水面にできる波は,大きく,深水波と浅水波に分けられます。
深水波は,波長に比して水深が深い所で起きる波,換言すれば,水深に比べて比較的短い波長をもつ波を指します。おもに水面近くの水の運動によって引き起こされる表面波で,水面近くの水が重力を受けながら円運動をすることによって起きる波(重力波)と,水の表面張力によって起きる波(表面張力波)があります。海上を風が吹くことによって起こる波(風浪)や水面に物を投げ入れたときにできる波紋などは,重力波に近いと言えます。本シミュレーションで上から3番目の波は,重力波として表示しています。
一方浅水波は,波長に比して水深が浅いところで起きる波,言い換えれば,水深に比べて長い波長をもつ波を指します(”長波”と呼ばれる)。浅水波は深水波の場合とは異なり,水底から水面までの水全体がほぼ水平方向に運動するとして説明されます。海上の波の例で言えば,遠方にある台風などによってもたらされる波(うねり)などがこれにあたります。海底の地震によって引き起こされる津波もその波長はきわめて長く,浅水波にあたります。
下図のように,一般に,深水波は先端の尖った波形に,浅水波はなだらかな波形になります。
◎円・楕円は単振動の合成
円運動や楕円運動は,互いに直角な2方向に運動する同周期の単振動を,ある位相差をもって合成することによって表すことができます。重力波は,水面付近の水が円または楕円運動をするとして説明されますが,水のこうした動きを,波の進行方向とこれに垂直な方向に分解して考えると,それぞれは波の進行方向に振動する縦波と,波の進行方向と垂直な方向に振動する横波とに分解できることになります。
本シミュレーションではこの考え方にもとづき,重力波を横波成分と縦波成分に分解し,それぞれの振幅などを変えることによってさまざまな形の波形を作り出してみようとするものです。