−コピー基板の見分け方−

さて、オールドゲームのレビューコーナーでも紹介しました「Mr.Lo!」等
のコピー基板。
一部の基板コレクターな方なら好んでこのイレギュラーな仕様の基板を購入する
ものですが、コピー品と言うものがどんなものか知らずに、または内容は全く同じ
と思われて購入されてしまう初心な方々もいらっしゃるかと思います。

上記Mr.Lo!のような、画面を一目見て違いが判るコピー品もあるのですが…
実はなかなかどうして。
稼動している画面や音を確認しただけではオリジナルと区別が付き難いものも
実際あるのです…。

今回は皆様のコピー品への誤解による不要なトラブルを避けて頂きたく思い、
本コンテンツを取り上げさせて頂く事と致します。

あ、殆どの基板屋さんは販売時にリスト等できちんと「コピー品」である事を明確
にされていますから、そう御心配なく!!(^^)
…それでも稀に基板屋さんだってたまに間違う事も事実あるのですから(後述)、
初心な方は是非これを機会に知識を付けておきましょう。(^^)



−コピー品ってどのようなもの?−

さて、コピー品にはどのような種類があるのか簡単に説明させて頂きますと、
オリジナルと比較して

1.オリジナルとの違いがはっきり判るもの。
外観上基板の設計がオリジナルと異なったりして、ROMデータも基本データは
流用しつつ、キャラクター等に手を加えているものなど。
ゲームのシツエーションが全然違ったりして笑えます。
その昔、船を操作するゲーム「リバーパトロール」が見事スキーのゲームに変貌を
遂げていた、なんてありましたね。(笑)(すみません、ゲーム名忘れました。)

2.オリジナルとは見分けが付き難いもの。
基板の設計がオリジナルと異なったりして、ROMデータを一部変更しただけの
もの等々。
前振りで書いた「Mr.Lo!」がこれに当たりますか。
タイトルがほんのちょっと違ったりするけれど、オリジナルと全くゲーム内容が
同じだったりするものがあります。
「全く同じゲームなのに画面を注意深く観察したら『メーカーロゴ』が入っていな
かった」なんてのもこれに当たります。

3.オリジナルと見分けが付かないもの。
大元の基板のパターンまでコピー。ROMもまんまコピーで、基板の外観やゲーム
を見る限りにおいてはちょっと区別が付かないもの。
いわゆるこれは「デッドコピー」と言うやつで、ゲームセンターの筐体で稼動する
分には全く見分けが付きません。

だいたいこんな具合に大別ができるでしょうか。
まあ、他社のゲームをそのまんま複製して販売すると言う事ですんで、1979年
の法改正以降は違法行為に当たる事は確かですね。(^^;

注.
ゲームセンターで稼動している現役機種を見る限り、既にコピー基板は絶滅して
おります。
現在では基板屋さんにオールド基板系のコピー品が少数入荷してくるだけであり
ます事、皆様知ってて下さいませ。
まあ、平たく言えば「古物販売」ですんで野暮な事は絶対言いっこ無しですよ!

それにしても、館主が最後に聞いた違法コピーって、「ストIIレインボー」でした
ねえ…。(笑)もう10年近く前の話になりますか…
ROMたった2個交換するだけで、ゲームもへったくれも無い仕様に様変わりして
さすがに館主、これにはカプコンさんに思いっ切り同情してしまったり。
ROMキット(たったの2個)を5万で売り捌いた某国(諸事情により伏せます)
の売人さんは捕まったのかしらん??
…あ、余計な話でした?f(^^;

−基板マニアの「コピー品」に対するこだわりの程度−
ちょい蛇足です。考え方は人それぞれです。
皆様のお考えは下記のどれに当たりますでしょうか?
1から5に症状が進行する程、基板中毒の重傷患者になります。(笑)

1.遊べるなら別に気にしません。コピー品の方がオリジナルよりも価格は安い
  ですし。
2.昔遊んだ通りのデッドコピー仕様であれば、基板の仕様は得に気にしません。
3.まがいものはいりません。やはり基板はオリジナルでなくては!!
4.コネクターエッヂが削られていたり、ROMのシールが手書きなのを見たら
  購入意欲を無くすなあ。インストも純正で決まり!!
5.マニアとして、是非レアものとしてコレクションに欲しいです。

ちなみに館主の考えは上記「2」です。
殆どのオールド基板はノスタルジイで欲しくなるのですから、実は基板の仕様は
どうでも良かったりします。(笑)
(ヘビーマニアな方にはきっと笑われてしまうでしょうねえ…。)(^^;

さて、いよいよ本題に入りましょう。
今回のコンテンツが役立つのは、上記3.4.の価値観をお持ちになる方々かと
思います。2.の方も少しは役立つかも知れません。
まさか、5.の価値観を持つ方で「レアなコピー品かと思ったら、オリジナルを
買ってしまった!!」なんて失敗をされた方は…いませんよね…?(笑)



