TUZIE-辻永クラフト工房
レザークラフト担当者のための
基礎の基礎から

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08:手縫い


手縫いのカード入れを作る工程を見てみましょう。

1.
材料の裁断をします。裁断はビニル板の上で。
2.
裏革を接着するために、接着剤の塗布をします。


3.
裏革を接着する時は、裏側から全体にローラーを掛け、周囲をハンマーで圧着します。
4.
ケース入り口側に、ネジ捻で飾りの線を入れます。


5.
入り口側を面取りし、染料で色を差します。そして磨いて仕上げます。トコノールを使用。
6.
前胴と後胴を接着するための準備に、裏革の周囲をヤスリで荒らします。接着剤が効くようにするため。


7.
ヤスリで荒らした部分にボンドを塗布します。両面塗布で、乾いてから接着。
8.
前胴と後胴を接着し、広口エンマで圧着します。平らな作品の場合はハンマーで押さえてもいいです。


9.
縫い代線を入れます。ここではネジ捻を利用していますが、ステッチンググルーバーで溝を切る方法もあります。
10.
菱目打ちで縫い代線に合わせて穴あけをします。ずらす時に1〜2目ずつ重ねるようにして、ピッチを揃えます。ゴム板の上で木槌で叩きます。


11.
糸と針の準備をします。糸先を漉き、ロウを施し、糸の両端に針を付けます。
12.
手縫いバイスに固定して、一目ずつ縫い締めていきます。


13.
縫い終わってからの糸切りは、マイクロニッパーなどを使うと安全にきれいに切れると思います。
14.
周囲の面取りをします。面取り専用の工具も便利ですし、写真のようなヤスリで削ることもできます。


15.
面取り後に色を差し、コバを磨きます。
16.
完成写真です。

【手縫い針の取り付け方】
 麻糸の糸先を漉き、ロウを施した後、下図の左からの順番で針を付けます。針は糸の両端に取り付けます。取り付けた後、からみ目の部分をロウで整えます。
針の取り付け方


 手縫いは基本を押さえると、きれいな縫い目で仕立てを行うことができます。立体的な作品になると、ここで紹介している工程とはまた違った内容になってくる部分もあります。

 手縫い道具の具体的な製品については、当サイトの 一窓店舗 のページを参考にご覧ください。菱目打ちは4ミリピッチの製品が無難で使いやすいのではないかと思います。






 

 この画像は、小学校で手縫いを実施した時のものです。固定具で、しっかりと固定することによって、作業が楽にできるようになります。

 手縫いは、ある決まった糸の通し方をすると綺麗な縫い目になりますので、作業を覚えるのが得意な生徒さんが正しい作業をマスターすれば、安定した結果が得られると思います。

 実際に結果を見るまでは、大人にとっても覚えにくい面のある手縫いができるかどうか半信半疑だったのですが、生徒さんが革の作業にしっかりと取り組み、教える先生の様々な工夫もあって、たいへん優れた作業ができる実例となりました。


 これは、小さな印鑑入れ程度のサイズのケースですが、手縫いで仕立てられたものです。いい感じに仕上がっていると思います。

 手縫いは、低コストでできる仕立て法なので、予算の少ない作業学習の現場にとっても、有効な時があると思います。また、バザーなどでの販売の機会にも、販売商品の幅が広がる可能性があります。

 誰にでもできるという技術では無いかもしれませんが、練習するうちにマスターできることもありますので、何度か挑戦する機会を作ってみるのも良いかもしれません。

 もちろん、教える側が手縫いの工程を理解しておかなくてはなりませんが、最低限の操作については、それほど難しくなく覚えることができると思います。



 これは、巾着型のバッグですが、やはり小学生が手縫いで作ったものです。ソフトな素材で作られています。手縫いの基本は変わりませんので、この様な作品作りまで発展させることもできます。

 教える先生が一度作ってみて工程を覚え、またご家庭の方の予算への理解などもあってのことだと思いますが、様々な可能性が感じられる作品でした。

 この様なソフトな素材は、手縫いの下穴が分かりにくくなってしまうので、決して縫いやすい物ではないのですが、しっかりと仕立てられました。

 ある程度の道具や、作業者と教える側の力が必要になるものですが、可能性がある時にはぜひ手縫いにも取り組んでいただきたいと思います。製作できる物の幅が、ぐんと広がるのではないでしょうか。


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