やったあ!
やったやったやったやった――
やったわぁ!!!
今日からついに――
12月!!!
ある程度の年齢になると「とうとう12月が来てしまった!!!」と、月曜日の数十倍恐ろしいモンスターの襲来のように思えてしまう12月ですが、そんなことトゥルーの子供たちには無関係とばかりに喜びの声が!
それも、喜んでるのマリーじゃないですか! いや、真璃も子供らしい反応はごく素直にしてくれる子なんですけれど、これほどまでにハイテンションな姿はわりと珍しいですよね。ええ、この喜びようは夕凪さんとか立夏クラス。それだけクリスマスっていうのが喜ばしいのでしょう。
さて、日ごろからわりとおねだりネタの多いマリーでありますからして、何が嬉しいのかって疑問に思うまでもありませんね。というか、マリーに限りませんけれど、「ムシュー・サンタクロースのやって来る月よっ♪」と表現できるのはやはり彼女ならでは。それどころか――
もう、マリーの
可憐な小さな胸は、
夢と期待と欲望で――
ミダラにバクハツ♥
してしまいそうよっ
バフンッ!
きゃ―――っ♥♥♥♥♥
しあわせっ!
………………「ミダラ」という単語に全力で反応しよう、と心も体も認識した直後、とんでもない擬音がトゥルー俺の心をザ・ワールドばりに静止させてくれたのですが……お、落ち着け俺、落ち着くんだ。
いや、マリーのイメージとしては、サンタ絡みであることからきっと、白い布みたいなものが空気圧で破裂した様子を絡めてこんな擬音をひり出したのかもですが……って、「ひり出した」とか俺まで引っ張られてしまっております。
とにかく、この擬音のみならず、ハートマークを5個も並べて使っていたりするあたりで、このサンタが待ち遠しい興奮の大きさが伝わってきます。この家の子たちにとって、「ミダラ」とかそういう軽く性的なイメージを匂わせる表現は、心からの興奮を表現するのによく用いられますよね。そういう血統であり、そういう家風でもあり。
さて、そんなマリーがそこまで興奮しているということは、どんなプレゼントを要求されるのか、いかにお金持ちなトゥルー家とはいえさすがに戦々恐々としてしまいますが……そんなこちらの心理を先読みして「なんてことは――言わないから安心して♥ウフフッ――」などと言ってくれるのはさすがの器。ああ、あんな無邪気にクリスマスを喜んでいると思ったら、こっちの心理を弄んでくるその手腕……たとえ興奮していても、マリーの器はいささかも揺るぎませんね。
とりあえず、ここは俺の愛で、などという対応は「もう持ってるから」とこれまた先手を打たれてしまいましたが、そんなマリーが今年欲しいものはというと、
ゴージャスな
シャンデリアの輝く――
宮殿!!!!
――ここに来て発揮されたアントワネッティズム――と絶句したところに、「お人形のマルティーヌちゃんに
ぴったりの――」と、一応安心できる言葉が続いてほっと一息。いや、このお人形用の宮殿が、これまた法外なものである可能性も否定はしきれませんが! もっとも、こういうところはわりと常識的というか躾の面から厳しそうなトゥルー家ですからして、やっぱ普通のお人形セットに用いる市販のアイテムなんでしょうね。賢いマリーもそのあたりはきちんと弁えているでしょうし。
さあ――これから
12月25日までは
いいこにしてなくちゃね♪
小さな子供であれば誰もが思うであろうこのセリフも、マリーが言うと、なんだかある種の格が感じられるのがすごいと思います。改めて。
12月に入ると――
気になるもの。
それは――
麗という時点で、12月に限らず気になるものといえば一つだと即認識できるぐらいにはこの家にも慣れ親しんだ我々トゥルー俺ですが、それでもなお麗のこの恋する乙女モードにはドキドキさせられてしまいます。……ええ、もうこの序文の時点で、そういう展開になるだろうという予感というか確信が。
そんな期待通り、12月と聞いて女の子が真っ先に思い描くものを次々と挙げては否定していきますが……ううむ、こんだけぱっと思いつくってことは、もしや無意識の内にそういうの気にしてるのでは? ……などと言ったら烈火のごとく起こりそうなので沈黙が吉。
冬休みよりも、
お年玉よりも、
年賀状よりも――
ずっとずっと
気になって――
ソワソワしちゃうもの。
それはもちろん――
特別ダイヤ。
年末年始だけの――
特別に組まれる鉄道の
臨時ダイヤの事よ。
……ということで、いつもの麗の鉄道好き話題のことでありました。別に年末だからって、車両そのものが特別になるわけではないのでは……と思ったらそうでもないのか。しかしそれよりも麗としては、
だって、何と言っても
大晦日の臨時ダイヤは――
乗り入れ車両の連絡具合とか、
各社の腕の見せ所でしょ?
というところもツボなご様子。ううむ、このこだわりはちょっと分かりますね。鉄道そのものが好きな人ならば、こういうところにも注目すべきだし、その凄さを知っておくべしというオタ的こだわり、理解できます。
もちろん、臨時ということで、普段見かけない車両が引っ張り出されることにも大いに期待しているようです。
ああ――
もし私が小学生じゃなかったら。
大晦日の夜は――
一晩中駅に立って――
行きかう列車を見届けるのにな。
……なんて言われて、なんとかしてあげたいと思わないトゥルー俺は存在しないわけでして。麗のこういう発言って、意識上では全くそのつもりがないんでしょうけれど、無意識というか半ば本能のレベルで、頼れるお兄ちゃんに何とかして欲しい――って意識がにじみ出ていますよね。そしてだからこそ、トゥルー俺もその気になってしまうという。
そんなことができたらと想像する麗は、その様子を夢心地に語ってくれていますが――
行きかう列車を見届けるのにな。
たとえ好きな車両が来なくてもいいの。
ただ、真っ暗な夜空の中――
万に一つ。
もしかしたら今夜、最後の出番を
迎えるかもしれない車両が――
姿を現す可能性を待つ瞬間。
臨時ダイヤ大好き♥
その趣味そのものは自分の喜びとして理解できなくとも。可愛い可愛い麗が、これほどまでに乙女チックに語ってくれたら、そりゃあもう自分にとっても最高の時間だと認識されますとも。ええ、麗がそういうのであれば、こういう過ごし方こそ最高の年越しです。
今朝はものすごい
風と雨で――
まるで季節外れの
台風のようだったな。
ここのところの激しい天気に思わずヒカルも日記の話題にするほどですが、トゥルー家においてはもっとすごい嵐のような騒がしさとか春風さんとかがいるので、毎日がある意味台風みたいなものかな、と言えないわけでもないとふと思ってしまったり。
しかしながら、海晴姉さんが大変だというのには全力で同意ではありますが、ともあれそんな天気だったことで、こちらの身を気遣ってくれるヒカル。同じ学校に通ってるのですから、ヒカルが大丈夫ならトゥルー俺も別にとは思うのですが――ええ、服が雨に濡れることの被害に関しては、男女で同じと言うわけではないでしょうね。
どうやら家を出るのが遅い小さい子たちは大丈夫ながら、中高生組以上はそうでもなかったようで――
今も――
家の乾燥室に制服が
ビッシリ並んでる。
……湧き上がるくんかくんか欲求を押さえきれるかどうか際どいところな素敵シチュエーションが大到来中だったりも。
とはいえ、この雨も次の日以降には続く事はなさそうで、むしろこの舞い散った木の葉をどうするかが問題であり――
あれだけたくさんの
落ち葉があれば――
きっとたっぷり全員分の――
焼き芋が焼けるだろう。
すなわち落ち葉集め→焼き芋という黄金フラグがヒカルの脳内に到来。……立夏ばかりが取りざたされますが、基本的に女の子はみんな、食べるの大好きですからね。「赤と黄色の
枯れ葉のじゅうたん
みたいに」ってところで、センチメンタルヒカルの出番かなとも思ったのですが、食欲がまさるヒカルもそれはそれで。……いや、今回の場合は、自身の食欲よりもむしろ小さい子たちを喜ばせたいって思いのほうが強いですかね。
きっとチビたちがはしゃいで
遊びまくるからな――
そっちの担当はませたぞ?
