中国黒竜江省酪農乳業発展計画
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中国黒竜江省酪農乳業発展計画のための
技術協力に関する日本側実施協議調査団と
中国側関係者との討議議事録

国際協力事業団(以下「JICA」という。)が組織し、石原哲雄氏を団長とする日本側実施協議調査団(以下、「調査団」という。)は、中国黒竜江省酪農乳業発展計画についての技術協力計画の詳細を策定するため、2001年4月8日から同年4月18日まで中華人民共和国を訪問した。

中華人民共和国滞在中に、調査団は当該計画の有効な実施のため、両国政府が取るべき必要な措置に関して、中華人民共和国関係者と意見を交換し、一連の討議を行った。 討議の結果、双方はそれぞれの政府に対し、附属文書に記載する諸事項について勧告することに同意した。

本書は等しく正文である日本語、中国語及び英語により、それぞれ2通作成した。解釈に相違がある場合には、英語版を優先させる。

哈爾濱市
2001年4月16日
石原 哲雄
日本国国際協力事業団
実施協議調査団団長
董 瑞麟
中華人民共和国
黒竜江省科学技術庁
副庁長

付属文書

I.両国政府の協力

  1. 中華人民共和国政府は、日本国政府と協力し、中国黒竜江省酪農乳業発展計画(以下「当該計画」という。)を実施する。
  2. 当該計画は、附表Iの基本計画に基づいて実施される。

II.日本国政府の取るべき措置

日本国政府は、日本国において施行されている法律及び規則に従い、日本国政府の技術協力計画の通常の手続きにより、JICAを通して以下の措置をとる。

  1. 日本人専門家の派遣
    日本国政府は、附表IIに掲げる日本人専門家の役務を提供する。
  2. 機材供与
    日本国政府は、附表IIIに掲げる当該計画の実施に必要な機械、機材及びその他の資材(以下「機材」という。)を供与する。機材は陸揚の港及び(又は)空港にて中国側関係当局へC.I.F.建てにて引き渡されたとき、中華人民共和国政府の財産となる。
  3. 研修員受入
    日本国政府は、日本における技術研修のため、当該計画に関係する中国人を日本に受け入れる。

III.中華人民共和国政府の取るべき措置

  1. 中華人民共和国政府は、当該計画の主体的運営及び自立性を確保するため、中華人民共和国における関係者、受益者集団及び関係機関を十分かつ積極的に関与させることによって、日本の技術協力実施中及び終了後、当該計画の自主的な運営が維持されることを確保するために必要な措置をとる。
  2. 中華人民共和国政府は、日本の技術協力の結果として中国人民によって得られた技術と知識が、中国の経済及び社会の発展に貢献することを保証する。
  3. 中華人民共和国政府は、上述のII-1に掲げる日本人専門家とその家族に対し、附表IVに掲げる中華人民共和国における特権、免除及び便宜を与えるとともに、同様の任務を遂行する第三国の専門家又は国際機関の専門家より不利でない特権、免除及び便宜を付与する。
  4. 中華人民共和国政府は、上記II-2に掲げる機材が、附表IIに掲げる日本人専門家との協議のもとに、当該計画の実施のため、効果的に使用されることを保証する。
  5. 中華人民共和国政府は、中国人が日本における技術研修から得た知識及び経験が、当該計画を実施する上で有効に使用されることを保証するために必要な措置をとる。
  6. 中華人民共和国政府は、中華人民共和国において施行されている法律及び規則に従い、中華人民共和国側の負担において次のものを提供するため、必要な措置をとる。
    (1).附表Vに掲げる中国人カウンターパート及び事務職員の役務
    (2).附表VIに掲げる土地、建物及び付帯施設
    (3).上記II-2に掲げるJICAから供与する機材以外で、当該計画の実施に必要な機械、機材、器具、車両、工具、予備品及びその他の必要な物品を供給及び更新
    (4).中華人民共和国内における日本人専門家の公務出張に対する交通の便宜及び黒竜江省内の移動手段
  7. 中華人民共和国政府は、中華人民共和国において施行されている法律及び規則に従い、次の経費を負担するため、必要な措置をとる。
    (1).上記II-2に掲げる機材の、中華人民共和国内の輸送、据付け、操作及び保守に必要な経費
    (2).上記II-2に掲げる機材に対し、中華人民共和国内で課せられる関税、国内税及びその他の課徴金
    (3).当該計画の実施に必要な運営費

