休日の山歩き 14 | 檜洞丸と大室山 Hinokiboramaru/Oomuroyama |
[丹沢] 檜洞丸(1601m)、大室山(1587m) 西丹沢自然教室からの1周コース 2009年4月12日(日) |
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![]() ![]() ![]() 丹沢主脈縦走('08年) 西丹沢('09年) 丹沢三峰('10年) 丹沢表尾根('11年) |
檜洞丸(最奥の山並みの左端の峰) 犬越路から | 縦走路の先の大室山 檜洞丸〜犬越路間から |
春の気配になったが、本格的に山歩きを再開する前に行っておきたい身近な山として、丹沢の山を考えた。昨年歩いた丹沢主脈の山々に次ぐ高さの山としては、西丹沢の檜洞丸と大室山がある。特に大室山は、東京の自宅近辺から富士山を望むと、富士山の左側の稜線を出たり入ったりする三角形の山として、馴染みがあった。ガイドブックでは檜洞丸と大室山のそれぞれを一つずつ登る山として紹介しているが、コースの一部が共通だし、コースタイムで10時間程度になるのを覚悟すれば、両山の縦走もできそうだ。両山とも山頂の展望に恵まれないと書かれており、冬の空気の澄んだ季節も終わったから、富士山などの展望はあまり期待しなかった。
【西丹沢自然教室から檜洞丸を目指す】
週間天気予報では週末の天気は微妙だったが、近づくにつれて良くなった。日曜日の朝5時前に出発し、東名高速を経由し大井松田ICで下りる。マイカー登山も昨年の大菩薩以来5か月ぶりだ。6時半に西丹沢自然教室に到着。駐車場には6台程度止まっており、3〜4組が相前後して登山を開始した。今日の荷物は暑さに備えて水4リットルと多めにしたが、コンパクトにデイパックにまとめた。車道を歩き始めて5分で檜洞丸への登山口があり、沢沿いの道に入る。ツツジ新道だ。しばらく斜面中腹の歩き易い道で、木橋が多い。木々は若葉を出し始めており、ピンク色のツツジも見られた。
次にゴーラ沢出会から急な尾根登りになる。ここら辺からこずえ越しに富士山が見えるようになり、大きくて最初はびっくりした。空気の澄んだ朝のうちに早く綺麗に見ようと、背後に富士山を感じながら先を急ぐ。展望園地(ただし現地の表示は展望台だったと思う)で初めてこずえに邪魔されずに富士山が望めたが、残念ながら背景の空が白っぽくあまり綺麗に見えないので、さらに先を急ぐ。前方から右手にこずえ越しに檜洞丸に連なる稜線が見えるが、テシロノ頭の下あたりか、大きな崩落跡が白く見える。
登り始めからここらまでで4組位の登山者を抜いてきた。すると道が右折する場所にテーブルが置かれており、歩き始めて2時間になるので休憩した。ここからの富士山は木が少し邪魔しているがだいぶ良くなり、右手にどっしりと幅広に横たわっているのは大室山だろうか、さらに富士山と大室山の間には遠く南アルプスの白峰が続いており、とても気持ちの良い所だった。
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ツツジ新道のツツジ | 檜洞丸の右側稜線の崩落跡 | 檜洞丸山頂稜線の木道 |
【富士山の好展望地を経て檜洞丸山頂へ】
歩きを再開すると富士山は背後から右手に移り、植生保護のための木の階段や木道が現れた。次に右手の木が数本途切れてその間から富士山が望める場所になった。細い尾根の右側が崩れて木が落ちてしまい、その代わり展望が良くなったのだ。その先に、尾根がさらに大きく崩れ土がむき出しになった場所があり、さらに良く富士山や南アルプスが望めたので、立ち止まって見とれた。ここからは、空の色も変わり、富士の白雪がくっきり望めた。ただ、上から下りてくる登山者は見向きもしなかったので、きっと上の方は存分に富士山が望めるのだろうと思った。次に右から石棚コースが合流し、檜洞丸への稜線上に左折し、緩い登りになった。ここらから下りの登山者とすれ違うことも多くなり、言葉を交わすと、蛭ヶ岳方面から主稜縦走の人も多いようだ。稜線の木道上にも富士山の好展望地があった。
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富士山 稜線上から | 富士山と南アルプス 稜線手前の尾根から |
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御正体山の左に赤石岳など、右に北岳など南アルプスの山並み 稜線手前の尾根から |
檜洞丸(1601m)山頂は広々しており、中心の大木の下に祠がある。神奈川県が立てた道標は各方向の登山道を明示しているものの、肝心の山頂を示す標識は字が消えそうだ。木立に囲まれ好展望とは言い難いが、まだ葉のないこずえの間から富士山や周囲の山々が望める。ブナの木立は古木もあり枯れたようにも見えるが、やがて元気に新緑の葉を出すのだろう。テーブルの上で湯を沸かし、コンビニ弁当を食べた。登りの途中で会った人々も到着した。
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檜洞丸山頂 左写真は大木の下の祠 | 熊笹ノ峰と大室山 檜洞丸山頂下から | |
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荒れ気味の登山道 檜洞丸〜犬越路間 | 犬越路 奥は避難小屋 |
【犬越路へ下る】
十分休んだ後、犬越路に向け下山にかかる。山頂の一角に、「犬越路への道は、ツツジ新道に比べ、急斜面、崩壊地、岩場や狭い箇所が多いため、心身、時間とも十分なゆとりが必要」との神奈川県自然保護センターの注意書きが立っている。まさにそのとおりか、山頂直下から補修された道が始まり、その後も、崩落で土がむき出しで木立も少ない分、展望だけは良い場所が続いた。正面はこれから歩く峰の先に大室山、左手は下に今朝登ってきた沢が入り込み、その上はやや霞んだ山並みの上に富士山が浮かび、また右手は間近に丹沢の山々、という展望が続く。ただ空気は昼に向かうにつれて霞んできた。岩場の下りや鎖場もあった。
