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中国黒竜江省酪農乳業発展計画 | ![]() |
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top › 中国黒竜江省酪農乳業発展計画 › プロジェクトの概要 › 日中双方の合意事項 › 運営指導調査協議覚書(2003.02.13) |
国際協力事業団(以下「JICA」という)が組織し、中川和夫を団長とする日本側運営指導調査団(以下「調査団」という)は、中国黒竜江省酪農乳業発展計画(以下「当該計画」という)に関するこれまでの活動状況を確認するとともに、当該計画の運営に係る問題点の把握とその解決方法の助言・指導を行うため、2003年2月9日から同年2月15日まで中華人民共和国を訪問した。
調査団は、中華人民共和国滞在中に、当該計画に関する共通の理解と認識を得るために、中華人民共和国関係者と意見を交換し、一連の協議、現地調査を行った。協議の結果、双方はここに添付する付属文書に記載する諸事項について合意した。
本覚書は、協議結果をそれぞれ自国政府に報告することを以下の署名により確認するものであり、2003年2月13日に哈爾濱市にて等しく正文である日本語、中国語による各2通を作成した。
哈爾濱市 2003年2月13日 |
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プロジェクト活動が本格化した協力2年目に当たり、プロジェクトの運営体制、評価・モニタリングの実施状況、前回調査時の提言事項に対するフォローアップ状況などを確認するとともに、プロジェクト運営に係る問題点の把握とその解決方法を助言・指導し、プロジェクトの円滑な運営管理に資することを目的とする。
2003年2月13日開催の合同調整委員会において、良質な飼料生産、生乳の品質向上及び乳製品の品質向上・多様化に係る適正な成果の指標を決定するため、プロジェクトデザインマトリクス(PDM)の修正案が提出され、附表Iのとおり承認された。
黒竜江省は、中国全省の酪農・乳業の振興を図る上で重要な位置を占めており、当該計画の実施により酪農乳業のモデルが確立される意義は大きい。一方、当該計画の成果は、協力期間終了後、黒竜江省全体の酪農乳業の関係者・関係機関へ普及され、自立発展的に持続されていく必要がある。
安達市では、作成中の中期的な酪農・乳業振興計画の中に当該計画の役割・位置づけを明確に記載する予定である。
年次計画の策定、実施上生じた問題についての検討など当該計画の運営を円滑に実施するため、実施管理室の総合調整機能をより強化する必要がある。このため、実施管理室は、討議議事録覚書に記載されている実施管理実務者会議を活用するほか、必要に応じて合同調整委員会の委員長(黒竜江省科学技術庁副庁長)、副委員長(黒竜江省畜牧局副局長)及び事務局長(黒竜江省科学技術庁国際合作処副処長)と協議し、日中間及びサイト間の調整を積極的に行う。
日本人専門家及び中国側関係者は、当該計画を適切に運営・管理するため、第1回、第2回モニタリング委員会をそれぞれ2002年8月、12月に開催し、PDMに関する適正な指標を策定したほか、モニタリング報告書を黒竜江省科学技術庁及びJICA中国事務所に提出した。モニタリングに必要な指標データの収集に当たっては、中国側が必要なデータの提供に積極的に協力することが重要である。
プロジェクト第2年次の活動計画(2002年7月〜2003年6月)の進捗状況を確認した結果、機材供与や施設整備の遅れから一部活動に影響がみられる。技術移転を円滑に進めるためには、さらなる日中双方の努力が必要である。
本調査団の派遣に先立ち、プロジェクト関係者に対して、当該計画の活動の進捗、運営管理上の問題等を内容とする事前質問票を配布し、記入を依頼した。全体で41名から回答を得た結果、主な内容は次のとおりである。
中国側は、討議議事録に記載された合意に基づき、実施管理室、酪農サイト及び乳業サイトにカウンターパート45名及び通訳を含む管理要員8名を配置している。通訳については、酪農サイト2名、乳業サイト2名の計4名が配置され、プロジェクト活動の円滑な推進に寄与している。
