インド洋に浮かんだ「真珠の首飾り」と賞される南国の島々、Maldives(モルディブ)。
魚影が濃く、世界で最も多くの種類の魚が一度に見られる恵まれたロケーションを持っています。ダイバーはもちろん、シュノーケラーであるあねもねにとっては天国のような場所。
あねもねが初めて訪れた1992年には、一般人にはあまり知名度が高くなく、当時の上司には「それどこ? インド? なんで好きこのんでそんなヘンピな場所へいくの?」とあきれられたものでした。
かくいう私自身も、訪れる1年前までは名前も知らない国でした。
それから数年が経ち、い○だ壱成やかのSP☆☆D(惜しまれつつ解散してしまったアイドルグループ、言わずともわかるね)などの芸能人が訪れたとのニュースが巷を賑わすようになり、今となっては、Maldivesに行くというと、友人には「きれいな所なんだってね。いいなぁ…」などと羨ましがられるまでになり、すっかり認知(?)されたように思います。
こんな風にえらそーに書いていますが、もちろんダイバー諸氏にとっては昔から憧れの海として確固たるステータスを保ちつづけており、私たちなんかよりずっとずうっとディープなMaldivesマニアの方が数多く紹介サイトを開設していらっしゃいますので、今さら私ごときがここで何かを語るまでもないようにも思えます。
そうはいっても、まったく偶然にここを訪れ、まだほとんどMaldivesという場所を知らないという方のためにも、なぜ私たちがこれほどまでにかの地に魅せられているのか、稚拙な文章で申し訳ありませんが少しご説明させていただければと思います(なにやらカタイ言い回しになってきた…)。
さらに興味が湧いてきた…という方は、参考書籍が数々出版されていますのでぜひそちらをご覧になることをオススメします。特に、写真が中心になっているものがよいかと思います。海の美しさを見ずしてMaldivesの魅力は語れませんので。
さらにさらに、見ているだけじゃどうにもこうにも気がすまなくなってきたっ! という方は、だまされたと思ってぜひ一度実際に訪れてみてください。百聞は一見にしかず…というじゃありませんか!? そうなればあなたも立派な「モル好き」の一人…ほらほら誰かにMaldivesを語りたくなってくる…フッ(不敵な笑い)。
国について
- 正式国名はモルディブ共和国(Republic
of Maldives)。首都はマーレ(Male)。
インドの南西に位置し、珊瑚礁が発達して生まれた大小約1,200の島々からなる。東西118km・南北754kmの範囲にわたって島々が点在しているが、それぞれはアトール(環礁)と呼ばれる珊瑚礁の輪の上に存在しており、これがMaldivesの景観を非常に特徴的なものとしている。火山によって生まれた島国と違い、海抜が1m前後と低く、島の多くが歩いても一周10分〜30分と非常に小さいものである。(え〜い、口で説明するのはまどろっこしい。衛星写真か地図を見てもらえれば一目瞭然なのに…)
島々のほとんどは無人島であり、人が住んでいる島は約200島、旅行者が宿泊するリゾート島は100島足らず。
赤道に近いため気候は熱帯に属し、年間を通じて暑いが、雨期と乾期があり、乾期である10〜4月がベストシーズン(ツアー料金も高い)。
時差は日本より4時間遅れ。
日本からのアクセス
- 成田などから空路にて首都マーレの隣の空港島、フルレ島へ(成田からフルレへはコロンボ経由の場合でトランジットの時間を含め、のべ約12時間はかかる)。その後ドーニと呼ばれる小船やスピードボート、あるいは水上飛行機などを利用して各リゾートへ。
2000年現在も日本からの直行便はなく、シンガポール航空にてシンガポール経由で到達する方法・スリランカ航空(旧エアランカ航空)にてコロンボ経由で到達する方法などが一般的。
(バブル崩壊直前には、日航に直行便就航の計画があったらしい…う〜ん無念)
習慣など
