MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2009年 7月号


Double Fairlie Pandora

/☆Go Back☆/
 2009年1月A&Bレポートのあと、半年間のお休みをいただいていました。この間に何をしていたのかというと、工作をしたり、旅行に出かけたり、といったフリータイムで、大変リラックスできました(もちろん、仕事はそれなりにありましたけれど)。

 今回から、A&Bレポートは新しいバージョンでリスタートします。3カ月に1度くらいのペースにしようと思います(つまり、季刊ですね)。ここでは、主なニュースのみを取り上げます。詳細な記事は、毎日アップされている欠伸軽便の掲示板をご覧下さい(過去2000件はサーバに保存されていますので、1年間ほどは残っています)。これまでのレポートに比べて写真の表示が小さくなっているように見えますが、クリックするとウィンドウがポップアップして大きな写真が出るようにしてみました。古いブラウザでも見られるようにするため、このスクリプトが一番の苦労点でした。ポップアップしたウィンドウはご自分で閉じて下さい。それから、動画はYouTubeを利用してみました。撮影時の画像より大きく表示するので、ちょっとぼんやりしていますが、まあ許容範囲だと思います。ブラウザの環境によっては見られない場合もあるかもしれませんが、世界的に標準になりつつあるので、この方式でしばらくいきたいと思います。

 機関車製作部トップページの<欠伸軽便鉄道・弁天ヶ丘線の概要>にある「在籍車両」「線路配置図」も密かに更新しました。また、「動画」のページは秘書氏に手伝ってもらい、これまでレポート内にあったものをすべて集めましたので、一度お立ち寄り下さい。


1トラックシェイの製作

 1月に科学教材社を初めて訪問し、そこでこのシェイのエンジンを購入しました。いつも買える商品ではないようです。そのときたまたまあったものです。何度もご紹介していますが、「模型とラジオ」に井上昭雄氏が書かれた記事がこの機関車のルーツ。エンジンが手に入れば、もう作るしかありません。2月はほとんどこの機関車の製作に明け暮れていました。

 ベベルギアは協育歯車から購入したものです。ボイラは少し短めですが、手頃な真鍮パイプがあったので、これから自作しました。もちろんアルコールによる炙り式のボイラです。縦に2本の煙管を通しています。下回りのサイズはほぼ設計どおり。上回りは自分の好みでナローっぽくしてみました。キャブを前に出したのは、ボイラのパイプが短いためでしたが、これがシェイらしくて良かったと思います。

 すべて真鍮製ですが、ヘッドライトはジャンク箱にあったプラスティック製で、以前LGBのポータに付いていたものです。後ろのタンクに電池を入れて点灯させます。下に、初走行のときの動画が2つあります。6月になってから、ウレタンで塗装をしました。ピンク、赤、黒、銀の4色です。詳しい手順は、掲示板の過去ログを探して下さい。
*MOVIE in YouTube*
*MOVIE in YouTube*


スチームトラムの製作

 1Bテンダ、シンプルメカニカル、1トラックシェイと勢いで作ったあと、エンジン自体を一度も作っていないことに気づきました。そこで、最も簡単な1気筒の首振りエンジンを製作しました。これが案外上手く回ったので、今度はこれを使った機関車を、と考えて作ったのが、このスチームトラムです。できるだけコンパクトに、とデザインをしました。ボイラも炙り式の自作で、やはり縦に2本の煙管を通してあります。エンジンの回転はギアボックスで減速し、駆動するのは1軸だけです。

 これも暖かくなってから塗装をしました。こちらはエナメルを使い、テープでラインを入れました。


1Bテンダとシンプルメカニカル

 1月のA&Bレポートに製作やテスト走行の様子を書いた1Bテンダとシンプルメカニカルも、写真のように塗装をしました。1Bテンダは黄色と黒と赤と銀の4色で、銀色の耐熱塗料のほかはウレタンです。シンプルメカニカルは、銀が耐熱塗料で、オレンジと黒はエナメルを使いました。おもちゃっぽさが強調されて良い感じです。


ダブル・フェアリィのパンドラ

 3月と4月に製作したのが、このダブル・フェアリィです。エンジンと下回りは、Mamodの機関車2両を使っています(したがって、32mmゲージです)。これは、「Live Steam」誌で1987年に半年ほど連載した記事を参考にしています。下回りや、バーナなどはほぼそのまま作りましたが、記事ではMamodのステーショナリィエンジン用のボイラを利用するところを、52mm径の真鍮パイプから炙り式のボイラを自作しました。今回は煙管はなく、そのかわり、スーパーヒータとして、蒸気管をバーナへ導き迂回させています。3枚めの写真にあるとおり、前後のシャーシはボギィ台車となって首を振るので、蒸気管は、シリコンチューブで連結します。


