TUZIE-辻永クラフト工房
レザークラフト担当者のための
基礎の基礎から

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04:染料・仕上剤


 

 革の繊維は、コラーゲン繊維ですので、染料もコラーゲン繊維に適した染料が使われます。革の性質から、熱を加えられないので、低温で染めることが必要になります。

 ふだん当工房で扱っている染料の画像を紹介します。左端の染料は、「ローパスバチック」という商品名の染料です。塩基性染料という部類の染料です。

 色が鮮明で、水性の扱いやすい染料です。価格も安く、レザークラフトの世界では、もっとも広く使われているタイプの染料かもしれません。作業学習などでも、定番の染料です。

 色数は二十数色販売されており、混色も自由です。染料液に酢酸が含まれているので、酸っぱい匂いがします。酢酸は、染料の粉が解けやすくなるように加えられているものです。

 水性なので、水で薄めることができます。またアルコールで薄めることもできます。やや日光堅牢度が弱いのが欠点と言えます。同等の他社製品には、クラフト染料という商品名の製品もあります。

 次に中央の染料は、「ローパススピラン」という商品名の染料です。おそらく、酸性染料の部類をアルコールで溶いた染料です。12色販売されています。

 日光堅牢度は高いと言われていますが、アルコールが革を硬くしてしまい、革の質感に影響を与えてしまうことが多いようです。事前に革を湿らせておいたり、乾燥途中に革を揉みほぐすことによって、硬くなるのをある程度防ぐことはできますが、扱いがやや難しい染料です。生革などの特殊な素材の染色にも使われます。

 薄めるときのアルコールは、エタノールベースのアルコールをおすすめします。当工房の取扱い製品名で言うと「レザーアルコール」という製品になります。

 右端の染料は、「オイルダイ」という製品です。染料を薄めるときにはアルコールを使いますが、この染料は革を硬くしません。染めやすくムラも出にくい染料です。値段はこの3種類の染料の中ではもっとも高く、作業学習に気軽にすすめることはできませんが、扱いやすい染料です。

 用途により染料の種類を選ぶことになりますが、まずは「ローパスバチック」をメインに考えて良いと思います。「ローパスバチック」と「ローパススピラン」は、大きなサイズの製品も販売されています。



 「アンティックフィニッシュ」という、靴墨のようなペースト染料です。刻印で叩いて凹んだ部分に濃い色を入れて、濃淡を表現する時に使われます。アンディック仕上げと言われる技法です。

 模様をつけた後の革に、このペースト染料を施すと、刻印した部分だけでなく、革の地の部分にも色がある程度入りますので、同系色の濃淡が表現できます。歯ブラシなどで塗り、布で拭き取るという使い方をします。

 また、仕上げ剤で防染した後にアンティックフィニッシュを施すと、地の部分には色がほとんど入らずに、刻印した部分にだけ濃い色が入ります。よりコントラストのはっきりした仕上がりになります。防染に使う仕上げ剤は、次に紹介するレザーフィックスです。
 


 革の仕上げ剤にも様々なものがありますが、作業学習などには手軽に使うことのできる、水性のアクリル仕上げ剤を勧めています。

 「レザーコート」は、扱いやすく色止め効果も高い仕上げ剤です。艶も強度もあります。ただし、塗布後はじっくりと乾燥させてください。速乾性で、指触乾燥にはそれほど時間はかかりませんが、しっかり乾かさないと作業中に汚れなどが付く原因になります。

 ややつや消しに仕上がる「マット」タイプもあります。つや消しに仕上げるための体質顔料が調合されておりますので、使用するときにはよく混ぜてから使う必要があります。

 布や刷毛で塗ることができますが、刷毛を使用した場合は、水だけでなく洗剤も使って刷毛を洗ってください。水だけだと樹脂分が残り、刷毛が硬くなってしまいます。

※以前は、「レザーフィックス」という仕上げ剤を勧めていましたが、2011年に性質が以前と変わっていることに気がついて、「レザーコート」を勧めるようになりました。



 光沢レザーフィックスという仕上げ剤です。粘度が高く、「濃い」という印象の仕上げ剤です。

 値段が高めなので、作業学習の現場に気軽に勧めるには、少々気が引けるところもあるのですが、床革の作品も少ない回数の塗装で仕上がります。

 たっぷり塗ると、ほぼ1回で仕上がるような感じですので、便利に使える場面がきっとあるのではないかと思います。




 ヌメ革を生成りで仕上げて、味出しを楽しむ製品を作りたいという要望が、ときどき作業学習などの現場から寄せられることがあります。

 そういうときに使っていただいているのが、革用のオイル類です。様々な市販品がありますが、当工房では当工房オリジナルのオイルを使ってくださる人が多く、作業学習の現場でも使っていただいていますので、その画像を載せます。

 クラフト用の革は、一般的には加脂量が少なく、製品にする前にオイル分を施す必要があります。その時に、液体のオイルと練り状のオイルの2種類を使います。

 基本的には液状のオイルを先に、あとから練り状のオイルを施します。使用法の詳細は、販売時にお伝えします。このページに画像は載せましたが、工房のみで直接販売しているもので、ネット上で販売はしておりません。




 このページでは、染料と無色の仕上げ剤を紹介しましたが、他にも様々な着色剤や仕上げ剤があります。左の画像では、染料で着色した後に、金色の光輝粉が入った絵の具を部分的に塗っています。

 本当に様々な各種の着色剤・仕上げ剤が革には使えます。

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