- 公用語はアラビア語系のディベヒ語で、リゾート内では英語も通じ、中には独語・イタリア語などが話せるスタッフもいる(日本人が多く訪れるリゾートでは日本語を理解できるスタッフも大抵数名はいる)。
宗教は現在はイスラム教を国教としている。従ってリゾート島内以外での飲酒は認められておらず、女性は極度に肌を露出するような服装で歩くことを避けた方がよいとされている(何を隠そう、あねもね夫はリゾート気分が抜けていなかった帰りの空港内レストランでビールを注文し、注意された経歴の持ち主)。
通貨はモルディブルフィア(MRf)の他、USドルも使用できる。日本からのツアーでは、ほとんどの場合旅行代金に全食事料金まで含まれているため、リゾート内ではチェックアウトまでは現金をほとんど用いることはなく、最後にカードで精算すればOKという感じ。ただし、首都マーレ島ツアーやアイランドホッピングツアーなど、滞在期間内に他の島を訪れて買い物をする機会に備えて、多少のドルは持参していった方が安全。
リゾート島の様子
- Maldivesの場合、ひとつの島=一軒のホテルとなっているのが普通(中には比較的大きな島に数軒のホテルがあったり、その逆にいちホテルで何島も所有しているということもあるが)。
Maldivesのリゾート島と一口に言っても、島によってだいぶ様子が異なる。いかにも「絵本から抜け出したような南の島」といった、丸くて椰子の木がうっそうと茂った可愛い島もあれば、細長くて広々としたホワイトサンドビーチの美しい島もある。前者のような丸い島の場合、ビーチから海へと出てみると数十メートル進んだあたりで海底がいきなり20〜30mも落ち込んでいることが多い(ドロップオフと呼ばれる)。このような島ではリーフ内(ハウスリーフという)にて色とりどりの小魚が非常に多く見られるのはもちろん、ドロップオフ付近ではダイビングでしか見られないような回遊魚やマンタなどの大物にさえもシュノーケリングで出会えることもあり、魚好きにはたまらない場所となる。また、後者のような細長い島では、遠浅になっているためリーフエッジまでが遠くシュノーケリングにはあまり向かないが、景観が美しく、あのミルクを溶かしたような独特の海の色を心ゆくまで堪能することができる。どちらもモル好きには捨てがたく、究極の選択となってしまう。
また、リゾートを経営している会社によっても特色があり、印象がかなり変わるものである。
Maldivesリゾート開発の歴史から、ドイツとイタリアの企業経営によるリゾートが多く、あねもねの主観を交えて言えば、ドイツ経営の島はダイビングやシュノーケリングが面白いが、とことん合理性を追求する国民性からか、はたまたエコロジー精神からなのか、コテージ内や食事の内容は質素だったりするのに対し、イタリア経営の島ではとことんバカンスを楽しむ精神というか、ダイビングなどより食事の美味しさや設備の快適さに重きを置いているように思うのである(その分お値段もゴージャスだったりして…)。他にはMaldivesホテルチェーンの経営する島などもあるが、こちらは部屋もまあまあ快適でアクティビティも充分楽しめ、お値段もリーズナブルとなかなかバランスが取れている。
もちろん日本企業経営のリゾートもあるが、せっかくであるから日常とはかけ離れた、Maldivesらしさを楽しめるようなリゾートを選びたいと思っている(のは私の勝手だが)。
ホテルの外観は、ハワイなどでおなじみの高層ビルタイプではなく(小さな島にそんなもん建てられませんから)、一棟に一室〜数室のコテージタイプがほとんど。リゾートによっても違うが、コテージのテラスからから数歩でビーチに出られるようになっていて、島内ではほとんど水着のまま過ごすことができる(あねもねはMaldivesでの習慣が抜けなくて、沖縄本島のホテルに宿泊した際、部屋からホテル前のビーチに出るにもいちいち玄関を通らなくてはならないため服装にもある程度気を使わなくてはならないのを煩わしく感じてしまった)。
