中国黒竜江省酪農乳業発展計画
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中国におけるチーズ市場状況

黒竜江省酪農乳業発展計画 乳製品製造グループ

目次

1 チーズの概要
1−1 各国のチーズ生産量
1−2 各国の一人当たりのチーズ平均消費量
1−3 チーズの分類
2 市販ナチュラルチーズの市場調査
2−1 市販ナチュラルチーズの情報収集
2−2 市販ナチュラルチーズの官能評価
2−3 市販ナチュラルチーズの水分、灰分の分析
3 市販プロセスチーズの市場調査
3−1 市販プロセスチーズの情報収集

1 チーズの概要

日本からチーズ製造技術移転を受けるに当たり、まず我国におけるチーズ市場の状況収集を行ったので報告する。

1−1 各国のチーズ生産量

1994年に於ける世界各国のチーズ生産量を表1に示した。

現在、世界各地域の色々な国々でチーズが生産されている。しかし、主要な生産国は、西欧とその移民国の例えばカナダ、ニュージランド等である。1994年においてヨーロッパ経済共同体国の総生産量は世界の総生産量の三分の1を超えており、また、アメリカは一番多い生産国で、世界の総生産量の五分の1を超えている。

我が中国の生産量のデータがないので、現在調査中である。また、最近のデータについても調査中である。

 

表1 世界各国のチーズ生産量

1−2 各国の一人当たりのチーズ平均消費量

1985年と1995年の各国における一人当たりのチーズ消費量の変化を表2に示した。

ベルギー、ポーランド、ギリシャ、ロシア、チェコおよびカナダは減少の傾向であったが、それ以外の多くの国々ではチーズ消費量は10年の間に増加しており、特に、ヨーロッパ経済共同体国では2.1%も増加した。

我が中国も最近WTOに加入したので、社会が進歩して生活レベルが上がり、飲食習慣も変化し、チーズの栄養価値も認識されることから、これからは中国でもチーズの消費は必ず促進されるだろう。また、チーズ製造技術や製造機械の発展・改革などによりチーズ市場の将来は輝かしい。

我が中国のチーズ消費量についてもデータがないので、現在調査中である。また、最近のデータについても調査中である。

 

表2 世界各国のチーズ消費量

1−3 チーズの分類

チーズの種類は多く、それらチーズはいくつかの分類方法で分けられている。その分類方法は、

  1. 製造工程によって
  2. 製品の硬さによって
  3. 製品の形状によって
  4. 使用するレンニン(凝乳酵素)によって
  5. チーズの殻によって

等である。しかし、実際上は単純な定義を定めるのが困難であるので、分類は多種多様で、変化極まりない。一つのチーズは二つあるいはそれ以上の類別に属することもある。

下記にbとeの分類方法の二例について示した。

 
製品の硬さによって分類する
分 類 水 分 特 徴 代表チーズ
特に軟質 80% スプーンで掘れる フレッシュチーズ
軟質 50〜70% 塗りやすい カマンベール
半硬質 40〜50% スライスに適する ゴーダ
青色半硬質 40〜50% 歯切れが良い、軟らかい ロックホール
硬質 30〜50% 硬い チェダー


チーズの殻によって分類する
分 類 特 徴 代表チーズ
白カビ 白色 カマンベール
自然乾燥 表面硬い チェダー
有機類型 薬草または葉を添加する ヤギのチーズ
人造類型 表面を蝋引きまたはフイルム包装 オランダエダム


2 市販ナチュラルチーズの市場調査

2−1 市販ナチュラルチーズの情報収集

ナチュラルチーズおよびプロセスチーズ製造技術の習得に先立ち、ナチュラルチーズの直接消費の状況を把握するためやプロセスチーズの原料となるナチュラルチーズの選別をを行うため等を目的にチーズ市場を調査した。

中国の首都北京と酪農の発展が期待されている黒竜江省の大都市ハルビン市で販売されているナチュラルチーズを入手し、チーズの種類や品目、形態、単価、表示内容、添加物、製造会社、輸入・販売会社等の情報を収集した。また、風味など品質についても評価を行った。一部の結果について表3に示した。

 

表3 市販ナチュラルチーズの調査結果

 

我が中国の乳製品市場において、牛乳、醗酵乳あるいは粉乳等は伸張の状況にあるが、一方、チーズは初期的な段階である。ごく限られた小数の大都市で売られているが、販売物量はごく僅かである。しかし、販売されているチーズの種類、品目は多く、熟成タイプのチーズでは、ゴーダ、エダム、ハバティ、サムソー、チェダー、エメンタール、パルメザン、カマンベール、ブリー、ブルー等と種類は豊富である。また、フレッシュタイプもカッテージ、クリーム、モッツァレラが販売されている。それらは小さな塊での包装やスライスタイプの包装が主体であった。