小笄(ここうげ)のピークだろうか、これを越えると、大室山までの稜線が左右にうねりながら続いているのが一望できた(このページ冒頭の右の写真)。大室山は横幅があり、東京から望む富士山の前に三角頭で立ちはだかっている大室山とイメージが違う。坂道を下りて犬越路(1060m)に着いた。
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檜洞丸〜犬越路間から | 檜洞丸(左から2つ目の峰) 犬越路〜大室山間から | 食害防止の金網 |
【大室山を目指してつらい登り】
犬越路は、左右から登りの道が着き、前方には大室山への登り道が続いている(このページ冒頭の左の写真は檜洞丸を振り返ったもの)。時刻は11時40分、ここから下れば、今日の登山は午後1時半には終わるが、ここからさらに大室山を目指すとすれば、登りは1時間40分程度だし、午後5時頃には下山できそうだ。そのような計画を立て、避難小屋の横を通り大室山への登りを開始した。この登りも楽ではなく、すぐに1日2山の疲労が出てきた。去年の金峰山への登りを思いだした。1歩ずつゆっくり登る。休憩も取った。
植生保護の金網があった。金網の内側には笹の葉が育っており、周りの弱々しい笹との違いが大きいから、鹿の食害も相当のものだと思った。脚がつりそうになったが、脚つりの対策も分かってきたから、座って数分休んだ。幸いにも、間もなく大室山への分岐である西ノ肩に着いた。デイパックをデポし、緩い登りで山頂へ。木立に囲まれた大室山(1587m)頂上は、木に葉がないので日当たりも良く、三角点の外、朽ちかけた山梨百名山の標識、真新しい檜の道標、さらに前方3方向(地図上ではいずれも破線ルート)を指す立派な道標などがある。
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大室山頂上 | 加入道山頂上 |
【加入道山、白石峠を経て下山】
分岐まで戻り、加入道山を目指す。この道にも植生保護のための木道がある。空気は霞んできて、富士山は見えなくなっている。もはや出会う人もなく静かな歩きだ。破風口という最低鞍部からの登り返しは、やはりきつかったので、前大室のピークで休んだ。登山道の左下に避難小屋があり、加入道山(1418m)に着いた。ここからは下り一方だと思うとほっとした。
白石峠に着き、あとは最後の沢道歩き1時間余りで林道になることを計算し、テーブルの上で再びコンロで湯を沸かし、スープとコーヒーで最後の栄養補給をした。今回は水を十分持ってきたが、途中のコンビニで急いで弁当と共に買った行動食の菓子パン3個は、1日2山の長いコースでは食べ尽くしてしまい、不足だったのだ。この白石峠の木立の間から、三角頭の大室山が見えた。これだ、東京から見る大室山の形だ。ちょうど東京の真裏から見ているのだ。
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加入道山避難小屋と檜洞丸(枝を避けるため写真を合成) | 大室山 白石峠から |
白石峠を後にし、広葉樹や杉の植林の間を下り、白石の滝を見て、ザレ沢に右岸(西岸)から出合い、何度か渡り返して東岸の林道に入った。ゲートがあり、その先が用木沢出会で、犬越路から直接下ってくれば出た所だ。あとは左右にオートキャンプ場を見ながら車道を歩いた。
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用木沢出合の上部のツツジ | 西丹沢自然教室 |
【西丹沢自然教室に戻る】
丹沢山塊で蛭ヶ岳に次ぎ2番目に高い檜洞丸と、山梨県との境で丹沢の端に位置する大室山の2山を1日で登る長いコースだったが、休憩時間を含んでコースタイムと同じ10時間で歩くという計画も、その通り達成できた。あまり期待していなかった富士山の展望も良かった。食料に少し誤算があった。
午後5時前に西丹沢自然教室に着いた。既に登山者の車もほとんどいなくなり、自然教室のトイレを使わせてもらった後建物のシャッターも閉まり、新松田行きのバスも来た。車内で着替えをしてバスより先に出発した。往路と同じ道をたどり、渋滞もそれほどでなく、午後7時半過ぎに自宅に着いた。
【行程】 都内発4時台⇒東名高速(川崎IC→大井松田IC 52km)⇒国道246号他(28km)⇒西丹沢自然教室6:35着 6:45西丹沢自然教室→6:52檜洞丸登山口(ツツジコース)→7:25ゴーラ沢出会→8:05展望台→9:09稜線・石棚コース(テシロノ頭方面)分岐→9:25檜洞丸山頂10:00→10:27熊笹ノ峰→10:30神ノ川分岐→11:30犬越路トンネルへの分岐→11:38犬越路11:50→13:11西ノ肩→13:17大室山13:29→13:34西ノ肩→14:04破風口→14:15前大室14:23→14:35加入道山→14:52白石峠15:08→15:45ザレ沢出会→16:15林道→16:27ゲート・用木沢出会→16:48西丹沢自然教室 (歩行時間) 10時間03分(山頂大休憩35分含む) (高低差) 西丹沢自然教室540m→檜洞丸1601m→犬越路1060m→大室山1587m→西丹沢自然教室540m = +1061m−541m+527m−1047m 西丹沢自然教室17:03発⇒東名高速(大井松田IC→川崎IC)⇒都内着19時台 【参考資料】 山と高原地図「丹沢」(2008年版)、関東日帰りの山ベスト100(実業之日本社2006年) |
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2009/4/20整理、8/26修正