烏ヶ山 烏ヶ山頂上部

風のない林の中というのは虫が多いのかな。それに今は初夏、たくさん発生する時期かもしれない。これはブヨかい?叩くと血が出る。どこか刺されているのかもしれない。それにしても多いな、うるさくて仕方ない。
鳥越峠からは眺めが開けてきた代わりに、道が細く急になって、ヤブまでかぶり出した。鍵掛峠(かぎかけとうげ)南の登山口から峠までは道がよかったのにねぇ、こちらから烏ヶ山(からすがせん)に登る人は多くないんだろうね。でも昨日の大山(だいせん)の階段道より面白いと思わないかい?暑いせいか掻き分けるササの葉が冷たく感じられて気持ちがいいよ。おや、稜線にまでブナが生えている。これって見るとほっとするんだな、Mother Treeとはよく言ったものだね。
ああ、振り返ると東壁が見える。左に南壁も見えている。どっしりしたものだ。今日も大山が望めてよかったね。


足元さえ見えない笹ヤブ道が続いたと思ったら、すごいガレ場のヘリに出たものだ。右手のあれが山頂か。烏の頭にあたるところだ。まるで垂直の岩峰のように見える。登路はあるのだろうけど、ここからではよくわからない。
こちら側の谷は草原で穏やかだけど、急なことは急だね。谷の途中に立っているあの大きな一枚岩を見なよ、幅が広いのにあんなに薄い。謎のモノリスみたいじゃないかい?手前と奧とで鳴き交わしている鳥がいる。ツツピーピーツツピーピー、なんという名前なんだろう、知ってる?


着いたぞ、ここが山頂だ。最後は急な登りだったけど、それほどではなかったかな。まずは最高点に立とう、この岩の上だ。かなり傾いているから山靴だと滑りやすい。おお、360度の眺めだ。
烏ヶ山頂上より大山
烏ヶ山頂上より大山
さてザックを下ろして休憩しよう。鏡ヶ成(かがみがなる)への下りは一時間半ほどだし、まだ12時だ、ゆっくりしよう。山頂には誰もいない。我々だけのものさ、この大山の眺めもね。
2000/5/25

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