アラファト議長府の人間の楯
 国家を超える非暴力直接行動


新聞各紙の報道では、イスラエルによる全面侵攻が続く中、国際的な非暴力反戦ネットワーク「国際連帯運動(ISM)」の現地での活動が注目を集めている。

彼等は3月31日、パレスティナ攻撃を断念させるために「人間の盾」として、アラファト議長が閉じこめられているラマラの自治政府議長府に入った。メンバーはラルザックの反基地闘争やマクドナルド襲撃で知られるフランスの農民運動家ジョゼ・ボベ氏など50人あまりで、ボベ氏を含む十数人がイスラエル軍に拘束された後も、40人ほどがアラファト議長らとともに立てこもっている。

同行動はまた、150人をベツレヘムのパレスチナ人難民キャンプの一戸ずつに滞在させ、イスラエル軍の行動を抑制し監視している。このうちの70人が4月1日、イスラエル軍の占領下にある近郊のベイトジャラへ向かう途中、軍の装甲車に銃撃され、英米人やオーストラリア人、日本人などの5人が負傷した。

負傷した日本人女性は東京都出身の清末愛砂さん(30)。右足に弾丸の破片が入った、が軽傷。清末さんはこの行動に留学中の英国から参加した。彼女は毎日新聞の電話インタビューに対して、「街中の給水タンクが破壊され電線も切断されている」など、攻撃下のパレスチナの悲惨な状況を伝え、「もう何人殺されたかわからない。そこに行って何かしたいのに屋外へでられない」と語った。

清末さんは東京や大阪で、野宿者や外国人労働者支援などの運動にも参加していたという。

「国際連帯行動」は、国境を越えるという意味で国際的であることに止まらず、殺人者の前に立ちふさがるという具体的な非暴力直接行動をおこなうことで、国家を超えていると言えるだろう。

(付注)ラルザックは'70年代から非暴力直接行動での抵抗を具体的に提起してきたフランスの大きな村ともいうべきコンミューンで、そのメンバーが日本の三里塚闘争支援の為来日したこともある。

(2002-04-07)

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