 この最初の写真が下から見たところで、バーナの様子がわかります。両サイドがアルコールタンクです。上回りのデザインは完全にオリジナルで、いつものとおり、やや大きめの16mmスケールになります。煙室は、利用したMamodの機関車のものをそのまま使いました(アルミダイキャスト)。煙突を延長するために、水道用パーツから削ったキャップを被せました。蒸気ドームは台所用品のスプーン。塗装は、赤に僅かに黒を混ぜた色のウレタン。白いラインはテープです。

 ボイラが予想外に調子が良く、力も強く、走行も安定します。動画をご覧下さい。
*MOVIE in YouTube*


トラムのキットを組む

 このリスボンのトラムはキットで、オランダ製です。木製のパーツがほとんどですが、レーザカットされた高精度のもので、新しい製品だったようです。キットはディスプレィ専用か、オプションで動力セットが購入できますが、別のメーカ(IPエンジニアリング)の安価な動力装置を使いました。線路から集電はせず、電池で駆動させています。組立てはかなり面倒で、たとえば、屋根も細い角材を貼り合わせて削って仕上げます。模型飛行機のような感じです。しかし、クラフトとしては充実感が味わえるでしょう。


バグナルに改造

 アキュクラフトのモルテマというサドルタンク(下回りはエドリグと同じ、安価版の機関車)を改造しました。もともと改造を目的に購入したものです。キャブの上半分を切り離し、柱を立て、屋根をのせて、ご覧のようにバグナル風にしてみました。同様の改造例を、ネットで見たことがあって(今はもうない)、まるでこのためにあるような元ネタではないか、と思えるほどです。水色のウレタンで色も塗り替え、またラジコンを搭載して、レギュレータとリバースギアを操作できるようにサーボも2基載せました。乗っているフィギュアも紙粘土で自作したものです。サイズは7/8インチスケールに近いと思います。


23号機登場

 ひょんなことから新しい機関車が4月に入線しました。これはマキシトラックの古いDLで、今は売っていません。中古品として出ていたものらしいです。ボディはFRP製で、角が丸っぽくレトロな感じです。少し小さめ(軽自動車用)のバッテリィを載せても、まだ車重が軽めで、一人を引くのがやっとかもしれません(スリップするので)。ホーンが鳴りますし、ヘッドライトと車内燈がつきます。コントローラはリモート式で使いやすいタイプでした。弁天ヶ丘線の23号機となりました。


弁天ヶ丘線の運行

 そのほかでは、5インチゲージの弁天ヶ丘線に、大きな変化はありません。定常状態といえるでしょうか。沿線の整備は継続的に行っていますが、トラブルもなく、運行も問題ありません。写真は、20号機のシェイです。絶好調を維持しています。ベルが少し形の良いものに交換されたくらいが最近の変化です。発電機を取り付けるかもしれません。煙突はストレートのものが定着しました。

 4月と5月は数回のオープンディが(もちろんスペシャル・オープンディも)開催されました。2枚めの写真はそのうちの1日で、22号機となったフォルテが活躍している様子です。


ポーチサイド線の運行

 ポーチサイド線にも変化はありません。写真は5月頃のもので、7月にはもう線路が見えないほど植物に覆われてしまいました。雨の日のあとは剪定が必要です。

 1枚めと2枚めの写真の機関車はアイリーン、貨車はアキュクラフト製の完成品です。ともに16mmスケール。3枚めの写真は、上で紹介したバグナルです。


新車入線

 レポートを休んでいた半年の間、沢山の車両が入線しました。特に、45mmと32mmゲージが多く(スタンダードゲージも数両)、機関車だけでも40両くらい増えたでしょうか。うち半分以上がライブスチームです。

 写真は、いずれも16mmスケールの車両です。シルエットになっていますが、スチームトラムはブリキの自作車両で、もともとは動力がありませんでしたが、タミヤのギアとチェーンドライブで動くように改造しました。もう1枚の写真は、レールバスです。これは金属製の自作品のようです。壊れていたところがあり、ジャンクで入手したものです。電池で走ります。


