Last UpDate (09/09/05)
「さぁ、いつでもええよ! かかってきぃ〜」
澄み渡る空の下、山吹色のビキニの娘、アルファは元気よく腕を振った。
「誰が来ても、結果は変わらないがな」
対照的に、憮然とした態度で臨むのは、同じくグレーのビキニの美女、ゼータ。
眩しい日差しが照りつける、夏の砂浜。そこに打ち立てられた一対の鉄柱とそれらを繋ぐ巨大なネット。
それを一定の距離を保って囲んで立つ人々は、ネットを挟んで対峙する二組の男女を息を呑んで見守っている。
多くの人が肌を多く露出させた、水着姿をしている。
夏の海岸の風物詩、ビーチバレー。
何故海に来ると球技なのか、なぜ海ではなく砂浜で行うのか。その問いに答えられる者はこの場の誰1人としていないだろう。
ただ、今や定番の遊び。それだけで理由として事足りることは間違いない。
対戦相手の二人の男は、海パン+小麦色の肌の典型的な夏スタイルである。
二人の美女のビキニ姿を前に、これ以上記憶に残る事は無いので割愛させていただく。
試合開始の笛が鳴り響くと、アルファがゆっくりと相手コートへと落ちるサーブを打った。
肩まで伸びたセミロングと顔の両サイド流れるように伸びた黒い髪が、腕の動きに合わせてはねるようになびく。
なにより惜しみなく揺れる、たわわな胸が観客の男性陣の視線を釘付けにする。
その例外に洩れず、アルファの胸元に目を奪われていた男は、手頃なところに落ちてきたボールをレシーブし、そのままコートに返してしまった。
「雑念が入りすぎだ。出直してこい」
ネットよりも遙か上方に飛び、大きく身体を反らしたゼータの凛とした声。
相手がその姿を捉える間もなく、砂地にボールがめり込んだ。
しなやかな体躯から放たれた渾身のアタック。あまりの威力に思わずボールとゼータを見比べる男達。
「つまらぬモノを切った」と言うようなそぶりで背を向け、無造作に髪の毛を直す。長い髪に汗が絡み、陽光を反射してキラキラと輝く。 ゼータの美しくも凛々しい姿に黄色い歓声があがった。
「あかんよ、ゼータはん。もっと楽しまな〜」
手をぱたぱたとさせながら、あきれ顔のアルファが話しかける。
「何を言っている。優勝してあのドラゴンスイカを持ち帰る。この重要な任務に手は抜けん」
キリッと生真面目に答えるゼータ。
軽いため息をつき、肩をすくめるアルファだが、彼女も毛頭負けるつもりはない。
「うちはもっと力を抜きって言いたかったんやけど……まぁ、うちはうちで楽しませて貰うわ」
言いながら、再びサーブを打つアルファ。
……試合はその後も一方的な展開を見せたが、男性陣のどよめきと女性陣の黄色い歓声が止むことはなかった。
その後、見事優勝を果たしたアルファ・ゼータチームが持ち帰った件のドラゴンスイカは、毎年恒例のスイカ割り勝負の末、ゼータによって粉砕されたという……。
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