自国の製造会社は非常に少なく、上海の光明乳業有限公司、北京の牛乳乳品公司、内モンゴルの騎士乳製品集団公司及び天津にあるフランス単独投資の吉百福公司の4社にすぎなかった。

国内のチーズ市場は殆どが輸入で賄われており、多くはオーストラリヤ、フランス、スイス、デンマークの製品である。それら輸入品を取り扱っている代理店は北京緑之珠商業配送有限公司、北京華奥永盛商貿公司、北京利徳食品公司、北京柏昌達商貿有限公司及び広州富隆貿有限公司等である。

輸入チーズの包装と外観は精巧で美しく、製品ごとに異なっている。包装材料は多種多様で、セロファンアート紙、アルミ箔、ビニールフイルム等を使用しているので、コストは割合に高くなる。また、製品の品質は良い。しかし、我が中国においては、製品設計が単調で、包装材料も簡単であるのでコストが割合に安く、チーズ単価も若干低値である。しかし、国内産チーズに対する購買意欲は乏しい。

国内産の品質保持期間は6ケ月で輸入製品の9〜13ケ月に比べ短期間であつた。

2−2 市販ナチュラルチーズの官能評価

カウンターパート(技術移転の受益者で以下C/Pと略す)、専門家で市販ナチュラルチーズの風味(甘味、塩味、酸味、苦味、辛味および美味しさ)と組織(硬さ)を官能的に評価した。その結果を表4に示した。

評価方法は、以下の通り5段階の点数評価とした。

2点強い
1点やや強い
0点普通、適度
−1点やや弱い
−2点弱い

表4 市販ナチュラルチーズの官能評価結果

 

官能評価の結果、チェダーチーズ、ゴーダチーズ及びハバティチーズが美味しく、特にハバティチーズは組織も軟らかく、口当たりが良いためC/Pに好まれた。しかし、エメンタール、パルメザン、中国産チェダーは味が強すぎて嫌われた。また、白カビ熟成タイプのカマンベール、ブリー共味はやや弱いが組織が軟らかく、口当たりが良いためC/Pに好まれた。

従って、これからのプロセスチーズの製造技術移転における試作実験には取り敢えずチェダー、ゴーダおよびハバティの3品種のチーズを用いることとした。

チェダーチーズ

原産地はイギリスで、世界で一番生産量の多いチーズである。組織は滑らかで、とても硬く、色沢は金色を呈している。熟成が進むに伴い色は濃くなる。風味は美味しくナッツの味がし、また、辛味を呈することもある。

原料乳は殺菌あるいは殺菌しないで用いられる。ある製造会社では胡椒、ビール、ニンニク、ナッツ、干し葡萄、中国式のピクルス等をチーズに添加している。

ゴーダチーズ

原産地はオランダで、ゴーダという村で造られたのでゴーダチーズと名づけられた。製品の種類は形の違うものから、あるいは熟成期間が一ケ月間から2年位のものまで、多種多様である

熟成の浅いチーズの組織は強固で、大きいかあるいは小さい孔がある。色沢は金色を呈している。熟成の深いチーズの色沢は濃くなり、風味はとても強くなる。

ハバティチーズ

原産地はデンマークで、組織は軟らかくバターに似ている。小さい孔がある。風味は穏やかであるが、熟成が進むに従って徐々に強くなる。薬草で味付けされたチーズもある。

2−3 市販ナチュラルチーズの水分、灰分の分析

チーズの水分と灰分の分析方法に於いては粉乳の方法で問題がないことが判ったので、市販ナチュラルチーズの一部の製品について水分と灰分を分析した。その結果を表5に示した。

 

表5 ナチュラルチーズの水分及び灰分含量

 

3 市販プロセスチーズの市場調査

3−1 市販プロセスチーズの情報収集

プロセスチーズ製造技術の習得に先立ち、プロセスチーズの市場を調査した。

中国の首都北京と酪農の発展が期待されている黒竜江省の大都市ハルビン市で販売されているプロセスチーズを入手し、チーズの種類や品目、形態、単価、表示内容、添加物、製造会社、輸入・販売会社等の情報を収集した。また、風味など品質についても評価を行った。一部の結果について表6に示した。

 

表6 市販プロセスチーズの表示内容


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