198. シコルスキー S-43 水陸両用旅客飛行艇[アメリカ]
    SIKORSKY S-43 Passenger Amphibian[∪.S.A]

   
全幅:25.00 m、 全長:15.37 m、 翼面楕:720 u、
発動機:P&WホーネットSIE-G/R1690 空冷星型9気筒750馬力×2、
総重量: 7,956 kg、 最大速度: 300k m/hr/SL、 航続距離:1,307 km、
乗員 4+乗客 15 名、
初飛行: 1935年
 
                                    Illustrated by KOIKE, Shigeo  , イラスト:小池繁夫氏 2005年カレンダー掲載

  パン・アメリカン航空の、カリブ海・南米航路向けに開発された中型の水陸両用飛行艇である。 1935年(昭10)に完成し、1936年には水陸両用飛行艇部門(C3ウラス)の上昇高度国際記録を獲得している。

 本機は、その開発に先立って完成した4発大型飛行艇シコルスキーS-42の技術をそっくり利用して、小型・双発化したベート・クリッバーである。S-42はすでにこの1993年のカレンダーに登場しているが、NACA(NASA)の研究を活かした革新的設計と太平洋横断航空路のルート調査の実績に輝く名機だった。

 小型化以外でのS42との大きな違いは、引込式の降着装置を取り付け、水陸両用機としたことだった。 水陸両用にすると、陸上飛行場をホームベースとして利用しながら、飛行場の無い小さな島には水面を利用して訪れるという利便性が生まれるが、降着装置と取付部の構造重量が増加するために、旅客や貨物、あるいは燃料を減らさなけれはならない。 いずれも採算性悪化や航続距離短縮につながる。 しかも、その損失は長距離機になれはなるほど大きくなるため、長距離性能を重視する大型機には水陸両用形式は向かない。 使い勝手の良さと性能のどちらを選ぶかという判断の基準は、その飛行機の使われる場面によって大きく変わってくる。

 S-43は一時的にはボーイング247やDC-2などの陸上機とも競合した。 その結果、パン・アメリカン航空だけでなく、エールフランスでも採用され、ハワイ諸島、フィリピン、ノルウェー、ロシア、中国などでも採用された。 そしてこの画に描かれているのはアフリカ西海岸で活躍したフランスUTAの機体である。 

 また、アメリカ海軍・海兵隊はJRSとして17機、同陸軍はY10Aとして6機を使用していた。また変り種で大富豪のハワード・ヒューズもこのS-43を購入している。

 


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