私は――イモ担当だ。
フフ――♥
……そうでもなかったかもしれません。思わず焼肉シグルイの「お前は焼け、俺は食う」みたいなノリを思い出してしまいましたが、しかしまあヒカルの事ですから、きっとイモもきちんと残してはくれることでしょう。
にじこは
おすなあそび、
だーいすき!
虹子が言うと「すなあそび」という単語にもなにか深いものを感じてしまうトゥルー俺はそろそろアレなので自重しますが、この肌寒い季節にも気にせずお外での遊びを堪能する姿をみると、さすがに子供は風の子だなあとごくごく普通に子供として虹子の事を見られるなと感慨深く思ったり。
とはいえやはり砂場は子供にとっての最高の遊び場っていうのは、いつの時代も変わりありませんね。城や山を作るのは男の子的な楽しみ方ならば、おままごと的な行為に興じるのは女の子的な遊び方ということで、虹子もそれに興じておられます。
ウフフフフッ――
すごいでしょう?
にじこはかわいい
コックさん――ね♥
すてき!
このリアクションで、ああ、やはり子供らしいといっても虹子は虹子だなあ、と逆の感慨が。なんて独特の色香を漂わす子なんだろう……と何度思わされたことか。
さて、そんな大好きな砂遊びについても、少々問題があるようで――
それは――
おすながあんまり
さらさらで――
どこにでもはいって
いっちゃうところ!
にじこのおようふくの
あいだや――
おもちゃのすきまや、
ぽけっとのなかに――
しらないうちに、
どんどんどんどん
おすながはいってきちゃうの。
……また俺たちを試すようなイベントを……。にじこの「すきま」や「なか」に、「どんどんはいってきちゃう」……これらの単語を前に、俺たちは平静を保つ事ができるかと言うともちろん否であり。おすな以上にそういう俺たちがこまったちゃんですが反省のし様すらありません。
にじこがころぶと――
パンツのなかまで、
すなだらけ!
うわーん、はやく
おふろにはいらなきゃ――!!
……まして「パンツ」とか――! あと、このことから、虹子と砂遊びすると、高い確率でその後いっしょにお風呂に入れるという法則を発見してしまったような気はしますがくれぐれも悪用厳禁の方向で。
ぅんぎゃっ!ぅ――んぎゃっ!
んぎゃんぎゃんぎゃんぎゃ――
うぅ――んぎゃっ!!!!!
ばっぼー、あばばばばっぼ?
あぴゅるっぷー、ぷぺっぽ!?
あば――?
ば♥
あさひさんの身に何か異変が!? ……起きてるような気がする今日のこのご様子、なにやらただ事ではなさそうなんですが……最後がハートマークで締められてることから、緊急的にどうにかすべきような事態ではないよう……な?
とにかく翻訳させていただきますと――
なんかかゆい!
かゆいかゆいかゆいかゆい――
せなかがかゆい!
なんでだ? カサカサ肌か?
と思ったら――ややや、なんか生えてきてるぞ!?
これは空飛ぶ羽か?
あーたん、天使だったのだ♥
……なんか、予想を遥かに超える事態になっておられて、言葉を失っております。
いや、天使て! なに、羽がはえてるとかどういうことなの!? ……そりゃああさひさんは間違いなく天使でありそのうえここんちの苗字は「天使」そのものでもあるわけですが、それにしてもこれは……え、マジでなんかエンジェルというかミュータント的変異があさひさんに!?
とりあえず、赤ん坊視点での認識なので、何かをそう思い込んでいるというのが一番ありそうなことなんですが、しかしそこはそれ、トゥルーの血統であるあさひさんは、「カサカサ肌か?」と思えるほどに認識力は発達したお方(これはあくまで思考の意訳であることを考慮してもなお)であり、勘違いだとしても、そこまで本当に乳児的なレベルの間違いをするかというと……うむむ、いやそれでも、ガチで赤ちゃんであることも間違いないので、なんとも判断しがたいです。
そもそも、ひどくかゆがっているというリアクションが、「羽が生えてきてしまう」的な兆候としていやに生々しいんですよね。赤ちゃんの肌が敏感なのは常識でしょうけれど、これは……ううん、本当に判断がつかない。
案外ホタの新しい服で羽がついていたとかそういうオチなのかも知れませんけれど……まあ、とりあえず最後の一行にだけ最大限に同意しておくという方向で。
12月に入って――
もう1週間がたちました。
みんなはもちろん、
クリスマスのことで
とっても盛り上がっています。
おいおいもうクリスマスとか来ちゃうんですか、とリアル世界の大人目線では思わずそう唸っちゃうんですが、トゥルー家にとっては相変わらず一年で一番の日という幸せな空間が続いていて、リアルの俺も癒されようというものですよ。
そういえば、初めてトゥルー家族と出会ったのもこのクリスマスでしたからね。2007年12月24日……4年目ですよ、4年目。リアルに経年していれば、あさひさんなんてもう幼稚園入り(さくらがすでに園児なので)、ヒカルもトゥルー俺ももう高校を卒業してしまっているぐらいの時間が経ってしまった訳で。思わず眩暈が……。
……などと思いつつも、リアルを思い返さなくても良いのがトゥルー世界のいいところなのでこのへんで。トゥルー家の中は、これまたいつものように、飾りつけなどで大盛り上がりのようですね。
これなら――
サンタさんが、
遠くからでも一目で
子供がいる家だって
わかるねって――
みんな大喜びでした。
さすがにサンタさんも、こんな19人も子供がいる家のことはもう素で覚えているような気がします。たとえ全世界1人で回ってたとしても。
さて、そんな中で小雨たちは、ホタや春風さんから、クリスマス用のお菓子作りレクチャーを受けることになったようで。おお……なんと華やかな女の子空間。クッキーの家も作りますってあたり、相当気合が入っているのが分かりますよね。
前から思ってたことですが、小雨ってこうやってホタ・春風さんの手腕を一つ一つ確実に学んでいって、あと数年後には、二人に並ぶお料理担当になりそうですよね。小学六年生という、一番将来性が具体的に楽しみな時期の彼女ですからして。
そんなこんなでクリスマス前を充実した過ごし方で送っている小雨、むしろクリスマス本番よりも、こんな毎日のほうが楽しいかな――と。ああ、その気持ちは、なんとなく分かるなって気がするわけですが――
だから――
みんなには内緒だけれど、
あんまり早くクリスマスが
来なければいいのにって――
ちょっとだけ思っている
イケナイ子なんでです――エヘヘ♥
小雨は自分のことを「イケナイ子」って表現すること多いなあ。これ、わりと本気で言ってる事もありますけれど、今日みたいなのはあくまで照れというかなんというか。……そしてそれ以上に、その言葉を使われるとトゥルー俺が性的にちょっと興奮してしまうってことを、無意識の内に理解してしまっているがゆえの言葉なのではないかと、ちょっぴり恐ろしい気にもなったり。
だって――
もっとすっと――
ずっと長く。
いつまでもこうして
お兄ちゃんと――
クリスマス気分を
楽しんでいたいから――♥♥♥
うーん……。小学六年生。このロマンチックな女の子オーラ全開のうっとり感は……純粋に兄を慕ってくれているのでしょうけれど、そのすぐ下に、確かに「女の子」的なモノを感じてしまいますよね。本当、「子供」から「女の子」に羽化する寸前の年齢ですから。怖いやら楽しみなのやら、本当、細やかな言動に注目せざるを得ない子です。
毎年――
この季節になると。
お買い物に行くたびに、
ドキドキしちゃうのは――
トゥルー俺が春風さんの日記を確認するたびにドキドキしちゃうのは――とまあ、これはなぜかと説明するまでもありませんよね。いつ何が飛び出してくるか分からないドキドキの春風さん爆弾、今日も期待できそうですが……さて、買い物ドキドキの原因はというと、
い・ち・ご・の・誘惑!!
