文房四宝(筆)

ここでは筆について説明します。
文房具は学書の環境をつくり、筆、墨、硯、紙の良し悪しで上達の度合いが決まります。
         
 
「弘法は筆を選ばず」といいますが、これは決してどんな筆でよいというのではなく、空海は書の名人であるから、たくさんの筆を巧みにこなしていて、けっして悪い筆は選ばなかったという意味だと思います。
実際、空海は唐に滞在中に製筆の技法も研究し、日本に持ち帰ったという記録が残っています。
さて、では初学の方はどのような筆を選んだらよいのでしょうか。文房具屋さんのショーケースにはたくさんの筆が並んでおりますが、その中から兼毫筆(けんごうひつ)を選んで下さい。兼毫とは2種類以上の毛を混ぜたという意味です。兼毫筆はちょうどよい弾力があり使いやすいです。太さは直径1センチくらいの国内で生産されたものが良いです。上達の度合いにより、羊毛や剛毛の筆を用意して、書体などに合った筆を使い分けると良いでしょう。創作に「合わない筆を選ばず」です。
   
 
筆について
 
毛筆の材料は普通、羊・馬・鹿・狸・いたちなどの動物の毛ですが、竹や鶏毛を使ったような特殊な筆もあります。
材料や混ぜ方でさまざまな筆が出来、毛の硬さによって、剛毛、柔毛、兼毛に分けられます。また、毛の長さによって、短鋒、中鋒、長鋒に大別され、太さによって号数が決められています。
さらに、穂先まで麩糊で固めた固め筆と固めていない捌(さば)き筆に分けられます。
   
 
兼毫筆について
 
兼毫筆とは二種類以上の動物の毛を柔らかい毛と硬い毛の混ぜる比率を変えて作った筆です。
日本の筆作りでは左のアニメーションで示すような比率(剛は茶色柔は青)で毛を混ぜて兼毫筆を作っているようです。
筆に使われる動物の種類は多く、どの動物の毛が良いかというよりも、どの部分に生えている毛かによって、良し悪しが決まるようです。
左の全柔、全剛は毛を混ぜないで作るため兼毫筆とはいいません。
 
   
 
太さの規格について
 
筆の太さの規格は、竹軸と木軸によって太さの決め方が違いますが、ここでは一般的な竹軸で示しています。
おおよそ、一号は半紙1字、半切2行。二号は半紙2字、半切2行。三号は半紙4字〜6字、半切2行〜3行。四号は半紙6字、半切3行くらいの目安で使います。
三号の筆が半紙から半切程度まで使えていちばん幅広く使えそうです。残り六号〜十号までありますがいずれも小字、細字に適します。
※一号〜5号は、筆の鋒を根元までおろした状態で使用した場合です。
   
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Last updated: 2005/12/3