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詰将棋おもちゃ箱くるくるおもちゃ箱
くるくる展示室 No.89 金少桂さん
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出題時のコメント:

2手目変同あり 50手台


記録展示室で活躍している金少桂さん、くるくる展示室にも進出。
実は本作も記録作からのくるくる化です。
作者:
記録展No.44(持駒記録)で、隅の老人Bさんの感想に、
  「くる展でもOK?」−「序を省いて配置をすっきりさせれば・・・」
とあったので、折角なので、くるくる風に改造してみました。
余計な序は省略し、前半は、持駒記録作の上部に用いた、2連歩の手筋(勝手に命名)、後半は、創作過程の余詰で頻繁に生じた朝霧趣向で創りました。
とてもすっきりした形。 玉が広くてちょっと手を付けにくいですが、とにかく歩を叩いていくしかありません。

  12歩、同玉、13歩、21玉、
  22歩、同玉、23歩、31玉、

変化はたくさんありますが、一つの筋で歩を2枚ずつ使わせないと早く詰むようになっています。
例えば、12歩、21玉、22歩、31玉、32歩、41玉、42歩、51玉、52歩、61玉、62歩、71玉のように横に逃げると、72歩、同玉、84桂以下。 この72歩を打たせないために12枚の歩を六つの筋で全部使わせるわけですね。

最初の歩打だけは21玉と逃げても22歩、12玉、13歩、22玉で同じことになります。 これが出題のことばにあった変同(作意手順と同手数の変化)です。次の22歩に31玉は、32歩、22玉では23金、21玉、12歩成まで。 以下は取るしかありません。

  32歩、同玉、33歩、41玉、
  42歩、同玉、43歩、51玉、
  52歩、同玉、53歩、61玉、
  62歩、同玉、63歩、71玉、

もう歩はないので72歩とは叩けない。 83桂として局面の打開をはかります。

  83桂、72玉、82金、61玉、71桂成、51玉、

この形。 図巧6番「朝霧」を思い出した人もいるかもしれません。 くるくるNo.90をごらんください。
あとは最後まで朝霧趣向を楽しみましょう。

  62歩成、同玉、72金、51玉、61成桂、41玉、
  52歩成、同玉、62金、41玉、51成桂、31玉、
  42歩成、同玉、52金、31玉、41成桂、21玉、
  32歩成、同玉、42金、21玉、31成桂、11玉、
  22歩成、同玉、32金、11玉、21成桂(金) まで59手

簡潔な初形から歩連打で左に、折り返して朝霧趣向で右に戻って還元玉での詰上り。
くるくるにぴったりの軽快な趣向詰でした。

この歩連打と朝霧の組み合わせ、データベースで調べてみたところ、作例があることがわかりました。
詰パラ1987年6月号デパートの萬代亮一さんの作品。
金少桂さんの作品は折り返しの桂3枚の配置が絶妙で、くるくるとして存在価値があるとみて出題しましたが、基本的な構成は萬代さんの作品と同じ。 萬代亮一さんの作品も合わせてご鑑賞ください。
それでは、みなさんの感想を。 解答到着順です。
小野寺さん:
多分これでいいのかな?自信がない。
凡骨生さん:
歩の連打が楽しい作で打ち残った歩を成り捨てるのが、またいい。
中澤照夫さん:
朝霧趣向は解後感抜群。変化は読み飛ばし。
長谷繁蔵さん:
名付けてブーメラン
稲葉上さん:
三桂の配置がうまい。復路の軌跡を考慮すると、往路も千鳥に進めたい。
嵐田保夫さん:
玉が広いようで狭く手数の割に平易な作。
しろねこさん:
これは規則的です。12枚の歩をすべて使い徐々に玉を成桂と金で迫る。
2手目変同あり には気づきませんでした。
利波さん:
手をつけにくい形をしているのが難点。解き始めれば楽しい手順だったんですけどね。
隅の老人Bさん:
序盤の変化は読み飛ばし。12枚もあったら、何とかなるさ。
綺麗な趣向で歩が消える、解けて嬉しくなりました。
S.Kimuraさん:
復路をどうするのか迷ったのですが,金と成桂で追い詰めていく順を見つけて何とか解決しました.

くるくる展示室No.89 解答:12名 全員正解(下記)

  嵐田保夫さん  稲葉上さん  S.Kimuraさん  小野寺さん  くまさん
  しろねこさん  隅の老人Bさん  躑躅さん  利波さん  中澤照夫さん
  長谷繁蔵さん  凡骨生さん

当選者は、展示室で発表しています。