――きゅんっ♥
春風さんと「いちご」、そして「誘惑」という言葉の組合せ……もうこの時点でなんというか、「春風さんのいちごで誘惑ペロペロペロ」的な妄想が即座に脳が満たされてしまうわけで。
ああ、きっと今日も春風さんは、いちごを自分になぞらえて、性的にきゅんきゅんしてくれるのだろうなあ……という確信を抱きつつも、まずはそれとは別の、家庭的春風さんの一面が。家族のために山のように買ったいちごの圧巻ぶりや、それをどう料理するかなどを語る春風さんの姿は、本当にいいお姉ちゃんであり、お料理好きの可愛い女の子だなあとほのぼの幸せにしてくれるわけですよ。
「いちごちゃん達」とか「ホイップクリーム」という単語にピンポイントで反応してしまうのは、トゥルー俺の脳の問題なのでこの際おいておきますが……苺の旬とクリスマスのズレには言及しつつも、
でも、こんなにたくさん
いっぺんに街中に
あふれ出すのを見ていると――
いちごの季節到来!
っていう感じがしてきます♥
12月の真っ白な雪景色に――
真っ赤ないちごって
とってもお似合い♥
まさに――
クリスマスケーキですね!
実にさわやかな、クリスマスに対しての感想を率直に聞かせてくれた次第です。
春風も――こんな風に。
たっぷりいちごと
真っ白のクリームで
飾り付けして――
あーんって――
王子様に食べてもらえたら、
とってもとっても幸せ、
なのにな――きゅぅんっ♥♥♥
――と油断していたらやっぱり来ましたよ春風さん攻撃!!!! いやもう、典型的なお召し上がれ的妄想なのですが、あくまで概念的な妄想なのか、それとも具体的に女体ホイップ状態を想像しての発言なのか……後者の予感が激しくしますが、深くは踏み込まない方向で。
もうすぐ、
ようちえんで――
おたのしみ会
があるの♥
お楽しみ会――ああ、リアル俺の記憶のかなたにも確かに存在していたその響き。考えてみれば、幼稚園の中ほどクリスマスに対して全力で挑む空間って他にないかも知れませんね。どんな商業主義にも勝る最強の純粋クリスマス願望。さくらみたいな子にこそ相応しい――
そんなわけで、おたのしみ会では様々なことを行うようですが、「さくら、みーんな
みーんなだ〜い好き♥」と、これ以上ないほど幸せなリアクションが。さくらにとっても俺にとっても。そんだけ力を入れてくれてるってことでしょうね幼稚園でも。一度ここの先生たちのお顔を伺ってみたいなあ、い、いや決して下心ではなく(80%ぐらいしか)。
「あったかいカルピス」という言葉に反応しかけつつも、とにかく幸せと楽しさに満ち満ちたクリスマスの説明に、トゥルー俺も大満足ですよ。
さて、そんな楽しい会の中、おきまりの「良い子にしてるとサンタさんが来てくれる」な説明があったわけで、当然さくらもそれに反応。
さくら、いつも
いい子にしようって
おもうけど――
クリスマスまで、
もっともっといい子になるの!
ただでさえいい子のさくらがますますいい子に! サンタさんこんな天使が会いたがってますよハリーハリー、と思わず兄バカモードに入りそうなところですが、
サンタさんって――
やっぱりおひげが
はえてるのかな?
はやくはやく――
会ってみたいな♥
少しもこわいかお
じゃないと――
いいんだけどな。
……
もしこわいかおだったら――
どうしよう。
――ぐすん。
……外国のリアル系絵本のサンタを見て、さくらが怖がってしまう危険がありそうなので、そのへんは配慮しつつ。
寒い――
寒すぎるわ。
これはいったいなんなの!?
あまりの冷え込みに氷柱おかんむり! 名前が氷柱だからって、寒いのが好きだったり耐性があったりするわけではもちろんなく(吹雪は例外として)、遠慮なく不満が口に出まくっております。
「冷えすぎたっつーの!」だとか、このぶちまけっぷりはなかなかに爽快なぐらいですが――言い放った後で、なぜかユキのことを気にしていたり。
うぅん、なんでもないの。
ただ、ユキが――
ほら、あの子はすごーく
いい子でしつけもいいから。
「つーの!」とか言うと
怒られるのよ。
言葉遣いが悪いって。
小学一年生の妹に怒られる氷柱さん(中学2年生)……。い、いや、これはユキの立派さとモラルの高さ、そして子供らしい潔癖さの表れでありますからして、氷柱がどうのというよりもまずはそっちにニヤニヤすべきかなとは思ったりもするわけですが、
本当に――
えらい子だわ♥
下僕とは大違い!
なんで同じ血筋のはずなのに、
こうも違うのか――
俺より先にニヤニヤしている人がいたでござるの巻。……氷柱さん……なんというか、その……俺妹でギャルゲーやってる桐乃さんみたいな駄目オーラが……。しかもこちらは三次元で、しかも同じトゥルー次元の実妹であるあたり、より業が深いです。
で、その興奮のとばっちりが兄に向かって飛んでくるところまで同じってあたり、妹キャラの宿命みたいなものをも感じてしまった次第。いやまあ、よそはよそ、うちはうちではありますが基本。
下僕へのからかいの一環の中に、「どうして兄が」みたいな、ちょっと危なっかしいところに触れているのにビクビクしつつも、なんか求められていると思ったら――
――は?
なにポカンとしてるのよ?
お願い事よ、お願い事。
バカね、
この季節のいい子のお願い
っていったら――
ミスターサンタクロースへの
お願いに決まってるでしょ?
……なんか、プレゼントを要求してもいいみたいな流れが。……っていうか氷柱さん、俺らサンタさんにお願いする立場っていうかむしろ、俺たちがサンタさんだ的な……いや、彼女はふと気を抜くと「名探偵ホームズごっこ」みたいなことをやらかす子なのでした。こういうことにはノリノリなんですよね。……さ、さすがにサンタさんをまだ信じてるとかそういうのではないにしても。
うわ――さすが下僕。
やっぱりあきれるほどのグズね。
早くしないと――
もう北極には手紙、着かないわよ?
あーあ、かわいそう。
これじゃあ、今年の
下僕のプレゼントは
ナシに決まりだわ!
残念ね♥
そんなこんなで、そんな言葉とは裏腹に――いや、こういう罵倒だからこそ――とにかく嬉しそう楽しそうな氷柱の様子。バレンタインとか欝に過ごすこの子ですから、こういうイベントを、心から楽しんで過ごしてくれるってだけで、トゥルー俺としてはなによりのプレゼントなんですが、それを直に言葉にしたりしたら、どんな罵倒が帰ってくることか――ああ、それもまた幸せ。
サンタはいるヨ☆
いるに決まってるジャーンッ ♪☆
昨日の氷柱の話を受けてか、いきなり断言から始まる立夏日記! ……ええ、立夏がサンタさんを信じているというのは前にも出てきた話でしたよね。さすがにこの子はなんというか、揺らぎないなあと感心したりもしていたのですが、
サンタクロースのお話は
世界中にあるシ――
映画だって、
いーっぱいあるシ――
歌だってタークサンッ☆
その根拠がこれまたいかにも立夏らしいというか。別に立夏は、年不相応に幼い精神構造の子ってわけじゃなくて、「こういう風に思っていたほうが、絶対に人生楽しい!」って、無意識のレベルで確信していて、それゆえにこういう思考回路になっているのだと思うんですよ。ええ、理屈抜きで、見習いたいポジティブオーラ。人生を楽しむ天性が備わった太陽みたいな子です本当に。
そんなわけで、立夏があげているサンタの根拠は、そっくりそのまま、楽しいクリスマスの記憶とイコールみたいな感じですね。語っていて実に楽しそうです。そんな中でも――
それから――
夜中にこっそり
忍び込んできて――
ママにキッスする
ウワキなラテンの
サンタクロースッ☆☆☆
……なにやらアダルティな雰囲気を、成人男性であるリアル俺はこの表現から感じ取ってしまうわけですが、立夏的にはどうなんでしょう。
さて、そんな夢にあふれるサンタ根拠が続く中、なにやら突然、所帯じみた感じのお話も。商店街に現れるリアルサンタ――なんでこんなところにいるかというと、
きっと――セールで
安売りになってる
オモチャを仕入れてるんだヨネ。
……っていう解釈がちょっと面白いなあ。感受性の高さが伺える面白い見方なんですが、
そんなサンタさんを――
去年くらいまでのリカは
オオサワギで捕まえて――
キャッホゥ☆ って
してたんだけど――
なにやら立夏らしくYASEI度の高い対応を行っていたようです。サンタ狩りという単語が脳に浮かびましたが、立夏に駆られるならばむしろ本望であり。
そんな自由すぎる立夏にも、まわりの姉妹がきちんと現実を教えてくれて入るようなのですが――
今年はネ。
リカもだんだんオトナになって――
麗ちゃんにも教えられて、
わかってきたからネ。
ああ――サンタさんも、
いろいろ大変なんだなぁ、
セツヤクだよネって――
わかっちゃったカラ――
もうオジャマはしないんダ☆
……これまた立夏的な解釈が。石をも貫くって感じに揺るぎませんよね本当。いや本当、この子の純粋さと感性は、太陽のような宝物です。
とりあえずこのあたりは、常におこづかい状況がキビしい自身を反映した見方でもあるようで。そんなわけで、クリスマスプレゼントにかかる期待もそれだけ大に。……そしてお決まりの「いい子にしてるからいいものもらえる」理論が。13歳でこれはちょっとギリギリかもしれませんけど、立夏ならば高校生ぐらいになってもむしろこのままで居て欲しいぐらいです。
サンタさんだって、そんないいコの
リカにはやっぱスペッシャルなモノ
あげたくなるよネ?
