30日目                  出会い  お接待

2017年5月13日   雨のち晴     6:08〜11:26   22.4Km    40,179歩    夜行バス
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帰宅の日である。天候は回復傾向だが、強雨になるようならば、歩行を中止しようと思っていた。詳細計画は立てていないが、取敢えず板東駅を目指す。
8時過ぎには完全に雨は上がるが、雨具を脱げる適当な場所がなく、そのまま歩き続ける。
通常、お遍路さんは鳴門-池田線を歩くが、私は往路と違う道を歩きたいので、少し南を通る松茂-吉野線で板東駅方面に向かう。途中で、女性が追いかけてきて、「何番に行かれますか?」「板東駅です」「これは一本、南で向こうの道が板東に行きます」「ええ」「ご存じならよろしいです」
道を間違えていると心配されての行為で、ありがたい。
川端駅の駅舎で雨具をしまい、軽快になって歩く。板東駅は次の駅である。『ばんどう門前通り』を歩く。霊山寺の参道を通して200m位先に多数のお遍路さんが見える。ひと月前の自分と同じ心境だろう。私は1番に戻る気持ちはなく、ウオーカーとして歩き始めた板東駅をゴールに定めている。
駅での待ち時間は約50分あった。特に時間をつぶす場所もない。駅前にお好み焼き屋があるが、まだお腹がすかない。駅舎の中に、『布施、持戒、忍辱、精進、禅定、智慧』の六波羅密の実践の勧めがありました。出発時には目にも留まりませんでした。早く進むと言うことは、見ていないものが多いと言うことである。かって車で回ったことを思い出しても、見るものも、出会う人も、桁違いに少ないのである。今回の旅に満足するとともに、前の旅はスタンプラリーだったと恥じ、悔いる時間となりました。
自宅に戻り、納経帳に協力していただいた方々を思い出しながら、旅を振り返ると、印象が乏しくなっている人が何人もいます。もちろん私の記憶が薄れていくのもあるが、一日に何か所も札所を回った時は印象が薄れているようです。
徳島駅で土産物を買い、荷物をコインロッカーに預け、小さなお好み焼き屋に入る。カウンター一列で7人しか座れない。満席なので、外で少し待って入店する。やはり、関東と違って、関西に近いだけあって美味しい。伝統的スタイル、すなわちマヨネーズなしでした。宇和島で食べたのも美味しかったことが思い出される。四国では道端に大判焼き、たこ焼きの持ち帰り店が多い。関西文化圏である。
九州になると、唐揚げ店になる。
バスの発車まで時間がたっぷりあるので、サウナで過ごした。
旅の終わりはいつもそうだが、何の変哲もない日常生活に戻れることが非常に嬉しい。人間は変化に飢えているのだろうか?
それにしても、何の事故もなく、体調異変もなく、30日間を乗り切れたことに感謝である。疲労が溜まって、スピードが落ちることがあっても、マメや水ぶくれ、膝や足首の痛み、足裏の腫れなど殆どなかった。テープで処置も一度、七子峠で右小指にテープを巻いただけだった。
ボーダー、ダブルストック、芍薬甘草湯が三種の神器である。
帰宅して、遍路中に入手した納札を並べて写真を撮りました。納経帳にサインをくれた方も本当に感謝です。世界で一つだけの納経帳と納札は私の宝物です。
それにしても、最初の頃は、サインを戴くのが、本当に恥ずかしかったし、ぎこちなかった。断られることも多かった。