陸軍中島キ-87試作高々度戦闘機

Army Nakajima Ki-87 Experimental High-altitude Fighter

乗員1名、動力ハ‐44-12ル(ハ‐219ル)空冷式複列星型18気筒2,350HP(1,000m)、2,050HP(6,000m)、1,850HP(10,500m)、離陸2,450HP、
VDM電気定速可変ピッチ4翅直径3.60〜3.90m、
全幅13.42m、全長11.82m、自重4,383kg、搭載量1,717kg、全備重量6,100kg、
最大速度689km/h(1,000m)、巡航速度470km/h(11,000m)、
着陸速度138.5km/h、上昇時間6,000m/7'44"、10,000m/14'12"、
実用上昇限度12,855m、航続力行動半径600〜800km+空戦0.5h+余裕1h、
30mm砲×2(主翼外側)、20mm砲×2(主翼付根)、
必要に応じ250kg爆弾×1、(性能は計算値)全金属製応力外皮構造。

Illustrated by Mr Shigeo Koike

 昭和17年の秋、B29完成の報が伝わリ、高度10,000mからの日本本土空襲が予想され、陸軍は中島および立川に対して、高々度対爆撃機用戦闘機の試作を命じた。中島はキ-87高々度近距離戦闘機、立川はキ-94高々度防空戦闘機である。キ-87は、中島の小山悌技師指導のもとに、西村節朗、青木邦弘、加藤博美技師らの協力により、中島飛行機三鷹研究所機体部と太田製作所の協力で、17年11月設計に着千した。最大の問題は、空中戦高度10,000m以上で十分な性能を発揮する発動機の試作で、それには三速過給機または排気タービン過給機を採用するはかに手段がなく、結局常用高度10,000m、実用上昇限度13,000mを目標として、排気タービン過給機つきの中島試作ハ-44(NK11A)を採用した。気密座席は、実用上の不便と被弾したときの事故を考慮して中止し、大量の酸素ボンベを携行することになったが、装置に不備な点が多く、完成に手間どった。

 ハ-44は、ハ-45を大型化したような二重星型18気筒、高度6,000mで2,050馬力の設計であるが、タービン自身の耐熱性不足などのため、予定の性能を発揮できなかった。試作1号機は、20年2月に完成し、直ちに生産予定の資材調達が開始されたが、試験飛行は発動機と脚の不具合のため、調布飛行場で脚を出したまま5回の飛行で終戦、2号機以下は完成しなかった。

 脚は珍しい後方引き込み

カウルの側方はターボ過給機

 中島飛行機目次へ戻る、特殊攻撃機キ-115 諸元へ

[HOME/WhatsNew/ClassicPlane/NAKAJIMA/KOUKEN/MUSEUM/LINK/JFC/HARDWARE/QESTIONNAIRE]