まさにまさに――って、まだ決まっていないとなると、なんかトゥルー俺にそのお願いが絡んできそうなちょっといい予感も。
ねぇねぇ――
ねぇ!
いつ――
ゆき、ふるの?
本当に小さい子の素朴な疑問には、ときおり大人が悩まされることがあるわけですけれど、この青空の質問もわりとそんな感じの響きを帯びてますね。
そりゃあ海晴姉さんは教育上でも仕事上でもこの質問に答えなければならないわけですが、「ふゆになったら」では青空も納得できませんよね。とはいえ、
どっさり。
わっさり!
もっかり――
ふっかり♪
感性にあふれる青空の表現の豊かさを堪能することができたので、まあそれはそれで。
とにかく青空は、年齢上まだ一度しか味わっていない冬の雪が楽しみで楽しみで仕方ない様子。
……
つまんない。
ゆき、ぜんぜん
こない。
そらのこと――
きらいなのかな?
……なんて切なそうに言われたら、それこそ雪乞いの儀式でもやってやりたくなってしまうわけで。とはいえその後すぐ、雪の味に思いを馳せてキャッキャしているあたりはさすがに青空。
わたあめの味を期待しているようですが、とりあえず雪は食べちゃダメだよと教えておかないとなあ……って思っていたところ、なんかリアルタイムに「ゆき」が来た!? ええ、現在進行形がアリなのはトゥルー日記の醍醐味ですが……
――あ。
ゆき、きた!
おうちのゆき!!
おうちのゆきは――
だっこでほかほかだから――
おひざにすわって、
おはなしよんでも〜らお♪
しし♥
ゆきはゆきでも、おうちの「ユキ」でした。……ううむ、ユキ、ちゃんとお姉さんしているんだなあ。もう少し上の世代だったら、病弱であることを考慮してもなお、お姉さん度の高さのトップクラス陣に位置していたことは間違いないでしょうね。
だっこされると「ほかほか」……暖かい服装をしていることも、その髪型も、そしてなによりその性格。本当に「ほかほか」してそうです。……俺もユキより年下になって、ひたすらユキに優しくしてもらいたいなあという願望が拭えません。
とはいえ、だっこされるだけでなく、抱っこしてあげてもほかほかなのは変わりなさそうなので、そこはトゥルー俺の特権として享受させていただきたく。
もう今日で――
12月も後半!
もうすぐ――
冬休みですね♥
冬休み――リアル成人の身であっても、心ときめく言葉であります! ましてや現役小学生の星花にとっては、これでもかってぐらい待ち遠しいものですよね。
まして今年はクリスマスとのタイミングもバッチリなようで、星花も思わず「うふふっ♥」と可愛い笑みを。いや、いつも可愛いですけれど、こういう笑い方はちょっとレアでいいなあ、と。
さて、そんな冬休みと同時に訪れる、待ち遠しいクリスマスに向け、トゥルー家族は靴下準備にとりかかったとのこと。すわ、ソックスハンター的に天国到来!? ……かと思いきゃ、例のクリスマス専用にはけない靴下でしたか。いやまあ、プレゼントを入れる用なので、通常靴下だと無茶なことにもなってしまいそうですしね。
もっとも、あさひや青空といった、天然ハンターたちは、そんな専用靴下もお気に入りのようですが――そこでふと、星花に素朴な疑問が。
それは、20揃いもある靴下を、サンタは入れ間違えたりしないのか――という、至極もっともな心配。
ふと。
星花は思ったのですけど――
あの。
あのね。
個人的にはその質問よりも、この訪ね方の素朴な可愛らしさに注目してしまったわけですが。「サンタさんのこと信用してないわけじゃ」って慌ててフォローするあたり、この子の純朴さと善良さが滲み出てきてますよね。
もちろんこの疑問そのものは至極もっともなのですが――どうやらその根幹には、大変ニヤニヤしてしまう感じの思いがあったようです。
もしも――
もしも、サンタさんが、
星花のプレゼントと――
海晴お姉ちゃんか誰かのを
間違えて――
星花の靴下の中に――
口紅が入っていたりしたら――
なんて――
……
あ、あは――
あはははははは♥
そ、そんなわけ、
ないですよね
うん――あるはずがないです!
星花にはまだ、口紅なんて
全然早いし――
きっと全然似合わないですもん!!
えへへ♥
……いや、もう。もしかしたら、今年一番ニヤニヤしてしまった姉妹の発言かも知れません。あああああああああもうこの星花ってば、どんだけ素朴に小学生の女の子してくれちゃってるんですかほんとにもう!
もう、このセリフそのものが、星花の可愛さのすべてを物語ってくれちゃってるぐらいなので、あえて説明とかするのも無粋なぐらいですが。この、ちゃんと小学4年生の自分をわきまえつつ、それでも憧れや背伸びを隠しきれないところとかホントにもう! この発言、うっかり海晴姉さん本人あたりが聞いたら、それこそ星花ちゃん祭りみたいに盛り上がっちゃうんじゃないでしょうか。
……とまあ、そんなこちらの盛り上がりから照れ隠しでもするかのように――
星花の今年のプレゼントの
リクエストは――
我が心のご主君様のための
編み物をするための――
毛糸です☆
今、4年生の女子では
編み物が流行っているんですよ♥
えへへへ――♥♥
正攻法の女の子らしさで攻めてまいりました。……本当、星花の「えへへ」は最強すぎて困る。このまだ「女の子」になり始めたばかりのピュアな子に、だんだん「芽生え始めている」って感じさせる数々の要素が、トゥルー俺にとっては最高のプレゼントであり危険な刺激物であります。
もちろん――
決まっているぞ。
オマエに問われるまでもない。
こう見えて、
昔から――
要領が良いと
言われるタイプなのだ。
フフ――♥
最近とみにネタ方向での魅力が特化してきた感のある霙姉さんがのっけからいきなり自信満々であらせられる! ……これはこの最近の話題と時期を考慮するに、アレ関係のお話かなと即座に思いましたら、
私の――
今年の。
サンタクロースへの
願い事は――
おやつ券の――
5枚つづりだ。
――方向性は予想通りだったけれど、その内容があまりにも期待以上でありました。
お、おやつ券……! なんかこう、新鮮な響きすらあるこの単語、まさかプレゼントに用いられる日がくるとは……さすが霙姉さんとしかいいようがありませんよ! しかも5枚つづりとか細かい設定まで。この人はどんだけおやつキャラを強める気なんですかほんとにもう。
まあ、どういうものかといえば、読んで字の如しのアイテムのようで。まあ、言葉の響きこそアレですが、「親へのプレゼントに肩たたき券」とは一線を隠した概念ではあります。なにより、こんなプレゼントを求められたら、作る側の春風さんとホタはすごく喜んでくれそうですからね。もしかしたら、さりげに器の大きい霙姉さんですから、もしかするとそれが目当てでこんなプレゼントを求めたという考えも……?
しかもそれが――
もしチビ達の――
プリンやら
ホットケーキやら
シュークリームやらの――
卵とバターなリクエストと
競合したとしても――
絶対的な優先権を持つ券――。
その上なんと5枚つづり!