コピーの見分け方その1.基板の色

皆さん、下の画像を御覧下さいませ。
基板の色が見慣れた「緑色」では無くて「青色」である事がお判りになるかと思い
ます。
この色、良く覚えておいて下さいね。大概においてこの色の基板はコピー品です。

補足
某マニアな方から情報を頂きましたが、「スラップファイト」や一部の麻雀基板は
純正で青いものがあるとの事で、実際に画像も見せて頂きました。
「青だからコピー」と直ぐに決め付けたりはしませんよう、皆様お願い致します。

基板はコナミの「ジャングラー」のコピー品、
JACKLER(ジャックラー)です。

何故オールド基板のコピーものは青いものが多いのかは館主にも詳細は判りませんが、おそらく基板そのものの製造工程の違いから来ているのでは
無いでしょうか?

尚、コピー基板でも
オリジナル同様、緑色や茶色(その他白)なものもあります
から、青色で無いからと言ってコピーでは無いと直ぐには判断致しませんよう

コピーの見分け方その2.メーカーロゴ表示の有無
以下の2枚のインベーダーの画面の違いを比較されて下さい。
左下は本家オリジナル基板。(スペースインベーダーカラー)
右下はコピー基板です。(インベーダー白黒のコピー)

  

CopyRight:TAITO

カラーと白黒の違いは御愛嬌として、コピー品には画面下にメーカー名
「*TAITO CORPORATION*」
の表示が無い事にお気付きになるかと思います。
まあその昔、コピー業者のそれなりの法逃れの手法であったかどうかは定かでは
ありませんが、大概のオリジナルの基板ならば「Konami」「namco
等、必ず自社名又はロゴが表示され、今のところこれについて例外は無かった
ように思います。
一通りデモ画面を眺めていてメーカー名やロゴが全然表示されない基板は
コピー基板と見ていいでしょう。

−補足1.仕様違い−
オリジナルであっても仕様が異なり、コピー品と誤解されてしまう場合も
たまにあったりします
ので、皆様どうか知ってて下さいね。
以下のインベーダー、画面通り仕様が異なりますが、どちらも立派なオリジナル
です。

  

CopyRight:TAITO
左上のものが一般的なのですが、右上のようにカラー表示の
仕様が異なるものも出回っていたようです。       

−補足2.メーカー名違い−
オリジナルでもメーカー名が違っていたりするものがあります。
メーカー名が異なるからと言って「これはコピー品」と早急には判断されません
よう。
以下の画像を御覧下さい。

  

CopyRight:SEGA,Konami
オリジナル品であっても表示が発売元でない等の場合があります。

左上の画像はメーカー名が「SEGA」になっておりますが、このように、当時
他のメーカーの許諾を貰い、販売した例があるのです。
(正直言いますと…じつは左上の基板はデッドコピー品だったりします。)(^^;
又はメーカー名が異なったと思ったら、それは以前の社名や販売元だった、などと
言った誤解を招き易いケースも多々あります。

右上はの画像ではメーカー名が「STERN」になっていますが、これは海外向け
を意味しているものであって()、コピー品ではありません。
:誤りです。以下訂正文参照

海外向けの基板が逆輸入され出回る事は良くあるのです。
尚、蛇足ですが海外版は国内版よりも価格が安いのが通常です。
ごく一部の基板屋さんによっては、うっかり「海外版」であることを言い忘れて
しまう場合があったりしますんで、安いからと言って直ぐには飛びつかず、購入の
際に前以て
「国内版ですか?」
必ず質問するよう、皆様心掛けましょう。

ちなみに海外版のものはROMに貼られているシールに「STERN」と印刷
されている
場合が良くありますので、これを確認されるのも手かと思います。

*−2002年 8月17日追加訂正−
「STERNは海外向けを意味する」と書きましたが、これは誤りでした。
STERNは会社名であり、国内メーカーの許諾を得てゲームを販売
していた海外企業であるとの事です。
(実は、許諾販売をしていた海外企業は他にも複数あるとの事です。)
これは以前「STERNは海外版です」と聞いた事を館主がずっと誤解して
いたものでした。(^^;;;;
皆様、事実と異なる事を書き申し訳ありませんでした。
この場をお借りしてお詫び申し上げます。
−私信−
キョーワでお世話になったSさん、ご指摘ありがとうございました。
当館オフ会にまた参加して下さるのを楽しみにしております。(^^)

−追加訂正文終わり−

コピーの見分け方その3.基板のシルク印刷、シール
オリジナルの基板であれば、必ずと、基板のどこかにメーカー名の印刷、又は
シールが貼られています。
メーカー名がどこにも入っていない基板はコピー基板とみなして宜しいでしょう。

−2005年9月18訂正−
クラッシュローラーの純正基板はゲーム名「CRUSHROLLER」の印刷
しか無く、「クラール」の社名が入っていない事を今更確認しました。(^^;;;
例外はやはりあるようで、社名が入っていないからと言って即座にコピーと
決め付けませんよう、皆様お願い申し上げます。