IV.当該計画の管理

  1. 黒竜江省科学技術庁の副庁長は、当該計画の総責任者として、当該計画の監督及び実施について全責任を負う。
  2. 当該計画の実施管理室は以下の各機関の代表者により構成され、室長は、当該計画の実施責任者として、当該計画の管理運営面及び技術面の事項について責任を負う。
    (1).黒竜江省科学技術庁
    (2).黒竜江省畜牧局
    (3).国家乳業工程技術研究センター
    (4).黒竜江省畜牧研究所
    (5).安達市畜牧局
    (6).安達市先源郷
    (7).安達市モデル牧場
  3. 日本人チーフアドバイザーは、当該計画の総責任者及び実施責任者に対して、当該計画の実施に関する事項について、必要な提言及び助言を与える。
  4. 日本人調整員は、中国人カウンターパートに対して、当該計画の管理運営に関する事項について、必要な提言及び助言を与える。
  5. 日本人専門家は、中国人カウンターパートに対して、当該計画の実施に関する技術面の事項について、必要な技術的指導及び助言を与える。
  6. 当該計画の技術協力を効率的且つ成功裡に実施するために、附表VIIに掲げる機能及び構成による合同調整委員会を設置する。

V.合同評価

当該計画の達成度を評価するために、協力期間の中間及び協力期間の終了前6ヶ月の間に、JICA及び中国関係当局を通して、両国政府は合同で評価を行う。

VI.日本人専門家に対する請求

中華人民共和国政府は、日本人専門家の中華人民共和国内における当該計画の技術協力の遂行に起因し、又はその遂行中に、若しくはその遂行に関連して日本人専門家に対する請求事由が発生した場合には、日本人専門家の故意又は重大な過失による場合を除き、その請求に対する責任を負う。

VII.相互協議

両国政府は、本付属文書から生ずる、又は本付属文書に関連する主要事項について相互協議を行う。

VIII.当該計画の理解及び支援を促進するための措置

中華人民共和国政府は、当該計画に対する中国国民の支援を促進することを目的として、中国国民に広く当該計画を知らしめるため、適切な措置をとる。

IX.協力期間

本付属文書に基づく当該計画の技術協力期間は、最初の専門家が中華人民共和国に到着した日より5年間とする。

附表I基本計画
附表II日本人専門家
附表III供与機材
附表IV日本人専門家に対する特権、免除及び便宜
附表V中国側カウンターパート及び管理運営要員
附表VI土地、建物及び付帯設備
附表VII合同調整委員会

附表I 基本計画

1.上位目標

酪農乳業の発展を通じ、黒竜江省の酪農家の所得が向上する。

2.当該計画の目標

黒竜江省に適した酪農乳業のモデルが確立する。

3.当該計画の成果

(1)モデル地域の酪農家が良質な飼料を生産できる。
(2)モデル地域の酪農家が乳牛の適切な飼養管理を行える。
(3)乳製品が多様化し、品質が向上する。

4.当該計画の活動

(1)飼料生産
1)モデル牧場における小規模な草地改良技術の導入
2)未利用資源の飼料化技術の改善
3)サイレージ調製技術の改善
4)飼料分析技術の改善 *
5)アルファルファ採種技術の改善 *
6)モデル牧場における飼料生産技術の実証展示
(2)飼養管理
1)乳牛の一般飼養管理技術の改善
2)搾乳衛生管理技術の改善
3)機械搾乳技術の改善
4)受精卵移植技術の改善 *
5)モデル牧場における乳牛の飼養管理技術の実証展示
(3)原料乳品質管理
1)原料乳の品質管理技術の改善
(4)乳製品製造
1)乳製品製造技術の改善
2)乳酸菌収集、保存及び培養技術の改善