ああ。
夢のようだな――。
いやゴメンなさいほぼ100%素でした。あろうことか、小さい子たちのリクエストとの競合にも勝てるという点すら強調してしまえるこのテンション、間違いなく素直な欲求そのものです。これはこれである意味大物と思えるぐらいに直球。……本当、霙姉さんのキャラは色々な意味で深すぎる。5枚つづりという点も、二度も繰り返すぐらい大事な事なのです霙姉さんにとって。……嗚呼。
まあとりあえず、卵やバターなお菓子は、餡子に比べるとさほど好きではないという嗜好まで丸分かりであり、霙姉さんの生き様――すなわち、わりと素直な快楽追求ぶりが見て取れます。思わず宇宙すら表現の引き合いに出しているあたり、この人の終末っぷりもなんかもう、アレです。「霙姉さんだから」の一言で済ますほかは無いぐらいのところまで。
「クリスマスの願いたるもの、このくらいの突拍子のなさがなくては――」と、一応こんな欲望ストレートすぎるお願いのフォローも行ってはいますが……いやまあ、物事の興というものは確かに大事にする人ですからね。そういう狙いもありといえばありなのでしょう。……できれば春風さんとホタを喜ばせてあげたいと言う姉心も含まれていますように。無意識でいいから。
それでもサンタクロースの存在に対する回答としては、大人らしいカッコいい考え方をお持ちで、さすがに次女の風格を感じさせる霙姉さん。この人はもう、どんだけネタに走っても、その奥底で決してキャラが揺るがないぐらいに大きい器がありますからね。……つまりこの先もっとこの傾向は加速するということに。嗚呼。
さあ、オマエも――
願いを書いたらどうだ?
きっとかわいいサンタが
叶えてくれるぞ?
フフフ♥
……その通りなのですが、霙姉さん年齢的にいって、自分もそのサンタの中に含まれるわけで。自分を含めての表現のつもりなのか、それとも元々100%受け取る&消費する側のつもりなのか。ハッキリとはわからないところが霙姉さんという人のツボです。
あのね、あのね、
お兄ちゃん――
あのね。
冬休みは――
全然。
学校の宿題が
ないんですって!
ユキ、びっくりです。
ユキもっと俺に「あのねあのね」って言って! ……すいません唐突に見苦しいところを。いや、ユキに上目遣いで嬉しそうに「あのね」って迫られるのは、生きてて得られる幸福感の中でもトップクラスだと思うんですよ。
とまあそれはさておき、クリスマスもさることながら、今日の話題は冬休み絡み。宿題がないことにユキは「びっくりです」のようですが、ああもう、ありとあらゆるリアクションが可愛らしいのう。
冬休みなど遠い昔となってしまったリアル俺としては、あれそうだったっけ、ぐらいのイメージになってしまっているわけですが、
でも――きっと、
冬休みは短いし、
クリスマスやお正月や
楽しい行事がたくさんあって――
大人も子供も大忙し!
だから――
宿題がないんですね。
これまたユキらしい、可愛らしくもかしこい答えが。本当、この世の「いい子」って概念を突き詰めたらきっとユキみたいな子が出来上がりますよ。
そして続く言葉で、さらにいい子ブーストが加速するユキ。「ウフフッ♥」と微笑みつつ、漢字練習について意欲を燃やすユキ……もしかしたら将来は、今の氷柱ぐらい勉強ができる子になっちゃうかも知れませんね。
なによりその動機がこれ以上ないというぐらいにピュアで心を打つ感じであり――ええ、本を読む事は、病室でもできた数少ないことのひとつでしたでしょうから。
だからユキは、その「字を他の子より覚えてる」ってことを、もっと自慢してもいいしすべきだとさえ思うんですが――
最近ね、言われるんです。
エヘヘッ♥
これ、ゼッタイに自慢じゃないんですよ?
自慢なんかじゃないんだけど、でも――
「ユキちゃんって漢字をいっぱい知ってて
おんどくがとっても上手ね!」
って――
クラスの女の子から。
……見てくれている子がちゃんと見て評価してくれていること。そして、「ゼッタイに自慢じゃないんですよ?」って謙遜しつつ、それでもうれしさと誇らしさがこぼれてきそうなぐらいのユキ。……ああ、この子の周りに幸せがたくさん。こんな光景、幸せすぎます。
なによりユキ自身で、「病院にいたことで役に立ったことも――」と思えたことが、本当になによりですよ。もう人より十分すぎるほどに辛い思いを経験してきた、誰よりも無垢なユキですが、これからはこういう部分で、いい意味でのしたたかさもどんどん身につけていってもらいたいですね。
でもたった1つ、
残念なことは――
お兄ちゃんの「兄」の字は
まだ1年生では習わない、
2年生の漢字だっていうこと。
簡単な漢字だし、ユキ
もう全然読んだり書いたり
できるのにな――
……こうして俺を喜ばせてくれることに関しては、もう姉妹の誰にだって負けませんけれど! もちろん、なんの狙いもなくただただ慕う心をそのものをぶつけてくれているだけですが!
なんだか――
眠くて仕方がない。
昨日から――
眠くて眠くて。
春眠暁を……って真冬ですがな! なにやら強烈な眠気を訴えてくるヒカルさん。もしかして最近寝不足とかだったりするのだろうかと思ったのですが……どうもそういうことではなさそうな様子。
ヒカルは体質的には完全に体育会系ですから、授業中に眠くなるというのはいかにもだって思うんですが、どうもそういうレベルのことですらなさそう。
どうもヒカルには、月に一回ぐらいこういう日がある様子。……これだと、日頃たまってる疲れを取るために、体が自然と睡眠を欲求しているっていうのもありそうな感じですね。日常的に、あちこちの運動部に引っ張りだこな生活でしょうから。
とはいえ……なにからこの月に一度という周期に、なにやら生々しい何かを感じてしまうトゥルー俺は、やや汚れ気味の思考をしているでしょうか。いや、ヘンな想像を抜きにしても、なんだか本能とか生理的なレベルのことのような雰囲気が。
一般人なら、この季節は誰もがふとんから出るのが億劫なわけですけれど、ヒカルがそう感じるというのは――やはり特殊な状況だなあと。
ああ――
眠い。
まぶたが落ちそうだ。
なんだか身体も重いし。
もうすぐ冬眠するのかもしれない。
オマエは――
そんなことないか?
あろうことか、冬眠とかまで言い出しましたよ! ああ、なんか本能。トゥルーのYASEIがそんな言葉を言わせるのか。ヒカルの性格的に、単に寒くてダルいなんてことはありえないでしょうから、間違いなく体質……というか本能レベルの欲求なんですよねこれ。とすると、確かに冬眠って言葉も似つかわしくはありますが……
もしオマエも――
眠い時期だったら。
一緒に――
クマみたいに
丸くなって
眠ってしまえばいいと――
思ったんだけどな。
………………。
……さ、誘われてるだなんて、思ってませんからね!(すごい逡巡を経た後で)
とはいえ、ヒカル的に、ふたりいっしょにクマみたいに冬眠するっていうのは、わりと望ましいシチュであるということは間違いなさそうであり、その事実だけでトゥルー俺はどきどきしてしまって冬眠どころではなくなりそうであります。
わーい、明日は
お休みだぁ〜っ♪
今――
夕凪はめっちゃ、
浮かれてます♥
えへへ♪
夕凪さんの浮かれっぷりにメロメロ! いや、いきなりのえへへ♪は破壊力高いですよ夕凪さん。確かにクリスマスイブが金曜日で、さらにその前日が祝日とあっては、浮かれ気分にもブーストがかかろうと言うものですけれど。
なんかもう――
すっごい!!
時間のたつのが
遅くって――。
この喜びはしゃぎつつ語る言葉に、自分の身を省みても、そういう実感確かにあったなあ……と思いつつ、今と比べてちょっぴりセンチになってしまいそうでもあり。ええ、大人になるといつだって時間が経つのが早くなってしまいますから。
とはいえ、実感できるといえば間違いなく実感できるので、ましてや夕凪さんのことだから、どれほどもどかしい気分になっているのだろう――と思いを馳せる次第なのですよ。
時計の針は、もう壊れて
止まってるんじゃないのかなって
思うくらい――全然動かなくて。
じーって見てる夕凪の方が――
先生に怒られちゃった!