海に建物が張り出した造りの水上コテージをもつリゾートも多く、床がガラス張りになっていたり、バスルームから海に沈む夕日を眺められたり、コテージから直接海にエントリーできるようになっていたりして、カップルには人気である(シーズン中に予約を取るのは至難の技らしい)。
※以上のうち、統計などのデータはダイヤモンド社「地球の歩き方 モルディブ編」を参考にさせていただきました。
非日常の日々
- Maldivesにはたいてい真夜中に到着する。小さなボートに乗り換え、真っ暗な広い広い海を心細い気持ちで渡りようやくリゾートに着くと、寝静まった島内の小道を囚人さながらにレセプションまで連れて行かれ、慌ただしくチェックインを済ませてから各部屋へとこれまた連行されるように案内される。長旅の疲れで荷物整理もそこそこにベッドに入ってすぐに寝てしまう。
そして、朝である。目覚めて初めて、自分が今どんな場所にいるのかを確認できるのだ。おそらく、初めてMaldivesを訪れた人は軽いショックを受けるに違いない。
この一晩を境にして、非日常の世界へと一瞬にして気持ちを切り替えることができるのである。
Maldivesで過ごしていると、自分という人間が実は動物に過ぎなかったんだなぁというか、動物としての本能を思い知らされる。
規則正しくやってくる食事時間。到着翌朝、まずは軽く散歩でもして島を値踏みしてやろう…などと考えるが、いきなり朝食である。島内のレストラン(というか大食堂)へ続く小道を歩き出すと、昨日はいったいどこに潜んでいたのかゲスト達が三々五々、合流し始める(これをあねもね夫婦は民族大移動と呼んでいる)。
食事後、今度こそとやっきになって島巡りをしているうちに、もう既に太陽が頭の上に…。そう、エサの時間、もとい、昼食の時間である。…こうやっていつか強制的にこの島での日常へ組み込まれていく自分に気づくのだ。
Maldivesにいる間のことを思い返すと、ほとんど、食べているか、寝ているか(ビーチにごろごろ…も含め)、潜っているか、飲んでいるか…ってな感じである。
海外に行ったら何を置いても買いものよっ! という諸氏は諦めてほしい。およそそういったものとは無縁の場所である。もうあの海とお魚ちゃんととことん動物的本能に従うばかりの毎日とを目の前にしては、そんなことはどうでもよく思えてくるはず。
日がな一日海を眺めながらビーチで寝転び、気が向いたら3点セット(注:シュノーケル・マスク・フィンのシュノーケリング必須アイテム)を身に付け海の色が変わっているあたりまでざぶざぶと泳いでいく。というか浮かんでいくというほうが当たっているが。
この「気が向いたらシュノーケリング」というのが自分の性に合っているのだが、調べてみるとこれがなかなか他の場所では実現できないことのようなのだ。スキューバダイビングならどこの海で潜っても絶好のポイントを見つけることができるであろうが、3点セットのみで島から泳ぎ出してすぐに熱帯魚に囲まれるような環境はそうそう見つからない。結局、それが今まで4回も同じ場所に来るハメになってしまった(笑)理由の一つでもある。
トランプをする人々
- Maldivesのゲストはそのリゾート開発の歴史上、ドイツ人とイタリア人が多いといわれる。最近は日本人・台湾人などのアジアンゲストも増えてきたのだが、島での過ごしかたには確かにお国柄が出ているようだ。
ドイツ人は日中は専らダイビングにいそしんでいるらしい。日本人などもこの点は似ていて、ダイバーはほぼ毎日ボートに乗って出かけ、ノンダイバーでも、後に述べる「アイランドホッピング」などのアクティビティに毎日せっせと予約を入れるか、朝早くから場所取りをしておいた島内のビーチで焼きに入ったり、シュノーケリングをしたりしてなんとか充実したバカンスを送ってやろうと構えている気がする。
ところが、そんなことに全くお構いなし、ひたすら自分のペースを守って過ごしているゲストの存在に気づく。恐らくイタリアンと思われるのだが、彼らはビーチやバーの決まった場所に毎日出没する。そして何をしているかと見ると海には全く目もくれずに一日中本を読んでいたり、何が楽しいのか仲間うちで飽きもせずカードゲームに興じていたりするのだ。それも昼間っから〜。
