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紹介したい資料(一部未収集のものがあります)

題名 アルプスの山の娘  世界名作絵文庫


訳 : 田中良・画 吉川寛・文
出版社 : 国民社  119頁 発行日 : 1949/07/15昭和24 価格: 70円


説明 (参考画像)
編者・田中亮三郎 全頁二色刷 
絵物語(絵が主体でストーリーを文字で説明する形式)
確認できたもっとも古い、「絵が主体の本」。(文字が多く、文字の地が絵ではないため、絵本ではない)


題名 アルプスの山の娘  世界の絵本 中型版 ; 8


訳 : 林芙美子  絵・須田壽
出版社 : 新潮社  68頁 発行日 : 1950/11/10昭和25 価格: 140円地方145円


説明 (参考画像) (全文紹介)
林芙美子は「浮雲」「放浪記」(森光子の舞台で有名)などで知られる小説家。リンク

「アルプスの山の娘について」古谷綱武65頁、
「スイスに旅して」(戦前に旅行した時の思い出でスイスを紹介)高橋健二66-68頁 所収
高橋健二が戦前に経験したヨーロッパ旅行を題材に、敗戦の傷跡を感慨深くふりかえっている。


題名  アルプスの少女 主婦之友社の絵本16


訳  : 小谷野半二・画 厨(くりや)川 駿・文
出版社 : 主婦之友社 35頁 発行日:1950/12/15 価格: 80円

説明 (参考画像)
全頁カラー 糸綴じの雑誌形式本。 文字が多く幼児向けではない 巻末に「お母様がたのために」(短い解説)あり

「ただ人を愛することだけしか知らない神のように清らかな一少女の物語・・・」と中扉にある。
どのようにでも批判はできるが、ハイジにこのような「当時の願い」を投影したのは事実である。


題名 アルプスの少女 世界絵文庫 ; 27


訳 :北条誠 鈴木悦郎絵(1924-ご存命)
出版社: あかね書房 59頁 発行日:1952/02/20昭和27  価格: 130円地方135円

説明 (参考画像)
厚紙を使った、絵本らしい絵本。
ハイジとしてはじめての、現代の一般的な形の小児向け絵本。


題名 アルプスの少女 世界童話文庫 ; 54


訳 : 大木惇夫・文 コマミヤロクロウ駒宮録郎・え
出版社:日本書房 63頁 発行日:1952/05/01昭和27 価格:120円 
地方125円

説明 (参考画像)
大木惇夫(詩人1895明治28-1977 広島出身 平和公園に碑文有)
夜明けの歌」や東海林太郎の「国境の町」の作詞者

「先生と父兄の皆さまへ」訳者のあいさつ所収(2頁)
厚紙を使った、絵本らしい絵本。


題名 アルプスの少女 講談社の絵本121


訳  : 文/吉田絃二郎、絵/沢田重隆
出版社 : 大日本雄弁会講談社  48頁  発行日:1954/09/05   価格: 130円

説明 (参考画像)
オールカラー リアルで美しい絵 沢田重隆は昭和20-30年代に少年ものSFやミステリーの表紙や挿絵で活躍した画家


題名 世界の名作 影絵アルバム 2


訳  : 藤城清治
出版社 : さ・え・ら書房  134?頁  発行日:1957/12昭和32   価格: 200円

説明 (参考画像)
全12話収録<口絵1葉カラー>どの話にもモノクロ影絵が3葉以上掲載

影絵アルバム1は日本の民話(全20話)
藤城清治は独特の様式の「影絵」の作家として国際的にも有名。人形劇・影絵芝居の「劇団 木馬座」を主宰していた。
木馬座は「ケロヨン」のキャラクターなどで知られていた。 公式ページ


題名 家なき子  世界名作絵物語


訳  : 井上史津
出版社 : 児童憲章愛の会  56頁  発行日:1961/06/20昭和31   価格: 50円

説明 (参考画像)
「アルプスの少女」23-56頁所収 装帳・江森輝生 全国学校図書館協議会選定書取材

雑誌の紙を使用し、もっとも人気のある児童作品2作を組み合わせてある。
当時としても低価格で、良書を安価にとどけようとする意図が感じられた。


題名 アルプスの少女 講談社の絵本 ゴールド版 88

訳  : [絵]玉井徳太郎 [文]徳永寿美子
出版社 : 講談社  134?頁  発行日:1962/04/01昭和37   価格: 100円

説明 (参考画像)
「アルプスの少女」1-32頁 全頁カラー、

「アルプスの少女について」(解説・徳永寿美子)見返しに所収 
その他小さなオリジナル童話6編収録

毎月二冊づつ発売された。シリーズ88冊目という隔週雑誌型の大型絵本シリーズ。


題名 アルプスの少女 少年少女世界の名作15


訳  : 三越左千夫文 朝倉摂絵
出版社 : 世界文化社  83頁  発行日:1969/12/20昭和44  価格:480 円

説明 (参考画像)
解説 三越左千夫(保護者向で良質の内容)

「子供・自然・友達」阪本一郎巻末のことばあり

金色の外箱あり(赤色の外箱の版もある 時期不明)



題名 アルプスの少女ハイジ 世界名作えほん全集14


斎藤晴輝 絵伊勢英子
出版社:童音社  23頁  発行日:1960-70年代?  価格:320円

説明  (参考画像)
高畑ハイジの影響前の絵本
(ハイジは髪は茶色。60年代的傾向を反映しているのか、心象風景によって髪の色は「白」「青」「ピンク」「黒」とさまざまで表現されている。
強いくせ毛(直毛)。目は薄い
)(クララは金髪 目は青緑)