てへへ♪
最初の数行を読んだ時点で頭の中に思い浮かんだ光景がものの見事に。先生もきっとこの子は落ち着きが無いけれど可愛いなあって目をつけているに違いありません。軽く叱ってあげたらめげることなく「てへへ♪」って返してくれそうで、それがなんか良くってついついさらに目をつけてしまうとかそんな。
さて、夕凪さんは恋のマホウ専門という設定があるので、この件に関してはマホウでの介入は不可能とのこと。その分明日はどーんと過ぎてしまうだろうって、ちゃんとワカっているあたりにドキリと。
やったね♪
本当に待ち遠しいクリスマス。
早く夕凪のところにサンタさんが
来てくれますように!
そして――
世界中の人が幸せなクリスマスを
迎えられますように♥
せ、世界の人々の幸せを願っておられる……! さすがは夕凪さんスケールでかいなあ。いや、夕凪さんって、「マホウ使いは人の幸せのためにいる」って思いが、もう無意識のレベルであるんでしょうね。単なる子供の夢想というだけでなく、それが夕凪さんのものの考え方をポジティブかつ立派な方向に導いてもくれているわけですよ。その事実を知ることが出来ただけでも、なんだか幸せなクリスマスになりそうです。
有性生殖をする
恒温動物である、
人類が――
単性で繁殖をする
ことはありません。
……なんというか、リアル方面で、あまりにも大きな衝撃を受けてしまい、さすがに動揺しています。動揺しています……が、少なくともあと半年はこのトゥルー家族との日々が続くということは、ある意味においては安心できたという気もしますね。本当なら、あるとき突然終わりを告げられてもおかしくない、存在していることが奇跡のような日記なわけですから。
というわけで、その日が訪れるまでは、今までどおり家族の日記を読んでいこうと思うわけですが……こういうタイミングに、なにやら考えさせられる日記なわけですよ。たとえ日記があろうとなかろうと、トゥルー家族との絆は(俺たちがそれを心に望んでいる限り)永遠なわけですけれど、やはり節目とかそういうものはあるわけでして。
吹雪らしく、生物学的な見地からの説明を経て――
私達のような、
19人姉妹――
いえ。
20人きょうだい、
というのは――
非常に珍しい――
奇跡のような存在であると
言えるでしょう。
……こういうことを、言われてしまうと。ええ、本当、奇跡の中の奇跡ですよと心から。吹雪が言っているように、クリスマス本来の奇跡以上のことであると、トゥルー家族の一員であるならば断言できるでしょう。
私が――
この世に生まれてある奇跡。
そして今、キミと共にある奇跡。
私達家族が――
今日ここにともに
幸せである奇跡。
これからも――
私達家族がある限り、
奇跡の日々は
ずっとずっと続いていくと
いうことなのでしょう。
……この言葉を、半年後に備えて、そしてその後にも、ずっと心に刻み込んでおこうと。そう、思いました。
こんな日には、様々な感情が沸き起こって、それが溢れそうにもなってしまいますが、
真の不思議は――
私達が身体のウチに抱えている、
この名状しがたい温かな感情――
なのではないでしょうか?
人はよくそれを“愛”と
呼ぶようですが――
本当にその言葉が正しいのか
私にはわかりません。
……何事も、ロジカルかつ客観的にとらえる吹雪という子。しかしながら、それゆえにか――この子が一番、トゥルー家族の中に溢れている、「愛」であるとか、「家族の絆」、「こうしていることの奇跡」といったことについて、深く感じ入ることができるのではないでしょうか。
ただ――
今感じていることは。
皆が幸せそうに笑う聖夜を迎えて、
また一つ――大きな奇跡が
我が家に起きていると言うことです。
今夜もこの奇跡の中で、
キミが幸せでありますように。
ああ――あさひが泣いています。
もう行かなくては――
――まだ行かないで――
……そう呼び止めなくても、吹雪もあさひも、トゥルー家族も、どこへも行ったりはしない。たとえ半年後、日記が終わってからでも。そういう思いを、心に刻み付ける日々が、これから始まります。
いよいよ――
寒さも厳しい、
年の暮れじゃのぅ。
……ここのところ、トゥルー界隈で嵐のような報せが届いていたせいで、ついぞ季節感すら失いかけておりましたが、まさにまさに、クリスマスも終わって世はいよいよ年の瀬。
「今年もあとたったの5日でしまいじゃ」という言葉には、嫌でも「あと半年」って事実を重ねてしまいますが――まあ、それをむやみに日々のトゥルー日記に絡めるのはよくないですね。たとえ日記の期限があろうとなかろうと、トゥルーの中においては直接関係のない話といえばその通りなわけですし。
さて、そんな中で観月は、他の姉たち(マリーとかでしょうね)小さい子たちと遊んであげつつ、冬の寒さと、歳の終わりを実感しているという、相変わらずの幼稚園児離れした風情を見せ付けてくれております。
いよいよ――
この冷たく澄んだ
空の下を。
新たな歳神様が
渡り来たるのじゃな、
と、思うと――
この卑しき我が身でさえも
なにやら腹の底から――
引き締まるような
気がしてくるものじゃ。
ふむ。
観月で卑しいというのなら、欲望にまみれたトゥルー俺など放射性廃棄物レベルの穢れという気もするのですが、そこはそれ、新たな歳のまっさらな清らかさを表現するうえでの言葉ってことでしょうね。
観月の説明によると、もうじき終わりを迎える今年の歳神はもうヨボヨボで、来年やってくるのはまだ赤ん坊、と。……なんだか一年そのものを擬人化する二次元界隈の発想にも通じるものがありますよね。……ってことは、春ぐらいが一番萌えポイントか。草木も萌える季節ですからして、意図せずしてなんだかいい具合の表現になってたりも。
尊き2柱が交代する日という
大晦日の夜には――
ぜひとも、その
「ターッチ♥」の
瞬間を見たいものじゃ♪
ふふふふふ♥
……神秘的で老成したものの見方ばかりではなく、このような歳相応の発想がしばしばまぎれているのが観月という子の魅力であります。なんか可愛らしい発想だなあ。……つきつめて考えると、前の年の歳神さまは、このタッチ後に……というところに行き着いてしまうわけですが、まあそれはそれとして。
昔は――
誕生日を祝う週間などなく、
正月を迎えると、
みなが一斉に年を重ねたと申すが、
これより迎える――
手つかずの新しき真白い1年は、
我らに等しく与えられる
新しき命のようなものじゃ。
来年も――
兄じゃとみなの真白き1年が
幸せに彩られんことを、
我れここに祈念して、
恐み恐みもうす――
……新年を迎える際には、ごくありふれた心構え。しかし、今のリアル俺たちには……
ともあれ、残りがどうということを抜きにしても、新しいトゥルーの年が、喜びに満ち溢れてます事を祈るばかり。
今日はいよいよ12月の28日。
仕事納めの日です!