もちろん海に入っている人たちもいる。でもなぜか読書する人やトランプをする人々の存在が帰国してからも心のどこかにこびり付いて離れない。それはつまり、羨ましいからに相違ない。
彼らのほとんどが、数週間、1〜2ヶ月といった長い休暇を利用して滞在していることは間違いない。そんな長いバケーションの間には、「今日は徹底的に潜ってやろう」とか「先週はなんだか疲れたから、今日からは読書週間としよう」などと無計画にその日その日の気分で過ごしかたを選択できるだろう。
ところが、悲しいかな、日本人のほとんどは1週間〜10日間の休みを死ぬ思いで取ってやってくるのが関の山。しかも日本からの移動には往復で都合3日近くを取られてしまうから、リゾートで過ごせるのはせいぜい4日〜7日である。この短い間に目いっぱいのんびりしようと思っても、やりたいこともいろいろあって、結局はせわしなく動き回ってしまうのが我々の性ではないだろうか。
ヨーロッパからのゲストには、シルバーエイジの夫婦も多い。日本人の熟年夫婦はというと、ハワイなど設備が充実した至れり尽せりのリゾートを訪れることはあるだろうが、素朴さを最も重んじて作られているMaldivesのリゾートにはほとんど見かけない。残念ながら、ヨーロピアンの諸先輩方のほうが本当のリゾートライフを知り尽くしているようだ。私達もそんなカッコイイジジババになることを目下の目標としている。
島の外に出てみよう
- Maldivesの楽しみは島の中だけではない。いわゆるエクスカーションといって、宿泊している島を離れて様々な体験ができるのも魅力のひとつ。たいてい、リゾートのレセプション(フロント)の脇あたりに掲示板のようなコーナーがあるはず。チェックインしたら島内散策も結構だがまずはここを確認してみるべし。そのリゾートによっても異なるが、曜日変わりで“アイランドホッピング”とか“ランチピクニック”“マーレ(首都の島)観光”“ヘリコプターツアー”“シュノーケリングツアー”“フィッシングツアー”なんてのが表示してあるはずだ。「○○には絶対参加したかったのに、気づいたらその曜日を過ぎてしまった…」なんてあとで悔やむことのないように、必ず何を置いてもまず最優先でこのエクスカーション・スケジュールを確認すること。気に入った催しがあれば、所定の用紙に部屋番号と参加者の名前・人数などを書いておき、あとは当日決められた時間に決められた集合場所にいけばよい。
とにかく四方を海に囲まれた文字通り孤島という環境のMaldivesリゾート、どこへ行くにも必ずお世話になるのがボートである。特に、この国独特の船である「ドーニ」にはぜひ乗りたいもの(実はMaldivesの言葉、ディベヒ語ではドーニ=船という意味)。もともとは帆船のようなものだったようだが、今は、少し大きめのボートに屋形船のように簡単な屋根がついていて、へさきがクルっとそりかえった形をしている。ちゃんとエンジンを動力としているが、進み方はゆったり(というかノロノロ)としていて、広い広い海の真ん中に出るとちょっぴり不安な気持ちになるが、そこがたまらない。船頭さんはドーニの端っこにある板状の舵を足で操作していて、見ているこちらものんびり、ゆったりした気分になってくるのである。空港の島フルレから各リゾートへは、昔はこのドーニでひたすらゆっくりゆっくりと向かったものだが、今はMaldivesにもスピード化の波が押し寄せてきたのか、スピードボートと呼ばれる高速船や、ヘリコプターなどを使って移動することが増えてきた。だからこそ、このようなエクスカーションに参加することによって、昔ながらのドーニでのゆったりした時間を体験したいものである。