  

左上の基板は、今は無きUPL(T_T)の某機種の基板です。
PCB(基板)の製造工程で、どの位置にどの部品を挿すかを白インクで印刷が
施されるものですが、(部品を挿す前の生基板の画像ですので判り易いかと)
御覧のように、きちんとメーカー名「UPL」と印刷がされているのが判るかと
思います。

右上の基板は日物の麻雀基板ですが、PCB上にロゴ印刷が無い代わりに、
メーカーが日物である事を示すシールが貼られています。

見分け方その4.ROMシール
通常でしたらROMシールの表面に貼られているシールには印刷による文字を
確認する事ができます。
しかしながら、下の画像のように、ROMのシールに書かれて入る文字が全部
手書きである場合もあったりします。

上の基板はオルカ社製「リバーパトロール」ですが、本来ならばROMシールは、
本コンテンツのバックグラウンドのような虹色の綺麗なシールが貼られているはず
です。(基板には「ORCA」とシルク印刷がされており、紛れも無くオリジナル
であるようですが…)

このように手書きのシールが貼られたROMに全数交換されているケースで考え
られる事は、
「STERN(国外)バージョンをROM交換により国内仕様に変更した」
「違う機種に使われていた基板を流用して、別な機種にした」

等の可能性が考えられます。

まあ、こう言ったものはマニアに取って実害は全くありませんですけれど、
「絶対オリジナル!」とこだわるマニアな方にとっては気になるところでしょう。

但し、ROM故障でメーカーに修理に出された履歴がある基板なら、ROM交換に
より一部手書きのシールになってしまう場合もありますから、それは知ってて
下さいね。
「コピー」では無くて「修理」によって手書きになる場合もあります。



−まとめ−
皆様いかがでしたでしょうか?今回のコンテンツを覚えておけば、基板がコピーで
あるかどうか、大概は判るようになると思います。
ゲームの画面を見ただけでは絶対に判らない「まんまデッドコピー品」でも、
今回述べた違いのいずれかに該当する項目が絶対にあるはずです。
(もし無いとしたら、基板屋さんだって見分けが付きません。)(笑)
どうか皆様、基板屋さんで購入される時の検品の立ち会い、もしくは基板が届いた
時の検品に一度は確認されておかれますよう、心掛け下さいませ。

最後に下の画像を御覧下さい。
この画像、コンテンツ冒頭の画像で紹介した、ジャングラー(コナミ)のコピー品
のものですが、御覧のように本来「Konami」とメーカー名が表示されるべき
ところにメーカー名が表示されません。

この基板を良く観察して判った事は、以下の事です。

1.基板の色が青い。
2.基板にメーカー名が判る印刷やシールが存在しない。
3.画面に「Konami」と表示されない。
4.ゲーム名が「JANGLER」では無く「JACKLER」である。

さて、これ程コピー品にありがちな条件を満たしておりまして、これ以上は無いと
言う程立派なコピー品だったりする訳なのですが…。
(今回のコンテンツを一読された方なら容易に理解できる事と思います。)

…タネ明かししますが、これは某基板屋さんで「オリジナル」として誤って販売
していたものです。(本当)
本来であれば「改善提案コーナー」ネタなのでしょうが、あんなコンテンツ、
館主もそうそう好んで更新するはずはありません。(^^;
それよりも皆様が知識を付けられる方が余程有意義な事かと思いましたので、
今回はこちらのコンテンツで紹介する事とさせて頂いた次第です。(^^)

この基板屋さん、うっかり「JACKLER」の文字をジャングラーと読み間違い
「Konami」と表示されないのを見落とし、基板のシルク印刷を確認せず、
基板が青い事まで見過ごしていたのですから…
…こんな四重の事故が偶然にも重なる事もあるものだなあと。
なる程、厳戒な管理体制の原○も臨界を越える事故を起こす訳です。(苦笑)
ちなみに基板屋さんでエアーパッキン上に貼っていたシールがまだ付いたまま
でしたが、勿論どこにも「コピー」と言う言葉は入っていない事を今でも確認する
事ができます。
(どの基板屋さんなのかは問い合わせは御容赦下さい。実は全く意外な
基板屋さんであり、現在でも健全に営業されております。)

いや、何より館主が購入して数年間、たまに遊んでいたのにこれに
気付かなかったのです!(核爆)

エアーパッキンに包まれたまま中身を確認せず、、「JUCKLER」の文字を
読み違えていて、「Konami」のロゴが無い事にも気付かなかったんです…。
(信じて頂けないかもしれませんが、本当の話です。)
基板屋さんが間違ってしまった事を思わず理解してしまう館主なのでありました。

皆様、今回のコンテンツ、覚えていて下さいね!!
基板屋さんは通常「コピー」である事は明確にしてますが、今回のようなケースも
稀にあると言う事、知っておいて頂けましたら幸いです。

                               by 館主



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