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詰将棋おもちゃ箱ドキドキストリート
ドキドキ展示室 No.67 鳥本敦史さん
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棋譜ファイル(柿木将棋kif形式)

出題時のコメント:
利波型飛問題 20手台

ドキドキ展示室No.67 鳥本敦史 この類型は利波偉さんが創始したことから、 利波型飛問題と呼ばれています。 最初の作品が登場したのは2013年4月(ドキドキ展示室No.29)と、新しい類型ですが、 シンプルな形に豊富な詰筋を内蔵していることから、その後利波さんはもちろん、小山邦明さん、TETSUなどを中心に30作近くも作られる人気の類型になっています。

鳥本さんの利波型飛問題は、詰パラ2016年11月号の臨時大道棋教室に続いて2作目。 さて、どんな詰筋を見せてくれるのでしょうか。

78銀、57との離れた配置が気になるものの、駒数が少なく集客度は72とまずまず。 いろいろな誘い手のある類型ですが、この2枚以外は手掛かりになる駒がないことから、この類型に慣れている方なら横からの飛打から追い出す展開ということはひと目でしょう。

問題は、どこから飛を打つか。 普通に74飛、84角、同金、95玉、94馬と攻めるのは、同飛なら同金以下簡単ですが、96玉、97玉と入玉されて今一歩届きません。 一つ離して64飛はどうでしょうか。 今度は94馬を同飛と取られて、同金、86玉、77角、97玉で逃れ。

正解は、更に離して54飛!でした。 この飛打は限定打で、44飛などでは94馬を同飛と取られて逃れ。

54飛に84角なら、同金、95玉、94馬として、
1) 同飛は、同金、96玉(86玉は53角、75歩合、87飛以下)、87角、97玉、98飛以下で19手。
2) 96玉は、85馬、97玉、79角、88歩合、57飛、77銀合、同飛以下で25手

では2)の96玉の順が正解かというと、84角の前に飛の位置を変える中合がありました。 64歩、74歩の二通りの中合が考えられ、どちらも有力。 まず、64歩合を考えてみましょう。 同飛、84角、同金、95玉、94馬と攻めて、
1) 同飛は、同金、86玉、77角、97玉、98歩、同玉、99飛まで15手
2) 96玉は、85馬、97玉、79角、88金合、75馬、86金合、88角以下で25手
合駒の変化がいろいろあって大変ですが、最長で25手。 一方74歩合は最長27手で、こちらが正解です。

  54飛74歩合、同飛、84角、同金、95玉、94馬、96玉、85馬、97玉、

ここで、先ほどと同様に、79角、88歩合、77飛、98玉、76馬、99玉、88角、同玉、87馬と攻めると、 79玉なら69銀、89玉、79飛、同玉、78馬までぴったり詰むのですが99玉と逃げられて奉納。

86馬!と捨てて53角を据えるのが好手で、これが読めれば、以下手数はかかるものの難しくはないでしょう。

  86馬、同玉、53角、95玉、96歩、同玉、97歩、95玉、

ここで歩が2枚必要なので、初手74飛では詰まなかったわけです。

  94金、同飛、96歩、86玉、75角成、96玉、94飛、95合、97飛 まで27手

96歩に同玉は94飛、85玉、95飛打、76玉、75角成まで同手数で、こちらも正解です。 この順は95飛打のところ84飛打以下の詰みもあるため、86玉と逃げる方を作意にしています。 75角成までの方がぴったり感があるので、解答はこちらの方が多かった。

作者 「初手54飛は限定。74歩中合が手筋ですが、以下進めて86馬と捨ててしまうのが指しにくいところ。  創作に関してはご察知の通り、基本形に78銀を置いて詰ませてみたところ詰将棋になっているので、余詰防止に57とを追加してみただけ。」

発見型の創作のようですが、78銀、57との2枚の配置だけで54飛の限定打から74歩中合を成立させ、 攻めても86馬捨ての好手を織り込むとは、流石大道棋教室の先生です。

それではみなさんの感想を。解答到着順です。

蛇塚の坂本さん:
細い筋で繋がっているか今でも自信無し。

75角成まで23手解。 15手目96歩のところですぐに94金としたのでしょうか。 同飛なら作意同様に詰みますが85玉とかわされると75角成、96玉で打歩詰。 惜しい。 もっとも、実戦だったら85玉に84金とやり直せばOKですね。

山下誠さん:
2手目捨合の場所を6四にするか7四を選ぶかによって手順がガラリと変わるところが面白い。8六馬が英断。
占魚亭さん:
2手目の応手をクリアした後は、飛が取れる形を目指す。
小山邦明さん:
「57と」があると初手の飛打は54にしたくなるが、それに対する84角・74歩・64歩のそれぞれの筋の応手を読まないといけない。
S.Kimuraさん:
柿木将棋 for iPad は歩合のない25手詰めを解答したのですが,柿木将棋IXの解を解答しておきます.
歩合する(2種類)のもしないのも,後の展開がそこそこ違っているので,相手によって応手を変えると,お客は大混乱しそうですね.

お客の力を見極めるのも大道棋屋さんの眼力。 大丈夫と判断すれば最初は中合しないかも。
特に、失敗したあと再度挑戦する客は読み切った可能性も高いので、よく手を変えたりします。
84角、64歩、74歩と、どの順にも妙防が用意されている応手が3つもあると、大道棋屋さんは心強いですね。

金少桂さん:
本作は初手の飛車の打ち場所をどれだけ離すかたっぷり考えさせられた。57とがあるとはいえ、54限定には驚愕。
収束の94金捨て〜96歩突きがかなり見えにくい。妙作。
隅の老人Bさん:
苦労して見つけた初手、応手は84角と思ったら棋将屋さんは74歩合。
ここで、ドキドキ、弱ったな。
池田俊哉さん:
91飛の質駒をどう入手するか。54飛の限定打に加えて、94馬からの三段活用が良い
波多野賢太郎さん:
見た目易しそうで、7四飛から上に追えばいいと思ったので大苦戦しました。好作ですね。

ドキドキ展示室No.67 解答:10名 正解9名(下記)

  池田俊哉さん  S.Kimuraさん  キリギリスさん  金少桂さん  小山邦明さん
  隅の老人Bさん  占魚亭さん  波多野賢太郎さん  山下誠さん

当選者は、全題の解答発表のあと、展示室で発表します。