.C.!!(笑)(N.C.:ノンコネクションの意味です。パターン上何も
 繋がっていない事を指します。)
 まあ、全てのJAMMA仕様の基板がこの端子の機能を持っている訳ではない
 ようです。 

・ビデオ RED,BLUE,GREEN(12〜14)
 モニターにゲーム画面を映す為のRGB信号です。光3原色信号とでも言えば
 良いでしょうか。
 基板のマニュアルによっては略されて「R」「G」「B」としか書かれていな
 かったり、「Video R」なんて、まるでビデオデッキに繋ぐライン出力
 みたいな名称で書いてあるものもあります。

・ビデオ SYNC(P)
 同期(シンクロ)信号です。モニターにきちんとRGB信号が映るようにする
 信号、位に覚えておきましょう。
 これが接続されないと、グチャグチャな画面が映し出されます。(笑)

・ビデオ GND(14)
 ビデオ信号(RGB,SYNC)のGNDラインです。大概は基板のGND
 ラインと共用(同一パターン)のようです。

・サービススイッチ(R)
 1クレジット入れるスイッチです。筺体派の方なら筺体の中にある押しボタン、
 御存じですね。コントロールボックス派の方は特に繋ぐ必要はありません。
 このスイッチを使う事によりコインカウンターを連動させずにクレジットを
 入れる事ができ、コインが飲み込まれたような際に使用し、コインカウンターの
 情報が異なってしまう事を防ぐものです。

・テストスイッチ(15)
 基板のテストモードに入る為のものです。最近はDIPスイッチを使用せずに
 テストモード上で難易度等の各種設定をするものが増えてますね。
 コントロールボックス派な方は新たに押しボタンを付けてあげましょう。
 館主はシグマ6ボタンコンパネの「δ」(大パンチ)が空いているので、そこ
 に接続しています。ゲームプレー中熱くなって思わず押してしまって突然テスト
 モードに切り換わってしまう恐れがありますので、途中にもう1個、プッシュ
 プルスイッチを入れて普段は利かないようにしてあります。

・チルトスイッチ(S)(S)
 筺体に大きな衝撃が加えられた際に衝撃センサーからの信号が入ります。
 昔試しにこのスイッチ入力をONさせてみたら…いきなりRESETが掛かり
 再起動になった記憶があります。
 コントロールボックス派な方は必要無い端子ですが、筺体派の方はくれぐれも
 強い衝撃を筺体に与えないようにしましょうね。

・コインスイッチ1,2(16,T)
 コインシューターからのコイン投入信号(コインパルス信号)を受けて、
 1クレジット入れる端子です。これがONしなければ業務用基板は永遠プレーが
 できませんね。(いや、サービススイッチを使うと言う手が…)(笑)

 ちなみにコントロールボックス派な方が注意しなければならないのは、この端子
 は本来一定のパルス巾の信号を受け付ける端子であり、長々とスイッチを押し
 続けると「COIN ERROR」と画面に表示されていきなりプレー中に
 リセットが掛ってしまう機種もある事です。(プリルラ等)
 普段コインスイッチは短かめに押す事を心掛けましょう。
 筺体派の方は、コインシューターと基板の間にコインパルス回路があるので故障
 でない限りは心配無いでしょう。

 蛇足ですが、何故このような仕様になっているかと言うと、コインシューターの
 チャタリング(コインが入った時にノイズ等により一瞬ON,OFFが繰り返え
 されてしまう現象)によるクレジットのダブリ入力を防止する為なのです。

・スタートスイッチ1,2(17,U)
 1プレイヤー,2プレーヤーのゲームを開始する、お馴染みのスタートスイッチ
 です。

・1P,2Pコントロール1〜4(UP DOWN REFT RIGHT)
 (18〜21,V〜Y)

 1プレイヤー,2プレイヤー用ジョイスティックレバー入力が通常は接続され
 ます。クイズゲームのように4ボタンが使われる機種は4ボタン入力がここに
 繋がれたりします。(そのままレバーでも遊べない事は無いのですが…)

・1P,2Pコントロール5〜9(PUSH1,2,3,スペア)
 1プレイヤー,2プレイヤー用ボタン入力が通常は接続されます。
 ちなみにこの規格が作られた当時(1986年)には、まさか6ボタンも使う
 ストIIのような機種が出るとは考えられておりませんでしたから、3ボタンに
 予備入力2つの計5入力で十分と考えられていたのではないでしょうか。
 (ストIIはJAMMA規格ですがボタン入力数が間に合わない為に別のコネクター
 に冒頭の画像のように入力を割り振っていますね。)


−その他−
ざっとJAMMA規格の配列表で配線の紹介しましたが、皆様いかがでしたで
しょうか。これを基礎にして端子の名称を見て行けば、そうそう判らなくて困ると
言う事は無くなるかと思います。(ご不明点等あればお気軽に館主までどうぞ。)

その他オールド基板に見られる端子の入力を2つ程例を挙げておきましょう。
まあ、こんな設定もあるものかと知っておけば宜しいかと思います。

1.スペースインベーダー等
 「RESET」端子。これをプルアップ(この機種の場合は5Vを繋ぐこと)
 しておかないと常時リセットが掛りっ放しで動作しません。

2.ナムコの一部の機種等
 「画面反転」端子。画面を正転、反転させるものです。今の機種であれば大概
 DIPスイッチやテストモードで設定しますね。(^^)


−まとめ−
皆様、ハーネスを自分で作る際にはくれぐれもまずはマニュアルを良く見て内容を
理解してから作業に入りましょう。
館主のように判ったふりをして「スペースチェイサー」のハーネスを作った際に
「RESET」端子を見落としていたお陰で「動かない!」と騒いで基板屋さんに
まで迷惑を掛けた間抜けな人間もおりますゆえ。(^^;;;;

最後に、もし意味が判らない端子があったとしても、正常に遊べているのであれば
下手に配線を追加しないで下さいね。
基板の持っている機能に興味を持たれるのは良い事なのですが、
壊してしまってはいけません。
「コインカウンター」に興味を持ってやみくもに「+5V」でも繋いでみれば
身を持って思い知る事ができるでしょう。
絶対にしてはいけません。トランジスタが焼けて壊れる恐れがあります。)

まあ冗談はさておき、これからハーネス作ってみようと考えられている方は今回の
件覚えておきましょうね。理屈が判れば変換ハーネスなんてものも応用で
作れるようになります。

例えば下の画像。これ、カネコのNOVAシステムの麻雀用ハーネスですが、ご覧
のようにコントロールボックス(筺体)側の麻雀コネクターに挿せるようにして
あります。

このような変換ハーネスを作るメリットは、

1.筺体派な方は、わざわざ麻雀コンパネの配線を改造し直す必要が無く
  そのまま挿して使えるよになる。
2.コントロールボックス派な方は変換ハーネスさえ持っていれば、機種
  違いのコントロールボックスを持っている仲間のところに遊びに行って
  も心配無く接続して遊べるようになる。


と言う事でしょうか。

一方デメリットは、

コネクター接続部が増える分長い使用によって接続部の抵抗値が上がり、
電圧降下による動作不安定が発生する場合があり得る。


と言うところでしょう。
まあ、普段のメンテを心掛けていれば良いだけの事ですけれども。(笑)

それからハーネスを作った事の無い方もこれを機会に今回の件覚えておいた
方が後々のトラブル発生時に役立つ場合もあるかと思いますよ。(^^)
                                by:館主



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