風穴尾根ノ頭より烏帽子岩(左)と赤岩裏妙義縦走路

ここは先に丁須の頭(ちょうすのかしら)を登ったときに併せて歩く予定だったのだが、強風で中止にしていた。「よし、リターンマッチだ」とばかりに一週間後に単独日帰りで行った。
登りに採った籠沢の眺めだが、一週間前より迫力に欠けた。前回は沢の水量が多く見応えのある景観だったが、前日が雨だったためらしい。本日はどことなく荒れた感じで、核心部の「木戸」と呼ばれる狭隘な谷間もすぐに過ぎてしまった。わりとあっけなく丁須の頭に着く。
そこからすぐ小さな岩コブを2つ3つ越え,チムニーと呼ばれる岩の隙間を下り、赤岩基部の岩壁斜面をトラバースし、烏帽子岩付近の痩せ尾根を越えて縦走路最後のピークに着く。かなり緊張を要する鎖場もあったが、全身を冷や汗が被ったわけでもなく、もちろん足を踏み外すようなこともなく縦走は終わった。あとは一週間前に歩いた道を下るだけである。
そこで越し方を振り返ると、下の方を歩いた赤岩と烏帽子岩が無表情にこちらを見下ろしている。こちらはヘビの前のカエルになる。「あれに登ったんだ....」と思えないのが残念だ。「縦走」というタイトルが少々滑稽に感じられてくる。
「ハイカー」と「クライマー」の違い。力量をつけて、いつの日かあの天を突き刺す烏帽子岩に登りたいものだと思う。
2000/4/30

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