山門を抜けるとやや急な坂道になっていた。 苔蒸した小径に鬱蒼と茂る木々の間から木漏れ日が影を落としている。 鴬の声なども聞かれ、幽玄な気分に浸ることができる。 下をよく見ると苔の下は土ではなく、凝灰岩のような岩でできているようだ。 この辺り一帯は丹沢山塊から連なる岩石でできているようだ。
坂の途中に小さな石仏があった。 碑を読むと馬頭観音とある。中央の石像は頭部が欠落しているが、四本の腕が 確認されるところから、確かに馬頭観音 かもしれない。 ここでは至る所に石像や石碑を見かける。そういえば、ここに来る途中の バスからも、石灯篭や地蔵仏を多数置いた石工の店舗を数軒見かけた。 これらを作るための石材が豊富に得られるのであろう。
道は徐々に険しくなってきた。往来を楽にするため、石段が切られていた。 一息ついて後ろを振り返ると、だれもいない。いい気分である。