Shuttleworth Aircraft Collection

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 このシャトルワースで1機挙げるとすれば間違いなく 1909年ブレリオXI (1909 Bleriot Type XI )である。この機体は恐らく世界で最も旧い飛行可能な飛行機といえる。このブレリオ機(No.14)はシャトルワース氏が1938年に入手したものである。エンジンはアンザニ(Anzani)25馬力3気筒ファンタイプエンジンンで勿論オリジナルである。 世界には幾つかのブレリオXIがあるが、いずれもレプリカであり再製作のエンジンである。

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エンジンの下にはトレイがあり、滴下するオイルが溜まっていて、このエンジンが生きていることを証明している。

ラダーは垂直尾翼全体が動く。水平尾翼は両端の1/2の全体が分割でエレベータとして可動する。

Height: 8ft 5in
Length: 25ft
Wingspan: 29ft
Engine: one 24hp Anzani fan

 この見事な翼型には驚かされる。空を飛ぶ鳥の翼そのもののようだ。見たところエルロンは見当たらない。よく見ると主翼を支えるケーブルに工夫が見られる。下右の写真中央に小さなレバーが見えるが、これが操縦席の操縦桿に上向きのケーブルで繋がっている。また左右へのケーブルは主翼の両端に繋がっている。操縦桿を左右に倒すとこのケーブルで主翼自体を捻って左右の迎え角を変えて旋回する仕組みである。当然上側のケーブルは中央上の櫓では滑車で左右に動けるようになっている。(下左写真)お分かりいただけるだろうか?

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車輪の横にある金属製の支柱は車輪を支えるリンクの一方が下端に、もう一方が上方に伸びて、金属支柱にガイドで取り付けられスライドする。そこを太いゴムひもで下方にテンションを与え支えている。着地の衝撃吸収とともに金属支柱をガイドがすべる摩擦力でダンパーの役目も果たしているのだろうか? いずれにせよ何も教科書がない中で見事な工夫がなされており、先人の知恵と努力に感嘆する。

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全幅 28 ft 7 1/2 in、 全長 23 ft 1 1/2 in、  エンジン 24 PS、 重量(空) 484 lbs、  速度 46 mph

 この機体は年に一回のフェスティバル(9月下旬)には実際に飛行を行っている。ただし滑走路をまっすぐにジャンプさせる程度に制限しているが、この貴重な機体だけに当然である。

 

 

 下は1910年Deperdussin機。 エンジンは1909年ブレリオと同じアンザニ3気筒であるがYタイプと呼ばれるロータリー(シリンダーがプロペラと共に回転する)式35馬力である。またエレベーターは現在の形式と同じになっている。操縦桿はステアリングホィール方式である。

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Height: 7ft 6in
Length: 24ft 10in
Wingspan: 28ft 9in
Engine: one 35hp Anzani 3 cylinder 'Y' type


 下は1910年アブロ三葉機(Avro Triplane)。クリスハマーの105馬力エンジンを搭載している。ロール系の操縦系統がよく分からなかったが、ライト兄弟と同じように主翼全体を箱を捻るようにしている模様。 主翼が3葉だけに簡単に理解は出来なかったが、ケーブルの繋げ方からすると、上翼と中央翼の両端だけがねじられ、下翼は固定したままとなると思われる。なお、この機体はレプリカであるが、勿論飛行可能である。

Height: 9ft 0in
Length: 30ft 0in
Wingspan: 32ft 0in
Engine: one 105hp Cirrus Hermes II


 下は1910年ブリストル・ボックスカイト(Bristol Boxkite)。 ロールスロイスの100馬力エンジンを搭載した2座機である。 この機体はオリジナルではなく復元機体である。この機体は主翼の両端を見ていただくとエルロンが垂れ下がっているのが分かる。飛行中は当然水平になっていて、操縦桿を左右に倒すと左右互い違いに上下する現状の航空機と同じ方式である。 1910年前後はまだ3次元の運動が明確に制御できず、各技術者が色々な方式を試行錯誤しているが、いったん理論が確立されると急速に技術が進歩していった。 この15年後には早くも「トライモーター」が飛び、30年後には「隼」が完成しているのである。

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15/Sept/2009 〜