TUZIE-辻永クラフト工房
レザークラフト担当者のための
基礎の基礎から

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05:コバを磨く




 革の切り口を、コバと言いますが、このコバをきれいに磨く作業は、レザークラフトに欠かせない大切な作業です。作品の完成度を大きく左右する要素の一つです。

 美しいコバ磨きの第一歩として、革の切り口を整える必要があります。そして、大きく削る必要がある時に使いやすいのが、このヤスリです。ドレッサーと言われる道具ですが、替刃式になっています。切削面の目の種類がいくつかありますが、中目で良いと思います。

 この道具と紙ヤスリがあれば、コバの調整はやりやすくなります。紙ヤスリの番手は特に決まってはいないので、使いやすい番手で良いのですが、当工房では120番と320番を素地調整の主な番手としています。




 磨き作業をする前に、コバの素地調整や面取りの作業をするのが一般的ですが、面取りをするための道具がこの画像の「へりおとし」と言われる道具です。

 面取りをすることによって、コバになめらかな丸みを作りやすくなります。

 特殊な形状をしていますが、小回りが効いて使いやすいものです。この道具が無くても、紙ヤスリなどで面取りは可能ですが、あると作業の選択肢が増えますし、能率も上がることが多いと思います。でも、柔らかい革にはあまり効果的な道具ではありません。

 画像の右端は耐水ペーパー#1000を小さくカットしたものです。それと、その隣の金属の丸棒で手入れをします。(道具についての詳しい解説は、工具についてのページをご覧ください。)



 コバ磨きには細かい作業の積み重ねが必要で、きれいに仕上げるのは簡単とは言えません。実際にコバを磨くノリ剤にも各種の製品があり、何を使えばいいのか迷うこともあるかもしれません。でも、まずはこれを用意しておけば大丈夫と言うのが、この「トコノール」という製品です。

 トコノールをコバに塗って磨くと、比較的簡単にコバをきれいに仕上げることができます。使用するときは、指につけて塗るのがやりやすいと思いますが、道具を使って塗っても良いでしょう。粘度が高いので、少量の水を加えてやわらかくしてもかまいません。ただし、急激に粘度が落ちますので、水を入れすぎないように気をつけてください。

 きれいに磨き上がりやすいノリ剤ですが、乾燥後は耐水性ではありません。耐水性や塗膜が必要な場合には、コバ用の塗料などを塗ります。

 トコノールはコバを磨く以外に、革の床面(裏面)を磨くのにも使います。



 コバを磨くときの道具ですが、様々な道具を使うことができます。定番的な道具としては、画像の左から3番目の白い樹脂製の「ヘラ付きへり磨き」という道具が良いでしょう。

 また、布や革の切れ端で磨くこともできます。布は綿の硬めのものが使いやすくおすすめです。当工房でも磨きに適した布をカットして用意しています。革の切れ端も使いやすいものです。また、ヘチマも昔から使われています。

 「ヘラ付きへり磨き」の半円形の部分は取り外せるようになっておりますので、革の床面などを磨くときのスティックとしても使えます。床面の磨きの時には、「磨きガラス板」などがあると使いやすく便利ですが、「ヘラ付きへり磨き」のスティック部分も利用可能であり、なかなか利用範囲が広いものです。


 色付きのコバに仕上げるためには、染料で着色しておいて、トコノールで磨く方法があります。

 それとは別に、磨き終わった後に仕上げの塗料として塗る仕上げ剤があります。それが左の画像の製品です。他にも同様の用途の製品は、様々な物が販売されていますが、合成樹脂やビニルなどの塗料です。この手の顔料製品については、染料に対して「コバ用の絵の具」であると説明しています。

 透明な塗料を塗ると、艶のある無色の塗膜ができます。割れにくくはがれにくい塗膜になります。また、色付きの塗料を塗ると、この製品は不透明な塗膜ができます。市販品で、よく目にしているような仕上がりになります。

 落ちにくい塗料ですので、余計なところに付いてしまうと困ることになりますが、作品により良い完成度が求められる傾向があるので、こういったコバ用の絵の具を利用するのも、完成度を高く見せる一つの方法かもしれません。

 色付きの塗料を塗る場合でも、コバには染料で着色しておいた方が、楽にきれいに仕上がりやすくなると思います。


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