おおう、全体の比率の中でもわりと多いであろう社会人リアル俺が反応してしまう単語がホタの口から。トゥルー家のほとんどの子たちはもうとっくに冬休みに突入中なわけですが、
世の中の働く
大人の皆さんは――
ようやく明日から
冬休み。
みんなみんな――
この1年間お疲れ様でした♥
ああ……ホタはあくまで一般論として言ってくれていることなのでしょうけれど、この言葉はもちろんリアル俺たちにも届いているわけでして。まあ実際にはこの日で仕事納めというわけにはいかない人も多いでしょうけれど、そこはそれ、ホタの優しい心を堪能できるだけで、休み数日分の価値はあるってことで。
もちろんトゥルー家においても、すでに海晴姉さんがテレビという最も忙しいところで働いているわけでして、その点にはもちろん触れていますが――
きっと、そのうち。
みんながだんだん
育っていったら――
この家の中は、
もしかしたら、
働くお姉さんで
いっぱいになることに
なるのかなって――
こんな年の暮れには、
ふと思います。
私達の――未来。
これまた――24日の報せを受けた身としては、とても……とても重い響きを持ってしまう言葉が。ええ、今までのトゥルー世界は、初年度を除き、典型的サザエさん時空の流れがまかり通る、停滞した楽園だったわけです。
でも、それはあくまで、絶対というわけではなく。当然、こういう視点やベクトルを、この日記などの「窓口」が持ってしまえば、それにしたがって全ては流れ出してしまうわけでして……今まで、特に気にしないでも良かったこういう発想が、シビアに俺たちにのしかかってきます。
まあ、それに関しても、件の発表を聞いた時点で覚悟してしかるべきことなので、あまり感慨にばかり浸ったりはせず、ホタの言っている通り、姉妹のみんながどんな大人になって働くのだろうかという点を妄想して愉しもうかなと。
……とまあ、妄想する前に、ホタが例をどんどんあげていってくれてるんですが……
霙お姉ちゃんは――
意外と学者なんかになっていそう。
え!? ……あ、い、いや、確かに霙姉さんには、そういうのは似合っているというか……それ以外にはわりとNEET的なイメージがついて回るというか……ともあれ、終末絡みの思索に多くを費やしている霙姉さんですからして、こういう分野で本格的な方面に行くというのは大いにアリなんじゃないかと。
ちなみに霙姉さんは完全なる消費者であり生産性という概念とは程遠いので、餡子関係の職には残念ながら縁がなさそう。まあ、好きなことを仕事にしたらそれはそれで大変なので、それはある意味しあわせってことでもあるんでしょうね。
他の姉妹のみんなには、まさにそのまんまのイメージですぐ想像できるものが多いですが……春風さん=キャビンアテンダントっていうのは、ホタにとっての春風さんのイメージなんでしょうね。いや、春風さんの器量なら余裕で似合いそうだしこなせること間違いなしなんですが、多分春風さん自身はもっとこう春風が吹きすさぶ的な方向にしか考えていないような……いや、春風さんは春風さんで、色々将来については考えているかなって気もしますけどね。
……と、そんなことを考えていたら、自分の将来についてまで考えが及び、ちょっと戸惑ってしまったらしいホタ。まあ、この子であれば、針仕事方面でも飲食関係でも、即戦力で働けるスキルがすでにあると思うんですが、まあ、その能力を総合的に考慮すれば、一番似つかわしい「職業」というのは……と思い、その答えを導き出そうとした瞬間、
蛍の未来は――
未来はきっと――
……
お兄ちゃんのお嫁さん♥
なんちゃって――
エヘヘヘッ♥
……なんというシンクロニシティか、とばかりに。い、いや、「俺の」までは明確にイメージしてはいませんでしたけれど! まあ、他のところの男のお嫁さんになってしまうというイメージはそれこそ絶無というか拒絶していたわけでして、まあそのまさにシンクロ100%だったとも。
今年の栗きんとんは、
少しおさとうを入れ過ぎちゃって
甘めの味付けです♥
でも――とってもおいしくできたから、
お兄ちゃん、いっぱいたくさん
食べてくださいね!
すでに今のやり取りが栗きんとん以上の甘さでありましたが、このホタの甘い魅力を、まだまだのんびりと堪能しつづけていきたいなと願わずにはいられません。
ああ――もう。
どうしてこうなのかしら?
いきなりの、そしてすっかりお馴染みの、のっけから麗がおかんむりな日記がこの年末にも。どんなパターンであっても、麗が嘆いているということは十中八九鉄道趣味関係でのトラブルでありますが――
でも――
こういう年末になると、
なぜかお姉ちゃん達まで
大騒ぎが始まって――
なんだかもう
家中が――
バタバタ、そわそわ。
もぞもぞ、ぎゃあぎゃあ――
うるさくて――
仕方がないわ!
なんだか、単純に静かにしてほしかったというだけのようで。これはこれでちょっと珍しいパターンですが、大家族ならではの悩みって感じで、ちょっと微笑ましいですよね。まあ、トゥルー家には、こうやって真正面から文句を言う子はあまりいないので、結局は麗にその役割が回ってきた、みたいなところがあるのかもです。
ちなみに、うるさいといっても、小さい子たちが原因のうるささについては予め寛容を示しているのが、ちょっと偉いなと。こういう、小さい子にはとても寛容というか、徹底して「お姉さん」してあげるという気風は、ここんちの誰もが徹底していますよね。きっと、自分が小さいときからずっと、上のお姉ちゃん達がそうしてきてくれたからに違いありません。
どうでもいいことではありますが、一緒になって大騒ぎするお姉ちゃん達としては、真っ先に立夏の顔が思い浮かびますが、さりげに氷柱あたりもわりと「下僕!」みたいなノリで騒いで麗のストレスの素になっていそうな気がします。あと、お菓子にもっと餡子をと主張する霙姉さんとか、童心に返ってはしゃぐ事がありそうな海晴姉さんとか。
ともあれ、天使麗は静かに暮らしたい――とばかりに、年末年始の慌しさの元凶を否定する麗ですが……
もちろん――
お年玉がいくらか、だなんて
そんな予想もしない。
だって――
はしたないじゃない?
もらうものをアテにするなんて――
……
……はい。麗の「ほしくない」は、本心からの「欲しい」であるということは、この4年目を過ごすトゥルー俺にとってはすでに手に取るように分かる心理状況でありますね。
などと指摘するまでもなく、さっそく「1回くらいは本物のNゲージを」なんて口に出してる麗は本当、真っ直ぐで素直なイイ子だなあと改めて。まだ5年生ですから、あとほんの少しだけ我慢のしどころでしょうけれど、中学高校と進むにつれ、欲しいものはどんどん手に入ってくるので、むしろ今、そうして欲しいと思っている気持ちをこそ大事にして欲しいなって、大人のリアル俺としては思ったりもしますけれど。
……
ああ――また、
青空があーちゃんを
泣かせてる。
本当にうるさくて
仕方がないんだから、
この家ってば!
これじゃあ、落ち着いて
年末特番の鉄旅スペシャルも
見られないわ――
……などとお年玉についての思いに浸る暇もなく、トゥルー家の騒がしさが麗に押し寄せてきておりました。口ではこう言いつつも、それも結局は、たとえ鉄道番組であろうと、小さい子たちの面倒を見るほうが絶対的に優先されるがゆえの愚痴って感じですよね。
今日のお昼ごはんは――
おぞうに♥
一足先にお正月気分って
いうところかしら?
フライング雑煮! いやまあ、必ずしもお正月になってからでないとって食べ物ではないですけれどね。それに、季節の風情を大事にしつつ、こういう「まあちょっと早いけれど」的な生活感がちゃんとあるのも、トゥルー家族の面白さであり魅力であります。
さて、マリーといえば、趣味嗜好はいかにも貴族的ながら、実際にはむしろこういう生活感あふれる庶民的なものを本当に嬉しそうに嗜むのが魅力的な子なわけで、お雑煮に関してもそれ自体は大いに好みであらせられる模様。
しかしながら……
だからマリーも
とーっても♥
おいしいくて
大好きなんだけど――
まあ――
……
言っちゃえば、
手抜きメニュー、
――よね?
……マリーさん、鋭いところをズバリと。まあ、別にこれは糾弾しているわけではないですし、そもそも普段のホタ&春風さんの、徹底的なまでの食事への手のかけ方から比べれば、って話でもありますよね。っていうか、お雑煮というメニューそのものに対する鋭い視点、っていう意味合いのほうが強いかな。ともあれマリーのこの鋭さは、この子のまとう風格の根源の一つって気がします。賢い子だよなあ本当。
今日はいよいよ、
お正月のお節作りも本番で――
お姉ちゃん達は、
買い物やらお料理やらに
大忙しなんですもの!
マリーはカンダイな王妃だから、
そんな苦労する民草のキモチが――
よくわかっているのよ♥
その一方で、こういうことを主張するあたりは、むしろ歳相応のおませさんって感じであり、こちらはこちらで、マリーの歳相応部分なんですよね。こういうところもちゃんとあるから、本当の意味で大人びた部分がますます際立つわけでして。
とまあ、そういった文句を言うのもあくまでトゥルー俺限定に絞ってそうなあたりは、やはりマリーの格というべきか。ちっちゃい子たちと遊んであげているのは、歳相応のお姉さん部分って感じです。
「これこそ、王妃の役目っていうものよね」ってなりきりな様子を見て、ああ、微笑ましいなあ……なんて感慨に浸ってましたら、
だから――
さあ、すっかり居所のない
今日のフェルゼンも、
マリーが導いてあげるわ。
一緒に遊んであげるから、
こっちにいらっしゃいな♥
どうせ――フェルゼンが
キッチンに行ったって
なんにも手伝えることなんて
ないんでしょ?