注:1.*の活動は原則としてカウンターパートの日本での研修で対応することとする。
2.当該計画で扱う乳製品はヨーグルトとチーズである。

附表II 日本人専門家

1.長期専門家

(1)チーフアドバイザー
(2)業務調整員
(3)下記分野の専門家
1)飼料生産
2)飼養管理
3)原料乳品質管理
4)乳製品製造
注:チーフアドバイザーは他の分野を兼務することができる。

2. 短期専門家

附表Iの範囲内で、必要に応じて派遣される。


附表III 供与機材

  1. 飼料生産に必要な資機材
  2. 飼養管理に必要な資機材
  3. 原料乳品質管理に必要な資機材
  4. 乳製品製造に必要な資機材
  5. 当該計画の執務室に必要な資機材
  6. 車両
  7. その他、当該計画の実施に必要な資機材

附表IV 日本人専門家に対する特権、免除及び便宜

  1. 中華人民共和国政府は、日本人専門家及びその家族に海外から送金される報酬に対して、又はそれに関連して課せられる所得税及びいかなる課徴金も免除する。
  2. 中華人民共和国政府は、日本人専門家及びその家族が持ち込む個人的使用品並びに業務に関連する機材に課せられる関税を免除する。
  3. 中華人民共和国政府は、日本人専門家及びその家族に対して医療の便宜を提供する。

附表V 中国人カウンターパート及び管理運営要員

  1. 当該計画の総責任者(黒竜江省科学技術庁副庁長)
  2. 当該計画の実施責任者(当該計画の実施管理室室長)
  3. 以下の各機関における実施管理の実務者
    (1)黒竜江省科学技術庁
    (2)黒竜江省畜牧局
    (3)国家乳業工程技術研究センター
    (4)黒竜江省畜牧研究所
    (5)安達市畜牧局
    (6)安達市先源郷
    (7)安達市モデル牧場
  4. 下記の専門分野のカウンターパート
    (1)飼料生産
    (2)飼養管理
    (3)原料乳品質管理
    (4)乳製品製造
    (5)その他短期専門家の活動に関連する分野
  5. 事務要員
    (1)秘書
    (2)事務職員
    (3)会計
  6. 通訳
  7. その他当該計画の実施に必要な人員
    (1)牧場作業員
    (2)運転手
    (3)その他

附表VI 土地、建物及び付帯設備

  1. 当該計画の実施に必要な土地、建物及び付帯設備
  2. 機材の据付け及び保管に必要な部屋及びスペース
  3. 日本人専門家の執務場所及び必要な設備
  4. その他、双方が必要と認めた土地、建物及び付帯設備

附表VII 合同調整委員会

  1. 機能
    合同調整委員会は、少なくても年1回、及び必要が生じた時に開催し、次の機能を持つものとする。
    (1)当該計画の活動に関する技術的指導及び助言を与えるとともに、中国側関係機関内の関連活動との調整を行う。
    (2)本討議議事録の範囲内での年次計画の決定及び見直しを行う。
    (3)年次計画の達成状況の検証及び円滑な推進にかかる提言を行う。
    (4)その他、当該計画の実施上生じた、あるいは関連する問題についての検討及び意見交換を行う。
  2. 構成
    (1)委員長 黒竜江省科学技術庁副庁長
    (2)副委員長 黒竜江省畜牧局副局長
    (3)事務局長 黒竜江省科学技術庁国際合作処副処長
    (4)委員
    中国側
    1)国家科学技術部の代表
    2)黒竜江省科学技術庁国際合作処処長
    3)国家乳業工程技術研究センター副主任
    4)黒竜江省畜牧研究所所長
    5)安達市副市長
    6)安達市先源郷郷長
    7)黒竜江省酪農乳業発展計画実施管理室室長

    日本側
    1)チーフアドバイザー
    2)業務調整員
    3)当該計画に派遣される専門家
    4)JICA中華人民共和国事務所の代表者
    5)JICAにより派遣される調査団の団員

    注:委員長が指名する者及び在中華人民共和国日本国大使館員はオブザーバーとして出席できる。

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