080.ショートS.8「カルカッタ」飛行艇[イギリス]

SHORT S.8 "CALCUTTA" FLYING BOAT[ U.K.]

初飛行:1928年2月14日
全幅:28.35m、 全長:20.12m、総重量:10,206kg、 最大速度:190km/h/SL
発動機:ブリストルジュピターXIF 540馬力×3 、乗員/乗客:3/12名 、

                                  Illustrated by KOIKE, Shigeo , イラスト:小池繁夫氏

 かつて七つの海を支配し、世界各地に植民地を持つた大英帝国。その歴史を刻んだ飛行機の代表格が、このカルカッタかもしれない。

 英国空軍の双発哨戒飛行艇シンガポール1を母体とし、植民地と結ぶ長距離海外路線用にインベリアル航空(現在の英国航空)がショート社に発注。イギリス本国から地中海を経てインドのカラチに至る路線と、中央アフリカのビクトリア湖への路線に就航し、1930年代の前半まで活躍していた。

 とくに英国本土からカラチにいたる全て航空機による路線開設はイギリス念願の実現であった。ロンドンからインドまでの旅行者は、ビクトリア駅から汽車でクロイドン飛行場まで行き、ここからイタリアのジェノバまで陸上機のアームストロング・ホイットワース・アーゴシーで飛び、次にジェノバからこのカルカッタ飛行艇に乗ってアレキサンドリアに行く。ここからインドまでは再び陸上機のデハビランドDH66ハーキュリーズ旅客機でアラビアを超え、紅海をわたってペルシャの砂漠地帯を超えての何度もトランジットを繰り返す、今から考えると気の遠くなる長旅となる。

 商用大型飛行艇では初めてジュラルミン製の全金属モノコック構造を採用、いかにも長距離飛行向きの機体だが、なぜかコックピットは外気にむき出しに。「高度を上げての長時間飛行は寒くて辛かったでしょうね。でも、大気の抵抗を体に感じて速度を知ることを当時のパイロットは大切にしていた。という話を聞いたことがあります」と小池さんが説明してくれました。

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