みんなでこっちで
トノサマごっこして
あ〜びましょっ♪
――この、不意打ち的に見せてくれる、圧倒的な包み込んでくるオーラ。幼稚園児に「一緒に遊んであげるから、こっちにいらっしゃいな」なんて言われて、そしてそれが気恥ずかしくも素直に嬉しく思えてしまう……こんな芸当ができるのは、トゥルー広しといえどもマリー一人だと断言できます。キッチンでの無力っぷりもしっかり見抜かれているよう!
……そして「トノサマごっこ」という言葉になんとなく淫らな雰囲気を感じ取ってしまう俺は、年を越す前にちょっと心を清浄化すべきでしょうか。いやだって、どうしても帯を手にとって、「おやめになって、おやめになって」みたいなことしか想像できないですよこれ!
ついに――大晦日ね。
2010年も最後の日が来たわ。
今年は――
キミにとってどんな年だったかしら?
……3年目ジャストではありませんが、この大晦日という年の区切りの時期に、こうして海晴姉さんが締めくくるかのように日記に出てきてくれる……ええ、さすがに感じ入ってしまいます。あのクリスマスイブの日から始まったこのトゥルー生活について。
海晴姉さんの言葉の上では、あくまでもこの一年の、ということなんですけれど、今の俺たちにしてみれば、この家族で過ごしてきた今までの全部について振り返りたくなります。何度も年を越えてはいましたが、あたかも今までの日々が一年ちょっとぐらいの日々であったかのような濃密さで――
振り返ってみれば。
大変なこともたくさんあったけれど、
なかなか幸せなこともあったなって――
小さく微笑むことのできた1年、
だったかしら――?
そうとも言えますし、幸せな事ばかりな笑顔の絶えない「一年」だったようにも思えます。
……とか思ってたら海晴姉さん、「キミが我が家にやってきて――こうしてついに3年の日が過ぎました」って明言しちゃってるー!!! いやまあ、0歳の誕生日おめでとう発言がある以上、それの延長上ではあるのですが。
とまあ、そんな具合に、この3年間のことを噛み締めるかのように振り返っていたら……
不思議なものね。
キミが我が家にやってきて――
こうしてついに3年の日が過ぎました。
いろんなことがあって。
楽しいことも、嬉しいことも、
悲しいことも、驚いたことも――
みんなでずっと気持ちを伝え合って。
一緒の時を過ごすうちに――
いつの間にか――もう。
キミのいないこの家なんて
考えられなくなってる私達がいます。
………………海晴姉さん。このタイミングで、今の俺たちに、そんなことを言ってくれたら。その「キミのいない」の反対だって、考えられない俺がいるというのに。
今日の海晴姉さんの言葉は、ひとつひとつが、大切で、心に刻み付けられるかのようで……クリスマスのときに教えられた、「本当なら、今年いっぱいで日記は終わりだった」という言葉を否応なく思い出させてくれます。本当、これで「日記」の形としてのものは、終わりだったんだろうなあ……って思わせる、そんな言葉です。どれも。一つとして読み逃せることのできない、大切な言葉。
なによりも――
もし、この先――
それぞれが大人になって。
どんな時を刻んでゆくとしても――
私達は家族。
もし、私達が成長して、
離れて暮らす日が来たとしても――
いつも心の中で。
私達の気持ちは――
一生離れることのない
真実の家族になったって――
信じています。
この言葉。この言葉だけは――絶対に消えることなく、胸に刻み込まれました。トゥルー、すなわち、心の中にしかいない家族――それは、永遠なんですよ。心がそれを保っていられる限り。
その他にも、「一年」の、そして「これまで」の感謝を込めて、海晴姉さんからの感謝の言葉が胸に染み入りますが――
あなたがそこにいてくれるから――
私達は幸せな家族でいられます。
……これ。こんな風に、愛された記憶があったからこそ、俺たちはトゥルー家族になれたし、そして、これからも家族でい続けることができるのだと思います。
そして来年もどうぞよろしく♥
今夜はキミと一緒に
みんなでそろって
年越しそばを食べて――
そんな平凡な幸せをかみしめながら♥
また1つ年を重ねます――
……本当なら、なんてことはない、一年の終わりの言葉。年を重ねるという、当たり前の出来事。
でも、この家の中で、それは――本当に大切で尊い、時間が流れていくということであり――
あんばばばば――
おっばぼぶぅ――
……っと、海晴姉さんが厳かかつあったかに締めてくれた一年の終わり日記に、あさひさんが唐突に!? まあ赤ちゃんであるあさひさんは、いつだって突然にアクションを起こしてくれるわけですが、しかしこの大事な日にあさひさんの日記。なにかとても大事なことのような――とりあえずあさひさんの言葉を咀嚼するのすら忘れて翻訳先生を。
なんだか変な音がする――
外でゴンゴンなってるぞ――
じけんか!?
のんきにソバ食べてないで
外を見せろ――
おにいちゃん――
おにいちゃん――
えーい、これじゃわかんないのか……
おにいちゃんってば!!
……なるほど。除夜の鐘に反応を示しておいでだったんですね。しかしそれにしても、このYASEI味溢れるワイルドなご意思……「じけんか!?」のあたり、よつばとのよつばみたいなノリです。
とりあえず、まっさきにトゥルー俺を頼りにしてくれているのが嬉しい限りですよね。……ある意味、一番言うことを聞かせられる対象として認識しているとも言えますが、赤さんにだけは無条件で許される特権でもありますからして。
しかしまあ、こんな具合に雄弁そうなあさひさんではありますが、これはあくまで翻訳であり、実際には音に興味をしめした赤ちゃんが、はいはいしながら窓のそばで声を上げているだけではあるんですよね。
もちろん、ちゃんと言葉にもなってはいませんし――
……いませ……ん………………し?
あっば!?
あばばばんにゃかにゃ――
にゃー
にゃー
……
おにーちゃんっ!!
……………………………………ん?
おにーちゃんっ!!
……………………………………あれ?
おにーちゃんっ!!
……うわあああああああああああああああさひさんが喋ったあああああああああああああああああああああああ!!!!!
めでてえ! ついにあさひさんが明確に言葉を! それも最初の言葉が「おにーちゃん」って……なんか、涙が出てきそうですが……いやしかし、さっき言われたばかりの海晴姉さんの言葉が頭に蘇ります。
また1つ年を重ねます――
……そうか。動き出してしまっているんだ、なあ……。
この家族の中で、3年間が経ったと言われたとはいえ、実質的にはみんな、一学年しか上ってませんし、あさひさんもいつまでも0歳のままだったわけですが……そんな「時間の止まった楽園」であるはずのこの家族の、時間の針が、ついに動き始めてしまった……と。
もちろん……24日に告げられたときから、さまざまな覚悟は重ねてきましたから、だから大ショックとかそういうことではなく、やはり感動と感慨深い思いのほうがずっと強いわけですが……とか思ってたら、さらに日記が?! ↓に続く!
あさひちゃんの
初めての一言は――
「おにいちゃん」
それは――
この広い世界の中で
誰よりも1番に――
呼びたい人の名前。
姉妹のみんなが
世界で1番大好きな
お兄ちゃんに――
今夜、この気持ちが
伝わりますように――。
これは……24日の、お知らせと同じ「視点」からの、「リアル」な俺たちへのメッセージ……そういうことなのでしょうか。このメッセージばかりは、トゥルー俺としてではなく、トゥルー俺の「中の人」である俺たちに向けられた、トゥルー世界そのものからの言葉なんでしょうね。ゴッドからの、そして関わってくれている全てのスタッフからの――と。
あさひさんが始めて言葉を放つ事。
そしてそんな大事な言葉が、「お兄ちゃん」であるという事。
これらのことの重さは、十分に理解していたつもりですが、こうして改めて言われると……ああ、なんかこう。ダメだ。こみ上げてくる。今日この日ばかりは、この思いを抑える必要もないわけで――
今夜、この気持ちが
伝わりますように――。
――伝わりました。伝わりましたとも。
あと残りの時間でもたらされるであろうものも含めて、とてつもないほど大きな愛情を。
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