題名 アルプスの少女 ファンタジック絵本 3


表紙絵・久保田煦  中絵・大工原章 (1917-)
出版社:栄光社  26頁  発行日:1971(国会図書館データからの推定)  価格:380円

説明  (参考画像)
巻頭のシリーズ解説・木下一雄(東京学芸大学教授) 巻末に「アルプスの少女」(解説)それぞれ1頁所収 

東映動画の協力による絵本 

中の絵は日本最初の長編アニメ「白蛇伝」などを手がけた大工原章が描いている。
表紙とまるでタッチが違い、マンガ的絵で、サイケデリックな色使い。


題名 アルプスの少女 カラー絵ばなし38


文・三越左千夫 絵・羽根章悦・伊藤主計(スタジオ創企)
出版社:偕成社  29頁  発行日:1972  価格:46
0円

説明  (参考画像)
「この絵本の与え方 「アルプスの少女」について」詩人三越左千夫28-29頁所収


題名 アルプスの少女 ホーム紙芝居 世界名作童話14


作画・TCJ動画センター
出版社 : 美研 20頁 発行日: 1973
以前? 価格:580円

説明 (参考画像)
4-10才向け フォノシート付「ハイジ・杉山佳寿子,クララ・平井道子,ペーター・丸山裕子,おじいさん・峰恵研,クララのおとうさん・市川治」
1967にTCJ(後のエイケン)で企画され、パイロットフィルムのみ作成されたハイジの紙芝居版(フィルムではハイジは黒い目だが紙芝居では青い目になっている)
絵柄がまったくちがうが、ハイジの声が高畑ハイジの杉山佳寿子である。

またこのアニメ自体は高畑ハイジの7年前に企画段階で中止になったが、高畑ハイジのプロデューサーである高橋氏がかかわっている。


題名 アルプスのしょうじょ オールカラー名作絵本19


文・馬場正男 絵・中村まさあき・工藤剛一
出版社 : ポプラ社  37頁  発行日: 1974/04/30  価格:不明

説明 (参考画像)

時期的に高畑ハイジの影響を受けた最初の絵本と思われる。服装などに高畑ハイジに近く、絵柄がマンガ・アニメ風に変化してきている。
ページ数は少ないが厚紙を使用したしっかりとした作りの大型本。
幼児には重たいはずで、絵本の大型化の一つのピーク。


題名 アルプスの少女ハイジ おともだち絵本1


上地ちづ子/文 渡辺まさ子/絵
出版社 : 講談社 15頁 発行日: 1975/04/20昭和50 価格:240円

説明 (参考画像)
マンガ家わたなべまさこのイラスト マンガ作品もある。
この「おともだち絵本シリーズ」の68、71、78、82で、高畑ハイジの絵本4冊が刊行(1982)されている。



題名 アルプスの少女 世界名作えほん全集3


文・画 岡部幸一
出版社 : ポプラ社 31頁 発行日: 1979/03
昭和54 価格: 不明

説明  (参考画像)
幼稚園〜小学1・2年向 手塚治虫の影響の極めて強い絵柄 大型で一見豪華だが丁寧な内容といいがたい。




(絵本リスト 2 はこちら)

総 評


 絵本の世界は奥が深いです。
 次々と思いもかけない本がみつかります。
 雑誌掲載の絵物語などはまったく把握できませんが、相当な量になるはずです。


 そして、翻訳でも感じたのですが、内容的には1960年代から下降線をたどっていくのは、作り手の情熱を、商品として本をとらえる意識が侵食していったからでしょうか?

 絵本のほかに、単独で扱うほど確認できなかったので、絵物語やかみしばいも絵本にふくめてしまいました。いずれにしても絵が主体の、低年齢向け作品ということで紹介です。


 絵物語は現代の劇画マンガの誕生に大きな影響を与えました。
 「少年ケニア」1949などが有名で、昭和40年ころまで、多くの作品がかかれましたが、現在まで単独で読みつがれている作品は少ないようです。
 文より絵が優勢ですが、文章によって説明がなされており、明らかにマンガでも絵本でもありません。

 また、TCJ動画センターのかみしばいは、見つけたとき存在の意味が理解できませんでした。
 実は、これは高畑ハイジの7年前にテレビ用アニメとして企画され、パイロットフィルムだけに終わった幻の「ハイジ」をもとにしています。

 もしもこのハイジが放映されていたら、高畑ハイジは存在していなかったでしょう。
 しかし、かみしばいとなって発売され、声を高畑ハイジと同じ杉山佳寿子さんがあてているのは、不思議なめぐりあわせといえます。

2005/07/29

総 評


 ハイジは低年齢層に人気がありますので、絵本はもっとも資料確認が簡単だと思っていましたが、難航しました。
 幼児向けで消耗が激しく、意外と図書館にもありません。
 そして中古本市場が小さく、強力なコレクターも存在しているようです。

 絵本はどうしても内容が簡略化されます。
 編集者がどこを取捨選択したかわかりやすいので、日本におけるハイジという物語の受容のしかたがはっきりわかる分野ですから、今後も確認を続けていきます。

 また購入するのは、幼児本人ではなく保護者なので、幼児に配慮しつつ保護者にアピールしなければならない難しい本でしょう。
 いくらでも手を抜くことが可能ですが、読者の子供のことを考えた本は、素晴らしい出来映えになっていました。

2003/2/15旧総評