書の三段

息の長い書の学習を、効率よく、正しい方向に進めるのにはどのようにしたら良いのでしょうか。
 
          清代の書家が私かに相伝授したという「書法秘訣」に曰く
          凡欲学書之人工夫分作三段。初要専一。次要広大。三要脱化。
 
●「初めは専一を要す」というのは、初学の者は自分の信ずるところの一家の書を専心に習うということです。
「書法秘訣」には毎段三・五年とありますが、これは毎段3年から5年かけて学びなさいという意味です。
●第二段の「次に広大を要す」というのは、すなわち古碑法帖を広く学び、古来大家の法を学びとるという意味です。
自己の短所に気がついて、長所を伸ばすことが出来ます。
●第三段の「脱化を要す」というのは、第一段、第二段ともに十分学んだ後にそれを土台に、誰にも隷属しない
自分なりの書風を確立するという意味です。
 
 
第一段「専一を要す」では信ずるところの一家の書風をそっくりに表現できるまで学習します。
書家に師事するのが一番よい方法ですが、昨今、自分も含めて怪しい書家が多いように感じられます。
よいお手本を買い求めて、独学でも上達は出来ます。
古本屋などで、昔の書家の書いたお手本の古書を買い求めることをお勧めします。
 
 
 
左の写真は日下部鳴鶴の晩年の高弟の吉田苞竹の行書と草書の千字文です。行書は王羲之
(中国東晋時代の書家)の書風が、草書は孫過庭(中国唐時代の書家)の書譜の趣が感じられます。
 
 
第二段「広大を要す」では、先人の遺物である古碑法帖を広く学びます。
手ごろな法帖類としては、二玄社発行の中国書法選(全60冊)があります。
 
 
 
第三段の「脱化を要す」はかなり時間がかかりそうです。手習いだけではなく、
大いに作品を作ることをお勧めします。師匠に師事している人は、いつまでも
師匠の書風を真似しないことです。「広大を要す」で学んだことを反映させて下さい。
 
 
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Last updated: 2013/8/22