 これは新品で購入したドイツ、レグナ社の新製品のスチームトラムで、名前はビクトリア。縦型ボイラに2気筒の首振りエンジンをギアダウンしています。ゆっくり走りますが、小さいレイアウトの急カーブには向いています。イージィラインのシリーズで安価な入門向けのフリーモデルです。走りっぷりは動画をご覧下さい。
*MOVIE in YouTube*


 変わり種としては、オランダのメーカから取り寄せたキャスパ。16mmスケールの機関車ですが、アルコールやガスではなく、石炭焚きです。細かく砕いた石炭を入れて燃やすわけですが、ちょっとコツが必要です。しかし、走りだすと匂いは良いし、音も素晴らしい。一度経験したら「やっぱり石炭だな」と満足すること請け合いです。ただし、手間はそれなりにかかりますので、手軽ではありません。16mmスケールの客車も何両か入手したので、これを引いてポーチサイド線を走っているのが、2枚めの写真です。動画もあります。
*MOVIE in YouTube*


 これは昨年から予約をして待っていた製品。ラウンドハウスの新製品で、シングル・フェアリィのタリシンです。シングル・フェアリィは、軸配置は0-4-4で、フォーニィと同じですが、動力台車がボギィのように首を振ります。この機関車も走らせてみると、線路に対する追従性がよくわかります。ひたひたと走るという感じですね。素晴らしい機関車だと思いました。
*MOVIE in YouTube*


 まだまだ沢山新車があるのですが、一部だけご紹介を。1枚めは、レグナの新製品のシェイ。これもイージィライン・シリーズです。キットで購入して、数日で組み立てました。指定のとおりには作らず、キャブの屋根を30mmほど高くしました。また、塗装のあと、思い切ったウェザリングをしてみました。2枚めの写真は、アスターのBタンクを改造したポータ風亀の子です。一番苦労をしたのは、サドルタンクの上にあるドームです。3枚めの写真は、アスターのグラスカステン。15年もまえの製品ですが、再販売があったので入手しました。アスターのキットを作ったのは初めてです。キットは工作の手応えがある内容です。大変快調に走りました。


電動信号機

 電動の腕木信号機を製作しました。ラジコンのサーボを利用し、これを制御する回路は市販されているキットの基板を用いました。屋外に置いておくものですから、防水が必要で、写真のようにアルミの箱にすべてを収め、下部からゴムの蛇腹を通してリンケージしました。

 また、この信号機を動かすのは、赤外線を用いた距離センサで、線路上を通過する車両を感知し、ある区間に入ったら信号機が自動作動するようにします。もちろん、その区間を出ることもセンサで感知する必要があるので、信号機1つにつきセンサが2基必要になります。実際の配備はまだこれからです。


GG1のレストア

 ガレージにスタンダードゲージ(54mmゲージ)のエンドレスを常設した関係で、このところ古いおもちゃの機関車が増えています。このGG1は、ジャンクで入手したもので、なんとか走らせたいと思い、大幅な修繕をしました。車輪や台車に用いられている金属が腐食してぼろぼろでしたが、車輪はエポキシパテでなんとか成型し、台車は、写真のようにタミヤのギアボックスを吊掛け式で組み込みました。直流ですが、最終的には線路から集電して走るようにしました。


梅小路へ

 4年ぶりに京都の梅小路へ行ってきました。まあ、相変わらずですね。当日はC56とD51が動いていました。どちらも、ターンテーブルで「少し余分に」回っていました。
*MOVIE in YouTube*


『庭煙鉄道趣味』とJAMコンベンションのおしらせ

 昨年に引き続き、講談社から発行されます(7月28日刊)。本のタイトルは『庭煙鉄道趣味 Steam in the Garden』で、読みは前巻と同じですが、漢字が1文字違います。2007年1月から、2009年1月までの25カ月分のA&Bレポートと、書き下ろしの文章が少々。欠伸軽便としては5冊めの本になります。これが最後です(たぶん)。

 8月21日から23日に東京ビッグサイトで開催されるJAM国際鉄道模型コンベンションに、欠伸軽便鉄道として参加をします。3日間、ブースで模型を展示し、ビデオを放映します。新しいパンフレットと記念乗車券を無料配布します。また、『庭煙鉄道趣味』に挟まれている切符をお持ち下さった方には、欠伸軽便の特製ピンバッジ(2008年12月のA&Bレポートを参照)をプレゼントします(切符に改札バサミでチェックを入れますのでご了承下さい)。前巻にも切符が入っていましたので、間違えないように。新しい方の切符です。JAMコンベンションへの出展は、今年で4回め、2年ぶりになります。

/☆Go Back☆/