各エクスカーションの内容だが、これぞMaldives!というべきものがアイランドホッピングであろう。小粒な島が点在しているMaldives。せっかく時間を掛けてたどりついたのだから、泊まった1島を体験するだけではもったいないっ!半日、または一日かけて、前述のドーニに乗って周辺の2〜3島を巡る、このツアーに参加しない手はない。起点となるリゾート島のロケーションにもよるが、だいたいのところ、1島は通称漁民の島と呼ばれる、モルディビアンの住む島、他は、自分の泊まっている島とタイプの異なるリゾートを訪れるというパターンが多いようだ。たまに、白い砂州だけが海の真っただ中にぽっかりと浮かんでいる島とか、無人島に連れて行ってくれる場合もある。無人島では、スタッフがリゾートから持ってきた魚や卵、サンドウィッチや飲み物などを広げてランチタイムとなることがほとんどだ。
このアイランドホッピングにはあねもね夫婦もチャンスがあればほぼ毎回参加している。だって、100以上もあるリゾート島をひとつひとつ自力で訪れるなんてとても無理だもの。1回のステイの間に複数体験できるなんて、こんなウマイ話がありますかってんだ。ちょうどいい具合に、過去4回のMaldives体験では、1回目…南マーレ環礁北部、2回目…南マーレ環礁南部、3回目…北マーレ環礁中南部、4回目…アリ環礁北部、と、毎回異なるエリアに宿泊しているので、アイランドホッピングで訪れた島をすべて含めると14〜5島は制覇(?)したことになるのだ。しかも、タイプの異なるリゾートを同時に見られるため、次回の参考にもなるし、予算オーバーの豪華リゾートを覗き見することや、そのリゾート限定のお土産をゲットすることもできる。漁民の島で選ぶパレオやアクセサリー、木彫りの魚などの素朴な土産物も楽しみだ。
また、ツアーで巡る島の中には、有数のシュノーケリングスポットが含まれていることも多い。実は、Maldives初体験となったLaguna
Beach Resortからのアイランドホッピングの際に偶然立ち寄ったEmbudhu Village(エンブドゥ・ヴィレッジ)というリゾートのあの素晴らしいドロップオフを体験しなかったら、ここまでシュノーケリングの魅力にはまるようなことがあったかどうかわからないのだから…。そういうわけで、アイランドホッピングに参加する際には、下に水着を着用し、シュノーケリング3点セットと現金を持っていくことをお勧めしたい。
眺めの良さを重視したあまり、ステイしているリゾートが遠浅で島の周りにドロップオフがなく、ハウスリーフでのシュノーケリングがイマイチ…なんてお嘆きの方にはシュノーケリングツアーがピッタリ。ドーニで現地スタッフが開拓したオススメのシュノーケリングスポットまで直接アクセスしてくれる。島にいるときのように、わざわざドロップオフまで泳いでいくという手間がなく、飛び込めばそこが極上のトロピカルフィッシュ・パラダイス…なんて、なんと贅沢なのだろう!
ただし、イキナリ足の届かない海のど真ん中に連れて行かれるので、シュノーケリングに自信のない(水中で立ち泳ぎができない)方は島のビーチで充分に慣らしてから参加したほうが、ストレスもなく楽しめると思う。一回のツアーにつき、多ければ3か所ほどのポイントに案内してくれるが、一回のシュノーケリングで短くて20分、長ければ1時間ほども遊ばせてくれる。その間体が冷えてくるのも気にせず、とにかく魚を追い続けること必至なので、水中用カメラを持参する場合は替えのフィルムも忘れずに。
また、水から上がったあとの一杯のミネラルウォーターや、スタッフが用意してくれるココナッツのぶつ切りが塩分でふやけた唇には心地よく、甘く感じてこれもまた格別。もちろん、泳ぎまくった夜の一杯が格別なのも実証済み…。
現実離れしたリゾートライフもいいけれど、 Maldivesという国や人のことをもっとよく知りたい、という向きにはマーレ観光はいかが?空港島フルレのすぐ隣の(Maldivesにしては)巨大な島だから、遠くから誰もが目にはしている場所ではあるが、島の真ん中にどどーんと鎮座していて、どこからでも目を引くでっかい金色のタマネギのようなあのモスク(注:イスラム寺院)を見ても、リゾートだけでは決して味わえないMaldivesの違った一面を体験することができるだろう。