また、日本側は、当該計画に関係する中国人12名を日本における技術研修のために受け入れた。日本で研修を受けたカウンターパートは、その後のプロジェクト活動において重要な役割を果たしている。今後とも、中国側は安定的にカウンターパートを配置することが重要である。
日中双方が定期的に会議を開催し、意見交換を実施しているものの、中国側(乳業サイト)から会議をより有効的に活用すべきであるという意見が出された。中国人カウンターパートが事前にテーマを検討したり、活動分野別に進捗状況を確認するなど定例会議の有効な開催方法の検討が必要である
機材については、当該計画開始から調査時までに、プロジェクト活動の効率化を図るための車両、酪農サイトにおけるトラクターや実証展示用機械、乳業サイトにおける乳製品の各種測定器等、概算で総額153,681千円が供与されているほか、長期・短期専門家の派遣に伴い必要となる携行機材として8,287千円相当が供与されている。
機材の到着及び引取り手続きが遅れた機材があり、関連する活動の実施に一部支障をきたしており、通関手続きの円滑化など必要な措置を速やかに講ずることが重要である。特に、供与機材の仕向地は、現在、遼寧省大連市としているが、大連市から哈爾濱市までは遠距離であり、かつ、機材引取手続きに多大な時間と労力を要するなどの問題が生じており、所要の改善が望まれる。また、中国側の機材の取引手続きの迅速化を図るためには、日本での機材購送手続きの進捗情報を中国側に適宜連絡する必要がある。
機材の現地調達に当たっては、日本側として前払いの実施そのものは対応が困難であるが、日中双方が協力し、調達の早期化に必要な方策を検討することとする。
安達市のみならず、黒竜江省政府は、黒竜江省全体の酪農振興を図るという観点から、酪農サイトの活動に係る十分な予算措置を行う必要がある。
技術移転の効果を高めるため、飼料分析、アルファルファ採種、受精卵移植などの分野において、酪農サイトの関連機関である畜牧研究所と活動上の連携をさらに深める必要がある。また、生乳の乳質検査に当たっては、乳業サイトとの連携も重要である。
供与された機材は、活動成果の発現のために十分に活用されるよう、協力期間終了後を含めて適切に維持・管理される必要がある。
2002年4月に実施された当該計画の安達市のみならず、黒竜江省政府は、黒竜江省全体の酪農振興を図るという観点から、酪農サイトの活動に係る十分な予算措置を行う必要がある。
技術移転の効果を高めるため、飼料分析、アルファルファ採種、受精卵移植などの分野において、酪農サイトの関連機関である畜牧研究所と活動上の連携をさらに深める必要がある。また、生乳の乳質検査に当たっては、乳業サイトとの連携も重要である。
供与された機材は、活動成果の発現のために十分に活用されるよう、協力期間終了後を含めて適切に維持・管理される必要がある。
運営指導調査において、国家乳業工程技術研究センターにおける乳業分野の活動については、龍丹乳業科技有限公司と密な連携をとる必要があるものの、当該計画は特定企業の業績向上を目的とするものではなく、乳製品に係る基礎技術の移転を目的とすることが日中双方で確認されている。中国側は、このような乳業分野の活動目的を中国側カウンターパートに対しても周知徹底する必要がある。
また、同センターの中の組織である乳製品技術訓練センターは、中国全国の乳製品製造技術者や学生を対象に研修を実施しており、当該計画の成果を積極的に普及する上で重要な役割を担うことが期待される。
当該計画の円滑な実施を図るため、日本側専門家及び中国側関係者は酪農サイト、乳業サイト双方の施設整備の全体計画を附表Uのとおり策定した。整備費や維持管理費など中国側の負担割合を確認しつつ、当該計画の活動と関連性が高い施設について、日本側の一部負担を検討していく。
政府は、討議議事録に記載された合意に基づき、当該計画の進捗状況を把握・評価するため、JICA及び中国関係当局を通して、2004年第1四半期に中間評価を行う。日中双方の評価チームにより、当該計画の開始時から評価時までの実績と計画達成度を評価5項目(妥当性、有効性、効率性、インパクト、自立発展性)の観点から合同評価を行う。