あねもねは昔から回教徒というものに並々ならぬ憧憬の念というものを抱いていて、Maldivesが回教国と知ったとき、ぜひそれらしい部分に触れてみたいと思ったのだった。そのモスク(正式名称はイスラミック・センター)といい、パステルカラーのコロニアル・スタイルの大統領官邸といい、女性たちの目に鮮やかな民族衣装といい、美しい国Maldivesを裏切られることはない反面、バナナやカツオが無造作に並ぶ市場や、庶民の暮らす裏通りに一歩足を踏み入れた途端、この国の外側からではそれと気づかないもうひとつの面を垣間見て驚くことにもなるかもしれない。その印象は、アイランドホッピングで訪れる漁民の島にも共通するものだ。珊瑚を積み重ねて造った今にも崩れそうな粗末な造りの家、塀の上に拾ってきた貝殻を並べて観光客に買わないかと持ちかける年端も行かない少年、等々…正直言ってショックを受けた。でも、だからこそ、一度は誰もが体験しておいてほしい。後にも述べる機会があろうが、彼らの暮らしが貧しいように見えるからといって、彼らの心が貧しいわけでは決してない(いや、むしろその反対だ)。こういう人たちが作り上げた国、そのごく一部を間借りして、私たちは命の洗濯をさせてもらっているのだ…ということを忘れないためにも、モルディビアンの生活の場を一度は垣間見ておいてほしい。
もちろん、純粋に観光を楽しむのも、マルである。値引き交渉をいとわなければ、パレオやTシャツ、民芸品などを買いだめするもよし。紅茶などは、観光客相手の土産物屋よりも、街角の小さな店に入ると驚くほど安く手に入ったりする。
それから、マーレや漁民の島など、モルディビアンの住む島を訪れるようなツアーに参加する際は、女性は肌の露出が少ない服装(またはすぐに肌を隠せるよう、長めのパレオを持参するなど)で行くよう注意したい。そう、Maldivesは戒律の厳しいイスラム教の国。夫以外の男性に自分の肌を晒してはならないのですぞ。とはいえ、前回(1999年)訪れたマーレでは近代化の嵐が吹き荒れているのか、こちらが思わず目を覆ってしまうくらいのダイタンな軽装のうら若き女性を目にして驚いたのだが…。
- 最後に、もしもこれがアナタの選んだリゾートに用意されていたら無理をしてでも参加してみてほしい、と考えるのが、ヘリコプター遊覧ツアーである。日本からのツアーではたいてい、Maldives入りは深夜となるため、せっかくの空からの眺めというものが拝めないからだ(空港から遠いアリ環礁・バアア環礁などのリゾートに宿泊する場合は、入国した翌朝に水上飛行機やヘリで移動することになるからよいのだが)。
ヘリの発着にはヘリポートが必要なので、まずはリゾートをドーニなどで出発して、フルレ空港やヘリポートを備えている大きめの島などに移動する。そこからいよいよヘリコプターに乗り込み、空からの眺望を見た瞬間、サンスクリット語で「花輪」という意味とされるこの国の名前の由来が実感できる。ひとつひとつのちっぽけな珊瑚が気の遠くなるほど長い長い時間を掛けて造り上げた、いくつもの小さな環礁が連なっている様子。私たちの宿泊している島や、他の数千という島々はこれらの環礁の上に存在している。そして、それらの小規模な環礁がさらに連なって、ひとつの大きな環礁(アトール)を形作っているのだ…(もちろんヘリの上からはアトールの全貌を確認することはできないが)。この大きな26のアトールからMaldivesというひとつの共和国が成り立っているのだ。島の周辺の海の色は淡いソーダ色から、だんだんと濃くなるグラデーションに彩られている。そして、数十メートル外側で急に落ち込むドロップオフのところでは、深い藍色に変わる、その絵画のような美しさ。…ため息もんである。わずか15分ほどのツアーにしては少々お値段は張るが、それ以上の価値は絶対にある、と思う。
(...to
be continued)
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